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■関西ウーマンインタビュー(クリエイター)


黒川ツナ子さん(イラストレーター)

 
黒川ツナ子さん イラストレーター
岡山県生まれ。京都芸術短期大学ビジュアルデザイン科卒業。いくつかのデザイン会社を経てフリーになる。くまや動物をモチーフにしたイラストをはじめ、映画のタイトルのデザインやイベント等のフライヤーなどの多岐にわたるデザインを手がける。
黒川ツナ子「おふろだいすき」かわいいくまの絵本製作プロジェクト
子どもの頃から絵をかくのは好きだったのですか。
私は岡山出身なんですけど、すごい田舎だったので、遊び相手も少なく、ずっと絵ばかり、それもお姫様の絵ばっかり描いていました。キラキラのドレスにしようとかリボンがついたドレスにしようとか、空想しながら描くのがすごく好きでした。
イラストレーターになられた経緯を教えてください。
京都芸術短期大学(現:京都造形芸術大学)のビジュアルデザイン科を出て、デザイン会社に就職しました。最初の会社は通販カタログの版下制作で、言われたことだけを切り貼りするだけの仕事でした。

それしかないと思って一生懸命やってたんですけど、ある時交通事故に遭って、このままじゃダメだ、自分のやりたいことは他にあるんじゃないかと思って辞めたんです。でもその時はそれが何かは分かりませんでした。

それから道端で偶然、造形大時代の先生にお会いして、大学が通信講座を始めるので人を探していたそうで、「ちょっと来る?」という感じで、なぜか大学の嘱託員として1年間働くことになりました。その間大学にいて、80歳すぎてもキラキラしている先生がいたり、生徒もキラキラしているのを見ていて、「私、何してるんだろう」と思いながら働いていました。

1年の契約が終わる頃、これもたまたま数年ぶりに知人に会って、知り合いがデザイン会社をやってるんだけどどう?って誘われて行ったんです。そこは国立博物館の図録を作る会社で、国宝や重要文化財を近くで見ることもできて、図録を作らせてもらっていました。そこは絵を書くのも、図案をおこすのも全部イチからの手作業だったで、すごく勉強になりました。そこで初めて、私にも描くことができるんだ、仕事としてできるんだという自信がつきました。
クマちゃんが誕生したのはいつ?
結婚を機に退職して、飲食店などいろんなパートで働いていましたが、子どもが産まれてから、自分の時間がわからなくなって育児ノイローゼのような状態になったんです。上の子泣く、下の子泣く、私も泣くというような。

そんな中で子どもが寝た後に絵を描くようになったんです。それがクマちゃんが誕生したきっかけですね。やっぱり描くと子どもも喜ぶので、少しづつ絵も増えていきました。

上の子がお風呂が大嫌いで、お風呂の絵本を探していたんですけど、「お母さんと描いてみようか」と言って子どもと一緒に作ったんです。

その本は、お風呂に入って気持ちよかったね、で終わるお話でした。子どもも、自分のお友達に読んであげたりして、すごく気に入っていたみたいです。 
「絵本」として製本化されたきっかけは?
子育てしながら、お店のロゴや名刺に入れる似顔絵といったイラストのお仕事をいただくようになっていて、少しづつお仕事での繋がりが広がって、クマちゃんの絵がだんだん人目に触れる機会が増えてきたんです。

知人主催のイベントで、イラスト展をさせて頂いた時、「絵本にしたらいいのに」と言われたことがきっかけです。でも製本化するのは一人では大変なので、有り難いことに、そのイベントでご一緒し意気投合したデザイン会社の方にクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げて頂き、たくさんの方に支援いただいて、製本化が実現しました。
「おふろだいすき」の絵本には、どんなメッセージが込めれているのですか
ドロドロになるまで遊んで帰ってきたクマちゃんが、お風呂の中で泡アワになって泥を落としてキレイになって、寝る前にお月さまと一緒に、その日1日に「ありがとう」って感謝して、みんなの幸せを祈ってから、おやすみって寝る、というお話ですが、このお月さまは私たち親でもあり、大きな存在というイメージです。

私が一番絵本に込めたかったのは、「ありがとう」ということと、「全ての存在に幸せになって欲しい」と祈ること。思いやりや愛があるからこそ日常があるということを、子どもたちに伝えていきたいという想いを込めています。
「祈り」のメッセージが生まれたいきさつは?
私自身が子育てに悩んだことや、家族が病気をしたことなど、いろんなことがありましたが、「祈り」ということを自分のベースにしたいと思ったきっかけは3.11です。大変な暮らしを強いられている人がいるのに、自分も含め、かたや何も無かったかのような日常がある。関西に住んでいて、現実に起こっていることのあまりのギャップにすごく違和感を感じていました。全ては当たり前ではないのに当たり前になってしまっている。その「当たり前」に感謝すること。そして全ての幸せを祈るということを、子どもたちに伝えていきたいと思ったんです。

「祈る」ことって誰にでも出来る素晴らしいことだと思いますし、例えば同じ考えの人が100人集まるなら、100人それぞれが自分の隣の人に「こうしていこうよ」と、思いやりをベースにした前向きな提案をし、共感を得ていくほうが、本当はちゃんと広がっていくんじゃないかと思うんですね。私たちは生きているんじゃなくて生かされている。命を粗末にする今の世の中で、やっぱり自分も含めて全部が幸せになってほしい。皆さんの支援によって製本化するにあたって、このメッセージを入れたいと思ったんです。
子どもが書いたようなタッチにはどんな意図がありますか。
もともと子どもと一緒に、チューブのままグチャグチャグチャと楽しみながらできたものなので、筆を使って神経質に書くものではないと思っていましたし、なんだか薄っぺらいものにはしたくないというのもありました。

色を重ねていくことで出てくる色って、1色でも無いとその色は生まれない。ベースがあって、またベースがあって、またベースがある。それって人との繋がりや想いと同じで、重ねていくことって大事だなと思ったんです。
この絵本に興味をお持ちの方に向けてヒトコト
全ての幸せを祈っているときの心は、太陽のような心だそうです。地球規模で異常気象など、いろんな事が起こっている中、「すべての存在が幸せであってほしい」という私の想いを込めていますが、読む人がそれぞれの受け取り方をされても良いと思っているんです。この絵本を見たり手に取ってくださった方の心がホワッと暖かくなってくれたらとても嬉しいなと思います。

幸せを何かに依存するのではなくて、私たち大人も含め、これからを担う子どもたちが自ら太陽のような心で生きていけるような未来にむけて、自分に出来ることをやっていきたいと思っています。
ありがとうございました。
(取材:2014年9月 関西ウーマン編集部) 
撮影協力場所
INOBUN 北山店
〒606-0841 京都府京都市左京区下鴨南芝町39-1
http://www.inobun.com/
 

 

 

 


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