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■関西ウーマンインタビュー(クリエイター)


今川 咲恵さん(壁画作家)

今川 咲恵さん(壁画作家)
2003年~2010年、小さな託児所「保育ルームうさぎぐみ」経営者兼保育士として勤務。当時から壁画制作を手がけていたが、35歳で作家活動に1本化すると決意。現在、日本全国からの依頼のみならず、香港やインドといった海外活動も増えている。壁画制作と共に個展なども開催。2013年、本人も驚く電撃入籍をし、ますます作家活動に専念できる環境となった。大阪市出身、大阪市在住。
おえかきさきえブログ http://sky.ap.teacup.com/sakue/
石器時代から存在する壁画。
その時代を描いたものから、宗教的なもの、
夢や希望を絵にすることで誰でも気軽に見れるもの。
壁画は、アートの原点だ。

その原点を制作している今川咲恵さんを訪ねた。
出会いも、喜びも、幸せも、全ては壁画から
~壁画に恋した作家~
はじまりはゾウとビール
彼女は恋をしているそうだ。
筆を持って壁に向かう時、盲目になれて、
言葉にできない嬉しさとトキメキ、幸せがある。
これはもう「恋」以外の何ものでもない!

咲恵さんはそう語ってくれた。

12月、天満橋のカフェへ。
この日は彼女の趣味が高じて続いているボールペン展がカフェで開催されていた。

RJカフェ(http://www.rj-luogo.com/)のシャッターと壁にも咲恵さんの絵がある
壁画はいくつも掛け持ちする訳にはいかず、また屋外での作業は天候にも左右される。
ぽっかりと時間が開いた時、彼女はボールペンに粘土をつけ、色を塗り、顔を書く。

カワイイと、面白いと、気持ち悪い、を
見事にミックスした、何とも味のあるボールペン達。

同じように彼女の絵もまた、味がある。
絵を見た大人は必ずニヤリと微笑み、子供は歓声を上げる。

私のような芸術音痴は多くを語れない。
ただ、咲恵さんの生み出す色は純粋で優しい。
生命力があり、何よりも媚びない素直さがある。

ストンと体に入りこみ、見る人に笑顔をもたらす。
img
おじさまーメイド(左)と、にんじん(右)
シュールなボールペンが
カフェの壁に並び、里親を待つ
 

壁画の料金は1m×1mの1㎡あたり、25,000円~。
施設、会社、病院、自宅を問わず壁や布にオーダーできる
咲恵さんは名前の通り、
周りの人に笑顔を咲かせ、ほんわりと恵まれた気持ちにさせる。
気取らず、構えず、背伸びせず。
15分話せば、まるで昔からのお友達だ。

彼女が絵を書き始めたきっかけは、ビール飲み放題。

自身で託児所を始めるために、それまで勤めていた保育園を辞め休業していた時のこと。
友人がカフェを開くことになった。
暇を持て余していたこともあり、開店準備の手伝いをすることに。
その時、友人オーナーが「テントにゾウの絵を書いて欲しい」と会う人会う人に依頼していた。
片っ端から断られた友人オーナーは現物支給を提案した。
『ビール飲み放題』
その一声で、咲恵さんの手はスッと上がった。
「わたし、描く!」

脚立に上り、瓶ビール片手にゾウの絵を描く。
大好きなビールと、脚立の上で感じる風。
何ともいえない解放感と、わきあがってくる心のウキウキ。
「あー!こんな楽しいこと、仕事にできたらいいなぁ」

1人の壁画作家が生まれた瞬間だった。
サインと父と、壁画と笑顔
「壁画は全てをスッ飛ばして、人と近くなれる」
何よりも出会いがある。

と、咲恵さんは話す。
書いていると前を通った人に声をかけられる。

何を書いてるの?
いつできるの?
あなたは画家さん?

依頼主さんとは家族同然に、ご近所さんとは友達に。
絵が、人と人とをつなぐ。

最新の作品は「エンゼルハウス青葉台」の壁に。
地域と親子を結ぶNPO施設と地名の青葉をイメージして平成26年1月完成予定
彼女の絵には必ずサインがある。

Let's make a flower open up in everyone's heart!!
「みなさんの心にパッとお花が咲きますように」

これは作品にいれるサインの代わり。
壁画は施設や家など、自分の持ち物でない場所に書くもの。
だから「今川咲恵」と書くには抵抗があった。
img壁画が仕事として入ってき始めたころ、
咲恵さんは英語がペラペラのお父さんに
「私の絵を見て心にパッとお花が咲いてほしい」
という内容の英文を作ってと頼んだ。

そして数日後に渡されたのが、
Let's make a flower open up in everyone's heart!!

この言葉は特別なものだ。
サインがいくつかの壁に書かれ、
壁画作家として動き出した頃、
お父さんが倒れた。

一命は取りとめたものの、介護が必要となった。
咲恵さんは家族を支えて生きることと、
壁画作家で生きていくことを、決心した。

サインを一つずつ書くたびに、
お父さんの優しさと、サインに込めた思いを感じる。

作品を仕上げるたびに、
咲恵さんの体にサインが染みこんでいく。
今は絵もサインもお父さんも一つだ。
img 何かを犠牲にした訳ではない。

大切にしたいもの、
手放せないもの、
あきらめたくないことを真剣に考えて、
一生懸命に絵を描いて、
いつでも楽しいと感じていたら、
夢だった壁画作家になっていた。

さきえさんは全てが奇跡で、
神様がくれたご褒美だという。
自分が作家でいられることも、
結婚できたことも、
依頼主が絵によって笑顔になってくれることも。


さきえさんの絵を見た人は、なぜだか笑ってしまう。
そこには描ききれない優しさと、
見たこともないほどの強さと、
数え切れないほどの幸せが隠れているから。


 
四十宮麻美 (よそみや あさみ) ≪ライター≫
1979年生まれ。20代で突然勤め先を退職しフリーランスと名乗りはじめた結果、気がつけばライターに。取材執筆を中心とし、緊張感のなさと相手の懐にグイグイ入りこむ厚かましさで、上辺だけではない踏み込んだ取材を得意とする。

外部スタッフとしてフリーペーパーの編集に約4年間たずさわり、関西と東海地方を中心とした高齢者施設の取材訪問数は400件以上。他にも情報サイト、情報誌の執筆や外部広報なども手がける。


愛するものは冬のお布団と夏のかき氷。人生に必要なものは、白飯&明太子、整体、温泉。自慢は10時間以上寝続けられること。
img
筆者にも幸せの青葉がヒョっこりと!
皆さま今年もよろしくお願い致します

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 


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