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■「私のお店」オーナーインタビュー


恒松 明美さん(ピクチャーブックギャラリーRiRE~リール)

恒松 明美さん (ピクチャーブックギャラリーRiREオーナー)
デザイン会社でグラフィックデザイナーとして勤務していた時、書店で手にした一冊をきっかけに絵本に興味を持つ。絵本教室を受講後、2005年にピクチャーブックギャラリー『RiRE~リール』をオープン。2008年には自社商品『seedbooks(シードブックス)』というミニチュア絵本の工作キットの企画・販売を始める。2015年2月ショップをリニューアルオープン。ショップ運営と商品企画・管理をしながら、依頼を受けてグラフィックデザインの仕事もしている。

ピクチャーブックギャラリー『RiRE~リール』
堺市中区深井水池町3125-2  TEL:072-220-9295
営業時間:11:00~17:30 定休日:月曜・火曜+不定休
http://www.office-rire.jp/
https://www.facebook.com/PICTUREBOOKGALLERYRiRE
お仕事内容を教えてください。
ハンドメイドや自主制作の創作絵本を中心に、ポストカードや便せん、布小物、陶器などの雑貨も取り扱うお店を営んでいます。ギャラリースペースも併設していて、お店にゆかりのある作家さんによる個展や企画展なども開催。自社商品として『seedbooks(シードブックス)』というミニチュア絵本の工作キットを企画・販売しています。商業施設やイベントに出向いて、ワークショップ&販売会を実施することもあります。
もともと絵本が好きだったのですか?
子どもの頃は読んでいましたが、大人になってからは小説ばかり。そんな私が絵本との接点を復活したきっかけは、たまたまなんです。

以前グラフィックデザイナーをしていて、仕事の参考のために本屋さんによく行っていました。デザイン系の書籍が並ぶ棚の隣に絵本コーナーがあって、何気なく手にとって読んでみたら、「かわいいなあ」「懐かしいなあ」とすごく心が和みました。

仕事で忙しくて心がちょっと窮屈な感じになっていたこともあって、こんな簡単なことで、こんなに軽やかな気持ちになれるなら、もっと読んでみようと思ったんです。

その後、雑誌で絵本教室を知り、子どもの頃に読んだことのある作家さんや、第一線で活躍している作家さんが講師に立たれるということで「お会いしたい!」とミーハーな気持ちから通ってみることに。通い始めたら、絵本作家をめざす本気モードの人たちがほとんどで、「うわあ!」となったんですが(笑)、土曜日だけの教室で、通ううちに友だちもできたし、学校は京都にあったので観光もできるということで、全課程を通いきりました。
お店をオープンされたきっかけは?
妹が美容室をオープンすることになって、「2階でオープンするから、1階で何かやったら?」という話になったんです。絵本に興味を持つほどに、自分のやりたい方向性と、当時勤めていた会社での仕事に違和感を感じ始めていて、別の道を探そうと思っていたところでした。

絵本を熱心に創作されている作家志望の人たちがたくさんいることを知り、ハンドメイド絵本の魅力にもはまったので、それに触れられるお店ができたらいいなあと思ったんです。お店ができるスペースを思いがけず確保できたことから、オープンすることにしました。が、まもなく壁にぶち当たったんです。
オープンまもなくにぶち当たった壁とは?
絵本のお店なのに、絵本が思うように仕入れられなかったんです。ハンドメイド絵本は教室つながりの友だちにお願いして取り扱うことができたのですが、本の流通は特殊で書店に流通している絵本の仕入れルートは確保できませんでした。数ヵ月後になんとか仕入れられるようになったんですが、取り扱える出版社が限られ、「絵本を売りにしているのに、この出版社のものが無いなんて!」という状態が数年続いたんです。
その状況をどう打開されたのですか?
絵本だけではお店が成り立たない。だから、絵本に限定せず、“絵本的なもの”を取り扱おうと思い直したんです。たとえば、絵本にちなんだグッズやハンドメイド雑貨、アート作品も取り扱おう。作家さんによる企画展や原画展なども開催しよう。『seedbooks』もそうです。手製本の楽しさを知ってもらえるとともに、出来上がったミニチュア絵本は読めるし、ディスプレイやギフトとしても楽しめます。

絵本も「読みに来てもらうくらいの感覚でいいや!」と開き直りました。だから、お店に並べる絵本は、ほとんど見本にしたんです。

見本を読んで気に入ってもらったら、新品をお買上げいただく。1冊余分に発注してお店の備品にするというのは、経費がかさむので普通はやらないと思いますが、「どれも私が手元に置いておきたいと思った絵本なんだから、まあいいか」と。

そしたら、思いがけずお客様から、「図書館や大型書店は人が多くて苦手だけど、ここならゆっくり読めて、気に入ったらすぐ買えて楽しい」と喜んでもらえたんです。自分では気づかないお店のいいところを教えてもらえた時は、まるでサプライズギフトをもらったみたいで嬉しくて。

絵本に対して抱いていた先入観がすっかり取り払われて、“絵本的なもの”という広い解釈が自分の中に生まれました。おかしな話ですけれど、仕入れができなかったからこそ得た解釈と、それに従って行った対策が、お店の個性になって、そのおかげで今も続けられているんだと思います。
オープンから10年目、お店をリニューアルされましたね。
この10年の間に、私も妹も結婚して、妹の拠点が離れた街になったことと、結婚当初は主人もフリーランスで仕事していたんですが、数年たった頃に夫婦の事業をまとめて法人化することになったんです。それから数年もたつと、夫婦で使える仕事場がいよいよ必要になりました。その中で、実店舗の営業を継続すべきなのかどうか、悩んだ時期がありました。

管理しなくちゃいけないことが増えていくのに、こまごまとした雑用も、ちっとも減らない。自分自身の休み時間や休日を確保するためのやりくりが、上手にできない状態に陥っていました。実店舗がある以上、それはこの先もずっとずっと続くんだと考えがちになって、うんざりした気持ちになったりしました。

リニューアル話が持ち上がる直前も、イベント出展などで、自分ではコントロールできないくらい忙しくなっていたので、精神的にいっぱいいっぱいになっていました。だからこそ、そのまま「続ける」ではなくて、「自分はどうしたいんだろう?」と立ち止まって、しっかりと考えてみようと思えたんです。
立ち止まって考えたことでわかったこととは?
これまで「こんなことができたらいいなあ」と思いながらも、できていないことに歯がゆさを感じていました。ハンドメイド絵本の作家さんのことをもっと知ってもらいたい。お店で取り扱っている絵本について、選んだ理由やオススメのポイントなどをお客様にちゃんと伝えられるようになりたい。お店のことを知ってもらいたい、そのために発信したい。それに、さまざまな出会いもありました。作家さん、出版社の方々、『seedbooks』を通して出会ったお店の方々など、「これから楽しいことを一緒にしていけるかもしれない!」という期待感があったことも大きいです。

そこで、もう1回新たに、ここからスタートする気持ちで始めてみようと思いました。お店を始めた時は経験ゼロからのスタートでしたが、今回は10年という経験が土台にありますから。経験を活かして、発展させてやっていきたいと思っています。
最後に、恒松さんにとって絵本の魅力とは?
私が改めて絵本に興味を持ったのは25歳の時です。たった数分、短い文章と画面いっぱいの絵に触れただけなのに、心のりきみのようなものがすーっと緩んで、不思議なほど軽やかな気持ちになれました。同時に「自分が疲れている」ことにも気付けたんです。

世の中や周囲のペースは速くて、それに合わせようと自分自身もどんどんペースを上げる・・・本当は無理をしていても、疲れていても、それが慢性的になると、だんだんわからなくなってくると思うんです。私もそんな状態でした。絵本を読んで、気持ちに少しゆとりができたことで、「自分が疲れているんだ」と気づくことができたから、これまでとは異なる可能性・選択肢が見えてきて、今に繋がったんだと思います。

そんなふうに、絵本は子どもの頃の懐かしい記憶を呼び覚ましてくれたり、今の自分とは違う目線に立てたりして、ふと立ち止まるきっかけをつくってくれます。たとえば、子どもの成長を描いた絵本を読むと、「自分は大人になっているんだなあ」と改めて認識して、子どもの頃の感覚と今の感覚を感じさせてくれます。

「子どもの頃は、こんなことを思っていたんだ」「ゆったりとしたペースで歩いていた頃もあったんだ」「今はどうだろう?」。立ち止まってみると、見え方、受け止め方も変わってきます。これまでだったら「こうだ!」と思い込んでいたことが、「もしかしたら、こんな選択肢もあるかも?」と思えるかもしれません。

絵本は、「子どものためのもの」というイメージを持っている人はたくさんいると思いますが、それだけではありません。大人の女性にとっても、自分自身の心をいたわってくれたり豊かにしたりしてくれる、よきパートナーになってくれるといいなと思っています。
ありがとうございました。
(取材:2016年2月) 
取材:小森利絵
ライター/HP:『えんを描く』
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。


 

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