HOME ■関西ウーマンインタビュー(お店オーナー) 小林れいさん(京のつつみ屋小箱) 前のページへ戻る
■関西ウーマンインタビュー(お店オーナー)
小林れいさん(京のつつみ屋小箱)
小林れいさん (ラッピングコーディネーター/店舗ディスプレイアドバイザー) 株式会社クリエイティブコバコ 代表取締役 京都市出身。女子美術短期大学造形科卒業。店舗経営とラッピングを学び、不動産業、金融業のOLを経て2004年にラッピングコーディネーターとして独立。2006年から町家でラッピング教室と持ち込みラッピングサービスを始める。2012年より現在の場所に移転。 ラッピング教室、ラッピングサービスと平行しながら、「ギフトに選ばれる店作り」をモットーに小規模小売店店舗のディスプレイアドバイス、コンサルタントなども行っている。 京のつつみ屋小箱 〒604-0011 京都市中京区冷泉町65さいりん館 TEL:075-200-1659 HP:http://www.cova-co.net BLOG:http://ameblo.jp/wrapping-s |
ラッピングコーディネーターの資格はどんなきっかけで取ろうと思ったのですか? |
もともと雑貨屋さんをしたかったので、役立つかなと思いラッピングを習い始めました。以前、販売のアルバイトをしていた時、先輩から「こうするねん」って教えてもらったこともありましたが、「こう」って「どう」なのかが理解できなくて。最初はラッピングって苦手だったんです。どこにどう置けばいいかとか、どのくらい紙を切ればいいのか。理論的なことを習っていくうちに、おもしろいと思うようになりました。 |
独立しようと思われたのは? |
事務系のOLをしていましたが、ラッピングコーディネーターの資格を生かしてパッケージの会社に転職したんです。そこで働きながら残業の無い水曜日にラッピング教室を始めました。その会社は2年くらいでリストラされてしまったんですが、当時私は26歳。それまでに5社も転職しているんです。 自分の意思で転職したのは1回ですが、それ以外は会社が倒産して無くなってしまったり、部署の縮小でリストラにあったり。自分の意思じゃないところで仕事を変わらざるを得ない状況で、また就活しないといけないと思うとイヤになってしまったんです。ラッピングの教室も始めていましたから、アルバイトに行くくらいなら、教室をがんばったほうがいいかなと思い、転職するのを辞めて独立することにしました。 |
「持ち込みラッピングサービス」をはじめようと思ったきっかけは? |
それまで会社員として働いていた私は、仕事って自分が我慢してお金をもらうことというイメージがありました。電話でクレームがあれば、自分のことじゃないのにお客様に怒られて謝らなければいけない。 でも教室をしながら、百貨店のイベントでラッピングサービスのお仕事をさせていただいていたのですが、そこでお客様から「ありがとう」って言われたことがとっても衝撃的で嬉しかったんです。これってお客様に「ありがとう」と言われる仕事なんだと思いました。 |
百貨店でのラッピングサービスは、店内で購入された商品しかお受けできないんですが、中にはいくらお金を払ってもいいから、違うお店で買った商品をラッピングして欲しいという方もおられます。きまりなのでお断りしないといけませんが、個人的には受けてあげたいという想いがずっとありました。 こういうサービスの場を望んでいる方、必要とされている方はいる。でも百貨店でのサービスは、クリスマスと母の日と父の日くらいしかないんですね。文房具売り場で頼めば受けていただけることはありますが、それでも普通の包装紙がきれいな紙に変わるだけで、お客様のご要望には応えられていないんじゃないかと。だったら自分で専門店を開きたいと思い、始めることにしました。 |
どんなお客様が来られますか? |
必要とされている人はネットで探してでも来られますから、近郊だけじゃなく、和歌山や金沢など遠方からも来られます。お誕生日やお祝いなど特別な想いのある方が多いですが、中には、プロポーズするんです、と言って婚約指輪をお持ちになる方もいます。 贈るお相手を思いうかべて、あの人はこの色が好きだからとか、こういうイメージの人だからと、ご自身で選ぶこともありますが、男性だとお任せの方が多いですね。 お友達同士のご結婚祝いも多く、実用的な空気清浄機や炊飯器など、少し高価な家電をお持ちになることもあります。プレゼントを渡すとき、ヨドバシカメラの包装だとちょっと渡しにくいですからね(笑)最近はネットで安く購入されて、ラッピングして欲しいとお持ちになる方も増えています。 |
贈られる方のイメージに合わせたご提案をされているそうですね。 |
お客様はお相手が喜んでいただけるものを望まれますから、その方が普段どんな色を好んで身に着けているかとか、どんなファッション、たとえば可愛い感じとか、シックな感じとかをお聞きしています。コンサバ系だと紺と白というふうに色のイメージで表現できます。あと贈られるシーン。パーティだとドレスみたいなゴージャスなイメージにしてみたり。 単に紙やリボンを見るだけでは分かりにくいので、実際にリボンで輪を作って組み合わせをご提案しています。これとこれを合わせて、2色にするとこんなふうになりますよって。その時間がお互いに楽しいですね。 迷うお客様もおられますから、Aタイプ、Bタイプというようなパターンがあるといいのかもしれませんが、それだとせっかくお越しいただく意味が無いんじゃないかと思って作っていないんです。 |
ラッピングにはどんな想いが込められていますか? |
主役は中に入っている「物」ですが、物をそのまま渡して想いが伝わるかというと、そうでもないと思うんです。今は物が欲しいという時代じゃなくて、いかにサプライズするかですから、お客様はそのサプライズをどう演出するかを考えておられると思います。 わざわざお店に行ってラッピングしてもらうという、その手間を感じていただけることが気持ちの演出なので、「お客様の気持ちがお相手に伝わりますように」と、「受け取った方が喜んでくれますように」と中間にいる想いで、いつも念を込めて包んでいます。 リピーターのお客様は、ここを使ったらもう普通のラッピングで渡せなくなりますって言われますし、受け取った方も、ラッピングを取りたくないと言って写真を撮ってからリボンをほどくそうです。 |
「贈りものをする」という気持ちの主役はラッピングかもしれないですね。 |
ラッピングは形で残らないので、贈り主がお相手に渡し開けるまでの命です。大切なのはその一瞬のために、贈り主の気持ちをラッピングで表現し、お相手への想いを形にする仕事だと思っています。 よく作品集を出せばいいのにと言われることがありますが、自分の作品って何だろうと思ってしまって、作ろうとは思っていないんです。想いを形にすることが好きなので、お客様のお気持ちがあってこそ成立するものですから。 |
今後の展開は? |
ラッピングサービスというのはまだほとんど知られていないので、世の中の人に知ってもらいたいです。教室で教えている生徒さんたちがラッピングサービスのお店を持って、あちらこちらで認知されるようになればいいなと。 理想は駅の売店みたいに各駅にあって、朝持っていって、夕方受け取れるようなサービスができるといいなと思っています。 靴の修理屋さんとか、かぎ屋さんとか、あのくらいのブースでいいので、ラッピングカウンターの場所を作りたいですね。 そんなお店をしたい人もできる人もたくさんいると思いますし、とっても素敵な仕事なので、ぜひラッピングに携わる女性が増えて欲しいと思います。 |
ありがとうございました。 |
(取材:2015年3月 関西ウーマン編集部) |
■関西ウーマンインタビュー(お店オーナー) 記事一覧
-
「今、ここで」というタイミングの大切さ諦めかけていたお菓子作りの仕事へ戻り、夢を叶えた野口さん
-
「好きでい続けるためのラインをしつこく考え続ける」バックパッカーの旅を仕事に変えて雑貨店を営む森原さん
-
「迷った時は原点に戻る」雑貨店を始めて18年。お客様と作家さんの交流の場としてお店を守る美和さん。
-
「かわいい・たのしい・うれしいを形にしたい」好きを形に。100%自作のお店づくりを目指す幸恵さん
-
「自分が楽しいと思えることを仕事にしたい」とオリジナルブランド「co-fuque」を立ち上げた陽子さん
-
「右にでも左にでも進路は変えられる」ひらめきでオープンしたギャラリーも紆余曲折を経て10年を迎えるさとうさん -
「小さな目標を積み重ねていたら、気づけば今にたどり着いた」幼稚園のママ友二人が立ち上げたエプロンショップ
-
「ほっとする居場所でありたい」大阪・空堀商店街近くの古い長屋を改装して雑貨店を営む壇上さん
-
「女性から女性に贈るうどん」お父様から引き継いだうどん店で独自路線を追求する中山さん
-
「旅も生き方もリンク。過程そのものを楽しみたい」「旅」を柱に、ご夫婦でパン屋さんを営む来田さん
-
「無理をしない」は「自分に正直に生きる」こと美容学校の講師から一転、心なごむカフェを運営する清水さん。
-
「「好き」は自分と共に変わっていく」フランス雑貨と手づくり雑貨のお店をはじめて10年の八津谷さん
-
「遠回りをしても、やり続ければカタチになる」パティシエとして自分の納得する働き方を選んだ谷口さん
-
「自分にしかできないことを追求し実践する」薬剤師から一転菓子職人に。バウムクーヘン専門店を営む森さん
-
「10年続けていると、時代も環境も、私自身も変わる」日々の暮らしが楽しくなる雑貨店を営む福本さん
-
「絵本の魅力は物語の力。哲学書と同じくらいの内容が詰まっている」京都・上桂で絵本店を営む花田さん。
-
「ジビエは美味しいと感動してもらうためのツール」ジビエの世界にはまり、今やジビエ料理冒険家を名乗る竹内さん
-
「じっくりとその人の人生につき合い、日々心豊かに暮らす提案をしたい」京都桂の人気雑貨店の店主トノイケさん。
-
「絵本は心をいたわり豊かにしてくれるパートナー」ミニチュア絵本やハンドメイド雑貨も扱う恒松さん
-
「一つのものをずっと好きでいて大切にする」フランス雑貨とカフェを営む松橋さん
-
「かわいい雑貨。その物語と旅の思い出を共有したい」「ならまち」で雑貨とカフェのお店を営む井岡さん
-
「何を楽しいと思うかは自分の捉えかた次第」4年の世界一周の旅を終えて帰国、人気の靴のお店を運営する宮川さん
-
「自分らしさに執着し続ければ、きっと自分にしかできない花が咲く」国産アロマに特化した薬局を運営する吉田さん
-
「似合わないという固定観念を捨て、新しい風景を見て欲しい」アクセサリーのアトリエを営む山下さん
-
「ディズニーランドのようなわくわく感を日常の中でも提供したい」バルーン専門店を営む澤田さん
-
「私が私らしく皆が幸せになる豊かさの周り方が理想」奈良の古民家で古道具や手作り雑貨の店を営む上山さん。
-
「人それぞれ想いの形。それを見つけて創る仕事」ZAKUROという自分ブランドでオーダージュエリーを作る鈴木さん
-
「お客様と直に向き合える環境が一番」お花屋さんとバーが一緒になったお店を営む岡田さん
-
「ラッピングは贈る人の気持ちを形にする仕事」リボンを選ぶ時間が楽しいと話す小林さん
-
「英語が身近にあればもっと楽しく英語が学べる」英語で苦労した経験から洋書屋を運営する郁子さん。
-
「縁を形にしていくためには自分が動くこと」自身の足の経験から起業。足の研究家として注目を集める櫻井さん
-
「買っていただくより「楽しかった」と言ってもらえるほうが嬉しい」お洒落な京都北山で20年。大人気雑貨店オーナーの郷田さん
-
「コミュニティ作りは女性の働き方のひとつ」自宅でレンタルスペースを運営し、地域のママたちの憩いの場を作る弥恵子さん
-
「節目の大切な日に本物の良さを伝えたい」着付け師から1歩進んで着物のトータルプロデュースのお店を始めて11年の永江さん。
-
「いのちの繋がりを伝えたい」創業53年のシルクスクリーン印刷業の4代目を継いだ娘、みなみさんとアートカフェを営む吉岡さん
-
「アート作品との出会いは自分自身の中の豊かさに気づくこと」京都・千本通りでギャラリー・サロンを運営する村山さん。
-
京都・北区船岡温泉の近くにある、自然食と無農薬にこだわったおばあちゃんの手作りごはんが評判のお店。
-
ほっこり癒される空間が地元で人気のカフェゆったりとした時間が流れる店内は個展の案内や地元の作家さんたちの作品がいっぱい。
-
「私の好きな物がきっとみつかる」そんなワクワク感でいっぱいになるガーデンショップ。寄せ植えや飾り方のアイデアとその発想にテンションUP。