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■関西ウーマンインタビュー(お店オーナー)


吉岡由紀さん&多田みなみさん(Art Café「ナナイロ」)

吉岡由紀さんと、娘さんで店長の多田みなみさん
母娘で経営されているカフェ
Art Café 「ナナイロ」 
〒604-8872 京都市中京区西ノ京両町2−1
TEL:075-823-7716
HP:http://kyoto7716.com/
「ナナイロ」さんは、どんなお店ですか?
みなみさん:ドックカフェと、オリジナルTシャツやバッグを作れるプリントルームを併設しています。元々うちはシルクスクリーン印刷の会社なので、もっと一般の方にシルクスクリーンを知っていただこうと思ってカフェを開きました。
シルクスクリーンの会社をされているのですね。シルクスクリーン印刷とは何ですか?
由紀さん:うちは先代が創業して53年、主人が3代目で、娘が4代目になります。シルクスクリーンというのは、版を昔は絹で編んで、デザインを焼付けて、そこにインクを落として刷る印刷方法です。今はテトロンというナイロンでできた版を使いますが、機械でできない小さなものは一つづつ手作業で刷っていくんです。

輪転機を廻してたくさん刷るのをオフセット印刷といいますが、オフセット印刷と違うのは、シルクスクリーンは対光性がありますので、紫外線に当てても色が変わらずキレイなんですね。昔はお店の看板やポスターにも使われていましたが、今はインクジェットが主流になりましたので、シルクスクリーン業界も厳しくなってきています。
どんなものを作ってこられたのですか?
由紀さん:先代が商業印刷にこだわってやってきましたので、商店の方やお寺さんなどを対象に印刷してきました。扇子や色紙、掛け軸などですね。今は昔からのデザインを活かして、文房具や雑貨などにも印刷しています。

シルクスクリーンは金や銀が得意なので、色の輝きがとてもきれいなんですね。オフセットではそれが出ないので、オフセットの後にシルクスクリーンをかけるとすごく高級感が出るんです。
お店を開くきっかけは?
由紀さん:長年「商業印刷」にこだわり商売を続けてきましたが、時代の流れと共に印刷業界も大変厳しい状況になってきました。また娘が三代目として継いでくれることになりましたので、将来性を 考えて時代にマッチした会社に変えていかないといけないとずっと 考えていました。

転機は、2年前私が乳がんになって手術をしたんですね。ある日しこりを見つけたので病院に行き、「乳がん」と告知された時、当たり前にあった毎日が当たり前でなくなったんです。もっと心と体を大事にする生き方をしたいと考えたんです。 治療を続けながら「食」はいのちの根源であることを実感し、自分の生活を見直しました。元気を取り戻す中で、以前から娘と「二人で店をやりたいね。」と話していた「夢」を実現に移すことにしました。

以前から「街角印刷アンテナショップ」という形態をを考えていたので、そこにcafeも併設しました。また子育て中に子ども達に読んで聞かせた絵本を残していて、二階に「ナナイロ文庫」と称して子どもたちや大人の方々にも絵本を読んで、お茶して頂けるゆっくりスペースも作りました。
このカフェのこだわりは何ですか?
みなみさん:初めはプリントルームに来ていただく方に、ゆっくりしていただくカフェスペースのつもりだったんですが、だんだんお店の特徴というか、自分たちの店にしかないものを作ろうと思ったんです。まず天然酵母のパン、これは毎日母が焼いているんですが、それをランチで召し上がっていただいたり、もちろんテイクアウトもできます。

それと、うちの社長が園部の農家さんと一緒に、無農薬のお米を作っているので、玄米を練りこんたオリジナルのパンも焼いています。あとワンちゃんのおやつやごはんも、人間と全く同じもの、無添加で安心安全の材料で作っています。

由紀さん:今農業が成り立たなくなっていて、放置されている田んぼや畑がたくさんあるんですね。ちゃんと植えて育てないと、どんどん土が悪くなってしまうので、園部の農家をしている主人の友達が、そうした田んぼや畑を借り上げて、みんなで無農薬の畑を作っているんです。3年目でやっと無農薬と認められるお米ができるようになって、本当にもちもちして美味しいんですよ。
「ナナイロ」というお店の名前は、シルクスクリーンのインクの色ですか?
由紀さん:インクの七色という意味もありますが、七色の虹は幸せの象徴でもあります。七色それぞれ個性があってバラバラなんだけど、お互いを認め合って素晴らしい調和をしているんですね。お互いを命として尊重し合えれば、もっと幸せな世界になるんじゃないかという想いを込めてつけました。
由紀さんは、これからこのお店でどんなことをしていきたいですか?
由紀さん:私は絵本が大好きなので、うちの子どもたちに読んできた絵本がたくさんあるので、それを2階に並べて絵本スペースを作ったんです。

ここにはちゃぶ台があって、小さなお子さん連れの方に来ていただいて、ゆっくりごはんを食べていただいたり、毎月親子のワークショップも開催しているんですよ。

京都の人形劇団の方に来ていただいて鑑賞会をしたり、絵本の読み聞かせやリズム遊びをして、ここの天然酵母のパンも食べてもらっています。

また、画家の草場一嘉さんが描かれた「いのちのまつり」という絵本があるんですが、カフェをする前から、この絵本を広げる活動に参加していまして、この絵本を元にしたドキュメンタリー映画を上映する団体を作ったんです。

『命っていうのは、宇宙の誕生からずっと続いてきて、ずっと繋がっているんだよ。誰一人欠けてしまったら今の自分も無い、みんな繋がっているので、命を大事にして、いじめや人を蹴落としたりしないようにしようね』という内容で、2階の絵本スペースで映画の上映会をして、お母さんたちに見ていただいているんです。

お店ができたことで、こうした映画の上映会だけでなく、いろんな想いを発信する拠点ができたことがとても嬉しいです。この辺りは小学校も幼稚園もありますし住宅も多いので、地域の中で、小さな子どもからお年寄りまで、ゆっくりくつろいでいただけて、心の豊かさという情報を発信する場所になっていけるといいなと思っています。
みなみさんは、このお店の将来にどのような夢を描いていますか?
みなみさん: この会社を継ぐかどうかを親から聞かれた時は、全く継ぐ気は無くて、ずっと「イヤや」と言い続けていたんです。親が自営業で苦労して育ててくれた姿を見てきたので、同じ道 には進むことは簡単に決断できませんでした。でも先代から受け継いで来た技術や想いを、このまま終わらせてしまうのはもったいない。でもどういう形で引き継ごうかと考えて、想いや技術も生かしつつ、自分の考えも表現出来る方向で継ぐという決心を固めて、お店を開くことになりました。

まだまだ手探りなんですが、夢としては、シルクスクリーンの印刷もですが、ワンちゃんのほうにも力を入れていきたいと思っているんです。最近もう一匹ワンちゃんを迎えたんですけど、ペットショップで売れ残っていたのを里親に名乗り出て引き取ってきたんです。 そうした人間の勝手で命を粗末にされることに、すごく心が痛むので、少しでも保護活動をされている方に協力したり、情報を発信したりサポートができるお店になっていきたいなと思っています。

この顔クッションもうちで印刷したオリジナルなんですが、売上げの一部が保護活動の団体に寄付しているんですよ。こうした、うちにしかない「おもしろグッズ」もたくさん増やして、いつもワクワクしていただけるようなお店にしたいですね。
ありがとうございました。
 
(取材:2014年9月 関西ウーマン編集部) 
 

 

 

 


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