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■関西ウーマンインタビュー(クリエイター編)


大山 このみさん(羊毛作家)

大山このみさん(羊毛作家) アーティストネーム「いっこの実」
アパレル販売を経験した後、手芸の大手メーカーに就職。営業としてキャリアを積む。2011年退職。翌年より作家活動を開始。羊毛を中心とした作品は鮮やかで強烈な色を組み合わせている物が多い。人目を引くモチーフやデザインから自称「ヘンテコ羊毛作家」「ニヤニヤ作家」と公言。 ワークショップとイベントを中心に活動し、阪急うめだ本店ガーデンマルシェでの期間限定ショップやリーガロイヤルホテルで講師など広く活躍中。奈良県出身、北葛城郡在住。
いっこの実のブログ http://blogs.yahoo.co.jp/ikkonomi


私の遠い遠い記憶。

赤いフェルトをチョキチョキ切って、
緑は葉っぱ型に。
ペタリとつけて、ちょこっと縫って。
できたてのリンゴちゃんに名前を書いたら、
袋は私だけのお稽古バッグに変身した。

「かわいいねぇ」と笑ったのは、
母だったのか、父だったのか。

しなやかで、あたたかくて、なんだか懐かしいフェルト。

フェルトが羊毛でできていると知ったのは、
つい最近のこと。

羊毛を面白おかしく、ヘンテコに変えてしまう。
しかも話しかけたくなっちゃうような、
温かい作品を知ったのも、つい最近のこと。

この人に会いたいと、
羊毛作家「いっこの実」さんを訪ねた。
片手にちょっと笑える羊毛を
~そして心はニヤニヤと~
オモロイことが大切なこと

カタカタカタカタ
がちゃッ
チョキン
トトトトトトトト
カタン
「よっこらしょっと」

このみさんは、この音を聞いて育った。
最後の一声は、お母さん。
 

彼女は3人兄弟の末っ子。
しっかりした兄、真面目な姉ときたら
妹は当然「オモロイ子」となる。

昔から面白いことが好きだった。

テレビはお笑い番組を見て、
学校では友達と喋って笑って、
家に帰ると働く母の背中に話しかけながら、
見よう見まねで針を持った。
 

お母さんは洋裁の仕事を自宅でしていた。

色とりどりの布地、
細い細いパステルカラーの糸、
宝石みたいなボタンやビーズ。

仕事部屋は、
素敵な洋服が生まれる小さな魔法工房。

このみさんが手芸に興味を持ったのは、
当たり前のことだった。

手順を聞きながら始めた小物作りは、
いつしか洋服に。
教科書には載っていない洋裁のコツは、
全て母から教わった。

高校生の頃には自作の洋服でアメ村を歩き、
雑誌に載ったことも。
「私の作品が掲載された!」
それはそれは、絶好調に有頂天!


手芸はいつしかファッションに変わり、
短大を出たこのみさんはアパレルの販売員となった。

何かを作る楽しみよりも、
気がつけば毎日を過ごすことに必死に。

何かが違う。
何か自分らしくない。
そうだ転職しよう。おー!

転職先は大手の手芸用品メーカーのクロバー株式会社。
大正から続く手芸界の老舗。
なんと営業職だ。

数年後、このみさんは出張先のホビーショーで、
モフモフした作品に出会う。

やわらかくて、あたたかくて、はかなくて、カラフル。

それが羊毛作品だった。
場所はロサンゼルス。


この時は、このモフモフと長い付き合いになるなんて
毛ほども思わず。
ただ、今まで目にしたことのない鮮明な色のモフモフにうっとりした。

いつでも笑えるヘンテコを生む

営業は忙しい。

卸先の手芸店への販売促進、企画提案、講習会。
百貨店での直営運営にも携わり、
当然のことながら取扱う商品は全て使えて、
説明も完璧を求められる。
商品の最新情報や裏情報も知っておく。


男性社員には不要でも、手芸スキルは必須。
納得いかないこともあった。
平謝りしたこともある。
眠気と満員電車は、いつでも戦いだった。


それでも手芸と関わっていることは楽しい。
新商品を手に取るとドキドキして、
綺麗な布を見るとデザインを考え、
アイディアが通るとニンマリした。


ただ創作活動ではなかった。
「商品を売るため」の「販促作品」を楽しみながら作っていただけ。


多少の変動はあれども、いつの間にか流れていく日々。

ある時、ある指令が出た。
「羊毛シートが売れない!売るための作品を作るんだ!」


営業は、過酷である。

さて、どうしよう?
シートだから、絵を書いたら?
それを切って、ワッペンにするとか?
色の組み合わせは?
貼り付ける?縫い付ける?
もしかして他にも作れる?


次々に浮かぶことを、
どんどん形にした。


大きさは?
子供向き?大人向き?
違う素材を持ってくる?
あーなんか
なんだか


とっても楽しい!

2011年退職。

のんびり、まったり日がな一日を過ごす。
少し前まで仕事に追われていたなんて、すっかり忘れた頃、
友人からイベントに誘われる。

野外イベントのロハスフェスタ。

ブースが広いため、半分使わないかという
なんとも魅力的なお誘い。


さて何を作ろうか。
そういえば羊毛って素敵だったな。
作ってる時ずっと笑っていたし、癒されてたな。
色々作れるし。


何も決まっていなかった。
作品も、方向も、作家名さえも。

ロハスフェスタをきっかけに、
ワークショップや次のイベントに声がかかり、
ショップの店頭に並べる話が舞い込み、
あれよあれよという間に、「いっこの実」が誕生した。


そんなつもりじゃなかったけれど、
作品を面白いと誉められて、俄然ヤル気が湧いてきた。


立ち上がった限りは、営業職で培った腕を
これでもかっ!と使い切ろう!
人生に無駄はない!

ノリノリの性格が追い風となる。


気がつけば3年間、またもや走り続けてきた。
ただ走らされたのではない。
楽しくて、夢中で、笑いながら走っていた。


自分の手から生まれた作品たちが
おもしろいと言われたら嬉しくて
可愛いと言われたら照れくさくて
イベントの店頭ではでウキウキして
チクチクと制作している時は、ずっとニヤニヤしてて。


生みだした作品は気がつけば関西を飛び出して、
東京や名古屋のお店にも並ぶようになっていた。

売れるものではなくてオモロイものを作りたい。

作品を手にとった人は、笑って饒舌になる。

「いやー、このカバン、ええやん!
ひ孫に買ってこかな・・・。
あんた作ってはんのん?
オモロイもん作るなぁ~
変ってる、エエわ。
オリジナルっちゅーやっちゃな。
エエわ。かわいい。
目立つから、エエわ。
ひやぁ~、色んなんあるねんな。
私な、ひ孫6人もいてるねん。
もうすぐ中学生になるのんいてるから、
お祝いにエエな!
あんた有名なんやなぁ。
ちょっと一緒に写真撮ってくれる?
こんなんいっぱい作ってはんねんな。
エライわ。気にいった。
曾孫も喜ぶわ~。
そやけどエコ贔屓になるからな。
だまっとかなあかんねん。
うふふふ。喜ぶやろなぁ~」

持ち帰ってくれた先では、たくさんのドラマがある。
一つひとつのドラマに、
笑い声がくっついて、
心と心がくっついてく。
羊毛みたいにくっつくと
お腹のあたりが、ほんわか温かくなる。

このみさんは、
笑って、喋って、びっくりして、ちょっと考えて、また笑って、
ニタリとしながら作品を生み出す。
それが作品を通してジュワッと体に溶けこんでくるようだ。


少しうつむきがちなる時、
原色を集めたワッペンをカバンにつけて外に出よう。
アハハと笑える何かが起こるから。


いっこの実の作品が常設されている「スケロク」 全国の作家作品を置くファンキーな雑貨屋さん

 
四十宮麻美 (よそみや あさみ) ≪ライター≫
1979年生まれ。20代で突然勤め先を退職しフリーランスと名乗りはじめた結果、気がつけばライターに。取材執筆を中心とし、緊張感のなさと相手の懐にグイグイ入りこむ厚かましさで、上辺だけではない踏み込んだ取材を得意とする。

外部スタッフとしてフリーペーパーの編集に約7年間たずさわり、関西と東海地方を中心とした高齢者施設の取材訪問数は400件以上。他にも情報サイト、情報誌の執筆や外部広報なども手がける。


愛するものは冬のお布団と夏のかき氷。人生に必要なものは、白飯&明太子、整体、温泉。自慢は10時間以上寝続けられること。
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