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■海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)


Vol.24 ニエベ屋のおっちゃん、の巻

Vol.24 ニエベ屋のおっちゃん、の巻

オラー、こんにちは!! あみりょうこです。1か月がたちますが、コロナウイルスの騒ぎは世界的にもまだまだ終息の兆しが見えません。

テレビを持たない生活をしているので、一日中テレビからのコロナニュースを聞かずには済んでいるのですが、何時間かに1回ネットのライブ配信などで状況をアップデートしていると同じ情報の繰り返しでちょっと疲れてしまいます。なので、興味のある記事をこちらから探して読んでみたりしている状況です。

情報が全くないのも不安になりますが、情報が多すぎるというのも困りものだと感じています。膨大なニュースの中には嘘情報もまぎれていると思うと、ニュースを受け取る側もただただ言われることをほいほいと聞いていたらいい時代ではなくなったのだということですね。

しかし、インターネットの恩恵を受けることの方が圧倒的に多く、遠くに住んでいる友だちにも直接状況が聞けるので便利だと思います。

オアハカの友だちの話では、町の中心からはすっかりと外国人観光客がいなくなってしまったということです。だから町はがらんとしていて、鳥の声のほうがよく聞こえるくらいなんだそうです。しかし、中央市場などに行くと、平常時と変わらない様子で人々が行きかっている様子を見かけるとも話していました。

ドイツの友だちに状況を聞いた時は驚きました。不要不急や食料品の買い出しなど以外は全く外に出ることができず、誰か人に会わなければならない場合も1人以上とは会ってはいけないなどかなり厳しいルールのもと過ごしているのだそうです。

ともあれ、日々状況は変わって落ち着かない日々が続きますが、一日も早く平常が戻りますように、と思いながらオアハカの日々へ思いを飛ばしてみたいと思います。
スペイン語に“nieve(ニエベ)”という単語があります。「雪」という意味なのですが、オアハカではもう一つの「ニエベ」を思い浮かべる人が多くいると思います。

ニエベとは手作り「オアハカアイスクリーム」のことです。クリーミーでリッチなアイスクリームというよりは、どちらかというとシャーベットに近い感じのあっさりとした素朴な味わいのものです。

ステンレスの丸い入れ物の中に果汁やナッツなどの味の素となる材料を入れて、それを氷がいっぱい入った木の樽の中へいれ、そこへ冷却温度をさらに下げるために塩を投入します。そして、ひたすらステンレスの入れ物をぐるぐる手で回して中身を固まらせて作られます。言うなれば、人力アイスクリームです。

オアハカではニエベ屋さんエリアがあるくらいに人々に親しまれている食べ物です。暑い日などにはニエベ屋さんがいに行くとたくさんの人がパラソルの下でニエベを楽しんでいます。

私の大好きなニエベ屋さんは、そんなパラソルの一角にあるのではなく、ニエベの樽をたくさん積んだ3輪車であらわれる路上ニエベ屋です。観光ゾーンより少し離れたところにあるのですが、友だちに教えてもらったのをきっかけに好きになりました。
本当に交差点の一角に三輪車があるだけで、最初は椅子もありませんでした。ちょうど電気屋さんの前なので、電気屋さんの壁にもたれながら人間観察をしたり、店のおっちゃんとしゃべりながら食べていると、おっちゃんが地元の人たちに愛されている人だということがすぐにわかりました。

通りすがりにおっちゃんに「元気か~?」「こんにちは~!」と声をかけていく人や、信号が赤になったタイミングを利用して車の中から口笛を吹いて注文をするバスドライバーやタクシードライバーなんかもいました。途中から信号が撤去されてしまったので、長めの一時停止でドライブスルーをしていたのが印象的でした。

買い物の途中の家族や、仕事中のおっちゃんなども立ち寄ってはニエベを買っていきます。その場で食べる人よりもぱっと買って道すがら食べる人の方が断然多く入れ替わり立ち代わり、次々にお客がやって来る人気店です。

それでも手が空いた時にはおっちゃんは「国にはちゃんと家族に会いに帰っているか?」などと話しかけてくれて、いろいろな世間話をしながらゆっくりと時間が流れていきました。こういうおっちゃんの人柄がニエベの味にも反映されていて、みんなに愛されているのが納得です。

ある日、Tシャツの問屋に向かう際に暑かったので、ニエベでも食べてエネルギーチャージしてから行こうと思い向かうと、おっちゃんはまだ到着していませんでした。「あら、残念」とそのまま歩いていると、こざっぱりとしたお店を見つけました。

「ニエベ」という看板が上がっているので通り過ぎながら中をちらりとのぞいてみると、あのおっちゃんがいるではないですか。

「あ!!セニョール!」

と思わず声を上げて店に入っていくと、その店舗こそがセニョールの本店なのだそう。本店もあるけど、ちょっと離れているので、人通りの多いいつもの場所まで三輪車で出張しているのだそうです。このあたりの商売にかける情熱はさすがです、メヒコ人。

(写真出典:http://lavitaminat.com/2015/04/20/estampas-de-mi-ciudad-nieve-de-sabores-the-many-flavors-of-nieve/)
そんなニエベはとにかく味のラインアップが多い(写真の木札に書かれたのは全ニエベの味の種類です。)ので選ぶときに迷ってしまうのですが、全部試してみたいという気持ちもありつつも、散々迷った挙句結局はいつも頼む自分の好きなやつに落ち着いてしまいます。
定番の組み合わせは、「ツナとレチェケマーダ」です。ツナというと、英語ではシーチキンをあらわすものなので、魚を想像された方、ご心配なく。ツナはスペイン語ではサボテンの実のことを指します。実はサボテンには真っ赤なものが実るのですが、それこそが「ツナ」というフルーツです。少し酸味のあるあっさりとした味わいです。

対する「レチェケマーダ」。Lecheは牛乳、quemadaは焦げた、という意味なのですが、その味は本当に牛乳を焦がしたような味がします。実際にはこげた牛乳など飲んだことはないのですが、それ以外に形容のしようのない味なのです。

「焦げ牛乳」と聞くとあまりおいしそうな感じがしませんが、いわゆる病みつきになる味という感じで、最初こそ不思議な感じがするのですが、慣れてくると無性にあの味をもう一度味わってみたいという気持ちになります。

ツナとの相性も良く、ニエベと言えばこれ、という定番の組み合わせです。ちなみにスペイン語では、「Tuna con leche quemada(トゥナ・コン・レチェケマーダ)」と言えばオーダーが通ります。

ちなみに私の好きなニエベベスト3は

1.マラクジャ(パッションフルーツ)
2.カカウアテ(ピーナッツ)
3.レチェケマーダ(焦がし牛乳)

です。マラクジャは日本ではあまり見かけないので食べたことがなかったのですが、酸味の強いフルーツで、ニエベになるとさっぱり感が増すので暑い日にはぴったりです。

カカウアテはあまり扱っているところを見かけないのですが、角っこのセニョールのところではよくあったので見つけるたび頼んでいました。

レチェケマーダは、あの不思議な感じゆえに好き嫌いが分かれるかもしれませんが、ニエベでしか味わえないあのレア感というか唯一無二感故に堂々のランクインです。

しばらくは旅行なども難しい時期が続きますが、また自由に旅行などできるようになって、オアハカにいかれるチャンスがあれば、ぜひともニエベをお試しくださいね。おすすめです!
観光業が町の大部分を占めているようなオアハカなので、現在の状況は心配もありますが、そうはいっても命に変えられるものはありません。先が読めないことで気持ちがすり減らされますが、逆に今だからこそできることもあるはずです。全世界でのコロナウイルスの騒動が一日も早く収束に向かうことを願っています。

みなさんも、どうぞ健康と安全に気をつけてお過ごしください。
works
【今月の作品】
少し前に作ったものになりますが、”HOW ARE YOU?”グリーティングカードです。

私は手紙を書くのが好きなのですが、メヒコにはあまり手紙を書く習慣や文化がありませんでした。どちらかというと電話で手っ取り早く話すかんじでした。

文化がないとそれに付随するグッズ的なものも生まれないわけで、便せんやカードを見つけるのに本当に苦労しました。そして見つかっても使いたいという気持ちをくすぐられるかわいいのがない……。

それならば、自分で使いたいものを作たらいい、ということで作ったグリーティングカードです。

印刷に使った紙は「tortilla(トルティージャ)」色というめちゃくちゃ粋なネーミングで、よく見ると、白い紙の中に本当のトルティージャのようにつぶつぶした色が混じっている素敵な紙です。

こんな時だからこそ時間をつくって誰かに手紙をしたためてみるのもいいかもしれませんね。

日本では、大阪・堀江のART HOUSEさんにてグリーティングカードを何種類か取り扱ってもらっています。
profile
あみ りょうこ
1982年大阪生まれ、兵庫育ち。メキシコのオアハカ州での暮らしを経て、2020年から日本に。 ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
HP:http://mexicot.wordpress.com
instagram:ninjacco

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