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■関西ウーマンインタビュー(クリエイター編)


宮本 佐知子さん & 隅田 奈美さん(人形創作ユニット Bruno)

 
宮本佐知子さん:(写真左)奈良芸術短期大学陶芸コースを卒業後、北海道の牧場スタッフなどを経て、1998年に人形劇団『クラルテ』に入団。役者や人形製作など劇団内の幅広い仕事に携わる。2001年に退団。今後を模索するため、カフェでアルバイトをしている時に、隅田奈美に誘われて『人形創作ユニットBruno』を結成。ユニットでは主に、ぬいぐるみや人形の縫製関係を担当する。

隅田奈美さん:(写真右)高校卒業後、人形劇団『クラルテ』に入団。役者や人形デザインなど劇団内の幅広い仕事に携わる。2002年に退団。2003年にバンタンキャリアスクール雑貨コースに入学。2004年に卒業した後、人形劇団の先輩である宮本佐知子を誘い、『人形創作ユニットBruno』を結成。ユニットでは主に、ぬいぐるみや人形のもとになるデザインやストーリーを考えたり、メイク部分など絵を描いたりする部分を担当する。

人形創作ユニットBruno
HP: http://www.bruno-doll.com/ 
FB:https://www.facebook.com/Brunodoll0/
「カワイイけれど、ちょっぴりゆかいでぶきみな」をコンセプトにしたぬいぐるみや人形を製作する『人形創作ユニットBruno』の宮本佐知子さんと隅田奈美さん。細かい役割分担によって、ふたりだからこそ出来上がるぬいぐるみや人形をつくっています。個展は「お芝居」、ぬいぐるみと人形は「役者」と捉えるユニークな視点を持つおふたりにとって、ぬいぐるみや人形の存在とは?どんな想いで製作されているのでしょうか。
「ふたりならできる!」という確信
おふたりの出会いは?
宮本佐知子さん(以下、サチさん):同じ人形劇団で働いていた先輩と後輩です。劇団では人形製作や舞台美術、役者、営業と何でもこなしていました。

隅田奈美さん(以下、ナミさん):同じ班でいつも一緒に仕事をしていて、どんな仕事もサチとなら息が合う。「いつか2人で人形劇ができたらいいね」と語り合っていたので、サチが突然「劇団を辞める!」と言い出した時は驚きました。

サチさん:仕事は楽しかったのですが、自分で何かをやってみたいという気持ちが膨らんでしまったんです。これまでにも牧場や動物園で働くなど、おもしろそうと思うことには飛びついていくタイプ。自分の手で何かをつくったり表現したりする仕事を模索したいと退団しました。

ナミさん:サチを追いかけて、私も退団しました。劇団に所属していると、役者や営業もしなければならないし、全国を巡る旅公演もある。もっと人形製作に専念できる仕事を見つけたいと思ったんです。
退団後、ユニットを結成されたのですか?
ナミさん:「ふたりならできる!」という確信があったので、最初からサチと一緒に仕事をしたかったのですが、人形製作を仕事にする方法がわかりませんでした。そこで、雑貨の仕事について学べるスクールに1年間通って、仕事にできる見通しが立ってから、サチに声をかけることにしたんです。

サチさん:その間、私はカフェでアルバイトをしながら、今後を模索していました。

ナミさん:スクールに入学後、仲間と手づくり市に出店することになって、サチと一緒に指人形をつくって出品しました。雑貨店のオーナーが私たちの作品を気に入ってくれて、「販売しているものを全部買い取りたい」と委託販売してもらえることに。サチに伝えたら、すごく喜んでくれました。

卒業後には、雑貨店で働き始めた仲間がオーナーにつないでくれて売り込みに行ったら、委託販売と個展が決定。人形製作を仕事にできる可能性が見えたので、サチに「一緒にやってみない?」と声をかけました。

サチさん:「ナミ、やったな!」と他人事だったんですけど(笑)。誘われた瞬間、ナミとだったらできるとビジョンがわあぁーーーっと広がったんです。 
おふたりともに、「お互いだったら」という確信があったんですね。
ナミさん:私が苦手なところはサチができて、サチが苦手なところは私が補える。たとえば、私は不器用で縫物がうまくできないのですが、サチに「こんなことをしたい」と相談すると、私のイメージをカタチにしてくれます。

サチさん:私は新しい企画を考えることが苦手ですが、ナミはバンッと思いつく。

ナミさん:人形製作もそう。こまごました役割分担で、2人で1体のぬいぐるみや人形が出来上がります。大きくわかりやすいのは、もとになるデザインやストーリーを考えたり、メイクなど絵を描いたりするのは私で、縫物関係はサチです。
そもそも人形劇団に入団するほど、おふたりは人形が好きなんですね。
ナミさん:幼い頃からぬいぐるみや人形が大好きで、よく遊んでいました。「この子に似合うのはこんな服」と絵を描いたり、「この子はこんなキャラクター」とお芝居を考えたり。いずれは絵を描いたり何かをつくったりするお仕事に就きたいと願っていました。

サチさん:私は家族や親戚に、服飾や織物、絵画、水墨画、陶芸とつくることが得意な人ばかり。身近に教えてくれる人たちがいたので、自然とつくることを遊びにしていましたし、ナミと同じでぬいぐるみや人形を擬人化して遊んでいました。

ナミさん:ぬいぐるみや人形で遊んでいた延長線上に今があります。今でも出来上がると、ふたりで思わず笑い合う。出荷前には人形劇をしています。

サチさん:私たちにとって、ぬいぐるみや人形は「息をしている生き物」。製作途中で髪の毛がついていない子がいたら、「早く、私の髪をつけて!」と聞こえてくるから、「ごめんな。明日はつけるからな」と言って帰るんです。

ナミさん:ひとりぼっちの子がいたら「さみしいな。わあ、わあ、わあぁー」と自分の声を響かせているかもと(笑)。そういうのを共有できることが嬉しい。雑貨店に提案する時も「このお店だったら、こういう子たちが住んでいそうだね」「こんな子たちがいるといいんじゃない」と話すと、サチからは「お洋服はこういうほうがいいんじゃない」「飾りはもうちょっとこんな感じで」と、ふたりでわくわくしながら話し合って、ぬいぐるみや人形をつくっています。

 
まずは自分たちが愛着を持つこと
ぬいぐるみや人形の世界観はどのようにつくっているのですか?
ナミさん:個展を1つの「お芝居」として、ぬいぐるみと人形を「役者」として仕上げています。個展のたびに毎回新作を発表しているようです。
個展は「お芝居」、ぬいぐるみや人形は「役者」。おもしろいですね!
ナミさん:現在はリボンタウンのネネちゃんシリーズ、コーヒーちゃんとミルクちゃんシリーズ、喫茶モカロンのスプーンさんとフォークちゃんシリーズを主に展開しています。

5年ほど前までは、お店や個展ごとに毎回ストーリーはもちろん、ぬいぐるみや人形も変えていました。個展や納品のたびに新しい役者が誕生して、数ヶ月後にはいなくなる・・・だんだんとモヤモヤしてきたんです。

お店から「人形が売れ残りましたよ」と聞くと、ものすごく辛い。その子たちをまたつくりたくても、お店からは新作を求められるからできない。この子たちと一緒に成長していける方法はないのかなと悩みました。

サチさん:あと「どの子をつくったかな」「あの子はどこに行ったのかな」とわからなくなってきて、つくっているぬいぐるみや人形にちゃんと愛着を持てているのかも不安になりました。私たちのそういう気持ちって、ぬいぐるみや人形を通して、お客様にも伝わってしまうから。
求められるものと愛着を持てるもの。どうクリアしたのですか?
ナミさん:思いきって立ち止まってみることにしたんです。収入が途絶えてしまうので勇気はいりましたが、これから先も続けていくためには必要な時間だと、2カ月ほどお休みしました。

お客様からずっと喜んでもらえるもので、私たちもつくっていて楽しいもの。ストーリーを1から考えて誕生したのが、リボンタウンのネネちゃんの世界です。ネネちゃんを含めて、個性が立った基本キャラクターを7パターン考えました。

その子たちが冬ならクリスマス、夏だったら海、水着や浴衣を着せたり、思いきってクラゲにしちゃったり。主役を変えれば、ストーリーもクローズアップする登場人物も変わります。そうすれば、毎回、お客様に新鮮な気持ちで楽しんでいただけるだろうし、お店のオーナーにも新作として見てもらえるだろうと考えました。

サチさん:その後からお客様の反応が変わりました。「私、ネネちゃんが好き!ネネちゃんはいる?」など、委託店の店員さんより詳しい人も現れるほど。私たちが愛着を持てたからこそ、お客様も同じように愛着を持ってくれるんだと思いました。

 
新しい視点を取り入れる
委託販売に、年10回ほどの個展開催と、製作が大変ですね。
ナミさん:私たち2人だけでは、どんなに頑張っても1ヵ月で30体ほどが限界です。待っていてくれるお客様に手にしていただけるためにはどうしたらいいのか、これは永遠の悩み。5年ほど前になりますが、人形製作だけに集中したいと一度、うさぎの顔の形をしたポーチを工場に発注したことがありました。

サチさん:機械でパーンパーンと出来上がってきた子たちはやっぱりなんか違いました。

ナミさん:均一で上げられてくるものがこんなにも味がなくなってしまうなんて。ブルーノらしさがなくなってしまい、愛着を持てなかったんです。
ブルーノらしさとは?
ナミさん:「カワイイけれど、ちょっぴりゆかいでぶきみな」をコンセプトに製作しています。つくっていると、顔がパーンと腫れてちょっとぶさいくになっちゃった子も出来上がるのですが、それにもすごく愛着があるんです。すべてがきれいな仕上がりではなくて、かわいい子も、ぶさいくな子も、おもしろい子もいるのがブルーノらしい。
ブルーノらしさを守りつつ、製作できる数を増やすために、どんなことをされたのですか?
ナミさん:人形製作をしている雑貨店のオーナーさんから「他の人に手伝ってもらったら、どう?もっと広がるよ」とアドバイスをもらい、手伝ってもらうようになりました。

サチさん:最初は「どこを?」「どうやって?」と戸惑いましたし、私たちと同じようにつくってくれるのか、気持ちの部分でも不安でいっぱいでした。

仕上がりを見て「えっ?」となることもありましたが、「これをもうちょっとこうしたらブルーノらしくなるかも!」と一人ひとりの手仕事のよさを活かせるようになってからは変わりました。

ぬいぐるみや人形の小物ひとつでも「こんなものをつくってみたよ」と嬉しそうに話してくださる方もいます。そうやって、一緒に想いを込めてつくっていただけると嬉しい。

ナミさん:ブルーノのぬいぐるみや人形を好きでいてくれるなど、気持ちのある方々に関わっていただいていますから。「もっとこうすると、人形の指の形がよくなるよ」「こうすれば、耳の形がきれいになるよ」とアドバイスをくれる方もいます。「これはこうするもの」「こうしてきた」と決めてかからず、よりよくなる方法があるのなら、柔軟にどんどん取り入れていく。私たち2人以外にも関わってもらうことで、これまでとは異なる視点をもらい、ブルーノがより成長できた気がしています。

 
結成から11年。また「1」に戻る
今後どんなことをしていきたいとお考えですか?
サチさん:最近、台湾や香港など海外のお客様が増えてきています。ブルーノでラインスタンプをつくった時も、日本よりインドネシアなど海外の方々が購入してくださっていたので、嬉しくて。ツイッターやインスタグラムを見て、問合せをくださることもあります。先日は台湾在住のブルーノ好きな人とラインで「どの人形がいい?」とやりとりしながら、選んでくださったお客様もいました。

これまで海外に向けてというのは考えていなかったのですが、こんなにもリアクションをくださるのなら仕組みを作ってアクションしていきたいと考えています。

ナミさん:お客様にとってブルーノといえば、ぬいぐるみと人形の作家なんだと改めて実感する出来事もあり、小物を幅広く展開するよりも、もっと人形製作に注力していきたいという想いが強くなりました。結成から11年、また「1」から原点に戻って新たな気持ちで取り組んでいます。
ありがとうございました。
取材:2016年11月
ブルーノのぬいぐるみや人形を見ていると「ムフフ」と楽しい笑い声が聞こえてきそうで、こちらまで「ムフフ」と自然と笑顔になります。それは宮本さんと隅田さんがぬいぐるみや人形を「息をしている生き物」として、愛を持って1体ずつ、つくっているからこそ。

目の前の仕事に追われると、いつのまにか「こなす」だけになってしまい、想いは置いてけぼりになることがあります。でも、仕事に命を吹き込むのは想い。ブルーノのおふたりが「ぬいぐるみや人形を通して、お客様に想いが伝わる」と話しておられたように、ちゃんと表れる、その人らしさのようなものではないでしょうか。想いを持って仕事ができているだろうか・・・自分に問いかけながら、時には勇気を持って立ち止まって軌道修正することも大切だと、お話をうかがいながら思いました。
取材:小森利絵
ライター/HP:『えんを描く』
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。



 

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