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■関西ウーマンインタビュー(アーティスト編)


一圓 尚都さん(二胡奏者)

 
一圓 尚都さん(二胡奏者)
大阪音楽大学短期大学部音楽専攻科ドイツリートクラスを経て、大阪芸術大学演奏学科声楽コースに編入。卒業後は声楽家として結婚式の聖歌隊に参加するほか、ライブ活動を行なっていたが、2011年に喉を壊して活動を休止した。同時期に『二胡』を習い始め、二胡奏者として活動を始める。現在はレストランで定期演奏するほか、認知症カフェや震災関連のチャリティコンサート、町おこしの音楽イベントなどで演奏する。2015年より、動画やセリフ、音楽などで物語の世界を体感してもらう「えほんライブ」にメンバーとして加入するなど活動の幅を広げている。
中国民族楽器の一つ『二胡』の奏者である一圓尚都さん。一曲一曲に感情を込めながら、表情豊かにまるで歌うように演奏する様子には見惚れてしまいます。今でこそ、二胡奏者として、レストランでの定期演奏をはじめ、認知症カフェや震災関連のチャリティコンサートなど音楽イベントで活躍されていますが、以前は声楽家でした。喉を壊したことで、学生時代より長年続けてきた声楽家の道をあきらめざるを得なくなったのです。その壁をどのように乗り越えたのでしょうか? どうして『二胡』だったのでしょうか?
人生には選択肢がたくさんある
以前は声楽をされていたそうですね。
声楽家として、クラシックやジャズ、ポピュラー、ゴスペル、アカペラなどさまざまなジャンルに取り組み、ライブ活動を精力的に行なうほか、結婚式の聖歌隊の仕事をしていました。

なかなか芽が出なかったものの、「ずっとこの道で」と思い、努力していたんです。ところが、30歳の時に突然、喉を壊してしまいます。複数の病院を受診しても原因がわからず、活動を休止せざるを得なくなってしまいました。

子どもの頃から何事にも自信を持てない私にとって、声楽だけが唯一、自分に自信を持たせてくれるもの。レッスンするうち、自分でも想像しなかった声が出るようになって、まわりには低音が効くタイプがあまりいなかったから、それが私の特徴であり、強みだと思えていたんです。

それをあきらめざるを得ないのは、まさに「人生が終わった」と思うほどの出来事。声楽家の友人の多くが30代に突入して、順調に仕事に励む姿を見て、嫉妬し、なんとか治せないかと焦り、ますます自信をなくしていきました。
どうやって乗り越えることができたのですか?
喉が不調になる少し前から趣味として習い始めた二胡の奏者として演奏の機会が増えていく中で、目の前のことを必死にやっていたら、いつの間にか壁や悩みがなくなっていたという感じがします。

望みをかけて音声障がいを改善するレッスンにも通いましたが、二胡奏者としての活動が忙しくなり、両立が困難に。声のレッスンか、二胡か・・・そう選択を迫られた時、不思議とすっと「二胡だけにしよう」と心を決めることができたんです。その後まもなく、レストランでの定期演奏が決まり、二胡奏者としての仕事が広がっていきました。
声楽に対する強い気持ちがあったのに、「二胡」一本に。どうして、そう思えたのですか?
そう思えるまでに、5年の歳月がかかっています。声楽と二胡、同じ音楽ですから、演奏の際に歌い手と一緒になることがあり、正直つらかった・・・でも、二胡を演奏する中で、目の前のお客様に喜んでいただいたり、声楽の世界では出会えなかっただろう人たちや世界とつながったりしたおかげでしょうか。

声楽は確かに好きだけれど、それがすべてではない。人生には選択肢が一つだけではなくてたくさんある・・・一見苦しことや辛いことが別の幸せにつながっているんだと思えるようになりました。

 
歌うように演奏する
さまざまな楽器がある中で、どうして二胡だったのですか?
楽器を演奏してみたいと考えた時、チェロか二胡で迷いました。チェロは、学生時代に少し演奏したことがあり、バイオリンより低音で自分の歌声と合うので落ち着きます。二胡はコンサートで聴いて、独特のうにゃうにゃとした粘り気のある音色に、これまでにない新しいものを感じました。その新しさに魅かれて二胡を選んだのですが、後に二胡の紹介文を見ると、「人の声に似た楽器」とあります。もしかしたら、声のような音に魅かれたのかもしれません。
お仕事をされる中で、いつも心にある「想い」は何ですか?
歌うように演奏すること。二胡の先生やお客様から「まるで歌っているように感じた」と言われたことがありました。声楽経験がある私だからこそできることだと思い、テーマにしています。

歌謡曲だったら、歌詞を思い浮かべたり、「この曲の歌手はささやくように歌っていたなあ」など歌い方を意識したり、「私ならこう歌うかなあ」とアレンジを加えたり。あと歌には歌詞があるからお客様にも届きやすいと改めて感じました。歌詞が持つ力を二胡でどのように表現できるだろうと考えています。知っている曲を中心に選ぶ、一緒に歌ってもらえる曲を1曲挿入するなど、さまざまな工夫をしているところです。

 
自分のペースで取り組めるからこそ
二胡をはじめて、10年が経ちますね。
正直、好き度で言うと、声楽のほうが好きでした。二胡も好きだけど、声楽のように、情熱的にのめり込んでいないと言いますか・・・もともと趣味で「二胡を弾けるようになったらいいなあ」という気持ちからのスタートだったので、のんびり、自分のペースで取り組めています。

声楽は学生時代に始めたので、「あの人がうまい」と気になったし、競争心みたいなのも持っていました。二胡でも、もちろん「あの人はうまいなあ」と思うことはありますが、私は私のペースでやっていこうとドーンとしていられます。例えが悪いかもしれないですが、声楽は情熱的に好きな初恋の人で、二胡は初恋の人ほど情熱的にはなれないけど、穏やかな関係でいられるみたいな。今となれば、それが私には合っているから、こうして続いているのかもしれません。
近い未来、お仕事で実現したいことは何ですか?
いろんなジャンルの人たちとコラボしてみたい。昨年、音楽イベントで出会ったアーティストのライブに呼んでもらって共演しました。音源と譜面をもらって、二胡のパートは私が考えるというチャレンジです。自分で考えるのは苦手だったのですが、これまでにない新しいことができて、おもしろかった! 音楽はもちろん、踊りやお芝居など多方面の方々とコラボしていきたいとうずうずしています。
ありがとうございました。
取材:2017年2月
一圓さんは学生時代から10年以上に渡って、声楽の道を進んでこられました。「これから、先も声楽で」という思いがある中で、喉を壊してしまい、断念。そんな中で「目の前のことを大切にする」を積み重ねていくことで、喜びや出会いがあり、だんだんと自分の気持ちに折り合いをつけてこられました。新しいことを始めるといっても、「ゼロ」からのスタートではなくて、これまでの経験があるからこそできることがある・・・一圓さんの場合は、声楽経験によって二胡で歌うように演奏しています。

生きていると、さまざまなことがあります。一圓さんの「人生には選択肢が一つだけではなくてたくさんある・・・一見苦しことや辛いことが別の幸せにつながっているんだと思えるようになりました」というメッセージが響いてきます。
取材:小森利絵
ライター/HP:『えんを描く』
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。



 

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