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■海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)
Vol.18 路上軽食のおばちゃん、の巻
Vol.18 路上軽食のおばちゃん、の巻
オラー、こんにちは!! オアハカよりあみりょうこです。先日、日本から友だちが遊びに来てくれました。なんでも、オアハカは日本でも特集されることが増えてきているらしいのですが、私の友だちは
「おいしいものを食べに来た。それからのんびりと昼寝をしに来た」
のが目的だったそうです。そしてもう一つやりたかったことがあるらしく、それはなんと「関西ウーマンに登場していた場所をめぐりたい」というものでした。
時計屋のおっちゃんや、入り口大細食堂のおばちゃん、キリっとした紙屋のおばちゃんを訪れたいというのです。
「そのために、関西ウーマンめっちゃ読み直してきたんやから!」
と言われて、もううれしさに涙がちょちょぎれそうでした。(実際には涙は流れず大笑いしきりだったのですが。)
「おいしいものを食べに来た。それからのんびりと昼寝をしに来た」
のが目的だったそうです。そしてもう一つやりたかったことがあるらしく、それはなんと「関西ウーマンに登場していた場所をめぐりたい」というものでした。
時計屋のおっちゃんや、入り口大細食堂のおばちゃん、キリっとした紙屋のおばちゃんを訪れたいというのです。
「そのために、関西ウーマンめっちゃ読み直してきたんやから!」
と言われて、もううれしさに涙がちょちょぎれそうでした。(実際には涙は流れず大笑いしきりだったのですが。)
やはり、類は友を呼ぶというのはよく言ったものです。周りには似たような人間が集まるものなのですね……。
今月は、そんな彼女にも紹介しきれなかったおばちゃん(またおばちゃんです。)を紹介したいと思います。
おばちゃんの名前は「ドニャ・マゴ」(マゴおばさん)といいます。
今月は、そんな彼女にも紹介しきれなかったおばちゃん(またおばちゃんです。)を紹介したいと思います。
おばちゃんの名前は「ドニャ・マゴ」(マゴおばさん)といいます。
メヒコでは、お昼ごろになると街角でご飯を売っているおばちゃんをよく見かけます。立ち食い感覚で人々が立ち止まって食べている様子が街歩きをしていると目に着くと思います。軽食が売られているのですが、軽食と言っても侮れません。
このような道端でお昼ご飯を売っているおばちゃんたちは、毎日同じところに店を構えます。ドニャマゴは、私の以前の職場の近くにいるおばちゃんです。
このような道端でお昼ご飯を売っているおばちゃんたちは、毎日同じところに店を構えます。ドニャマゴは、私の以前の職場の近くにいるおばちゃんです。
ストリートフードでお腹を壊したら困るしな、という気持ちもあったので最初はおばちゃんの店が大行列だったにもかかわらずそれを横目に、安全パイの「パン」などを買っていたのですが、友だちの「あのおばちゃんはおいしい!」という情報により行ってみたのが始まりですっかりはまってしまったのです。
小さなスペースに、机とプラスチック椅子をおいてちょこんとドニャマゴはたたずんでいます。限られたスペースのはずなのに、メニューときたらめちゃくちゃ豊富でタコスドラード(ぐるぐる巻きの春巻きみたいに丸められた揚げタコス)、揚げケサディージャ、タマーレス、タコスブランド(大きなタコスに具をはさんでもらうもの)、そしてアグア(味付き水)といったラインナップです。
小さなスペースに、机とプラスチック椅子をおいてちょこんとドニャマゴはたたずんでいます。限られたスペースのはずなのに、メニューときたらめちゃくちゃ豊富でタコスドラード(ぐるぐる巻きの春巻きみたいに丸められた揚げタコス)、揚げケサディージャ、タマーレス、タコスブランド(大きなタコスに具をはさんでもらうもの)、そしてアグア(味付き水)といったラインナップです。
それに加えてスープやポソレなどの日もあるのだから一体どうなっているのだ?! そして、火元もないのになぜ温かいスープやトルティージャが提供できるのだ?!と、本当に謎です。
とにかく魔法のような小さなスタンドなのです。
私は気に入ったものをひたすらリピートするという癖があるので、何年も通っているのにいつもタコスブランドばかり頼んでしまいます。具はチレレジェーノという鶏肉やチーズの詰め物がつまった緑のチリを揚げたものと、エンチラーダという豚肉をマリネして味付けしたもののどちらかです。
大きなトルティージャの上に黒豆のペーストを塗って、さらにご飯、ピコデガジョというサルサ、ワカモーレと、もう一つのちょっとピリッとしたサルサをかけてもらって巻きずしのようにくるくると巻いたものが手渡されます。
とにかく魔法のような小さなスタンドなのです。
私は気に入ったものをひたすらリピートするという癖があるので、何年も通っているのにいつもタコスブランドばかり頼んでしまいます。具はチレレジェーノという鶏肉やチーズの詰め物がつまった緑のチリを揚げたものと、エンチラーダという豚肉をマリネして味付けしたもののどちらかです。
大きなトルティージャの上に黒豆のペーストを塗って、さらにご飯、ピコデガジョというサルサ、ワカモーレと、もう一つのちょっとピリッとしたサルサをかけてもらって巻きずしのようにくるくると巻いたものが手渡されます。
その手際の良さとおいしそうなビジュアルにいつもにやにやしながらドニャマゴの動きに見とれています。
椅子が空いていたら座って食べながら他のお客さんを観察するのですが、何がすごいってドニャマゴの記憶力です。
このおばちゃんも仕事がめちゃくちゃできる勤勉な方です。ものすごい数のお客さんがひっきりなしにやってくるのですが、来た順番をちゃんと覚えていて公平に注文を取り、そしてすでに座って食べているお客さんに追加の注文はないか声をかけたかと思うと、常連さんが来たらスモールトークも欠かしません。
お客さんが少ない時に私もおばちゃんと話すのですが、なんと朝は4時に起きてすべての料理を作ってきているというのです。
メヒコには、お店を構えずにこのようにストリートに出てきてものを売っている光景をよく見かけます。
ドニャマゴのように食べ物を扱う人もいれば、服やおもちゃなどを扱う人などもいて様々ですが、どの人も毎日商品をすべて持ってきて、屋台の骨を組んで並べて、そして帰るときにはまたすべてしまって帰るのです。つまり、毎日新規開店と店じまいセールを繰り返しているようなものです。本当に頭が上がりません。
そして、ドニャマゴはさらに、環境に配慮して使い捨てプラスチックのカップなどを減らすべくリユースが可能なコップに切り替えたり、トルティージャ保温容器を導入したりと、進化のマイナーチェンジを日々続けています。
そんなおばちゃんが作るものはおいしいに決まっていて、ついつい通ってしまうのです。
椅子が空いていたら座って食べながら他のお客さんを観察するのですが、何がすごいってドニャマゴの記憶力です。
このおばちゃんも仕事がめちゃくちゃできる勤勉な方です。ものすごい数のお客さんがひっきりなしにやってくるのですが、来た順番をちゃんと覚えていて公平に注文を取り、そしてすでに座って食べているお客さんに追加の注文はないか声をかけたかと思うと、常連さんが来たらスモールトークも欠かしません。
お客さんが少ない時に私もおばちゃんと話すのですが、なんと朝は4時に起きてすべての料理を作ってきているというのです。
メヒコには、お店を構えずにこのようにストリートに出てきてものを売っている光景をよく見かけます。
ドニャマゴのように食べ物を扱う人もいれば、服やおもちゃなどを扱う人などもいて様々ですが、どの人も毎日商品をすべて持ってきて、屋台の骨を組んで並べて、そして帰るときにはまたすべてしまって帰るのです。つまり、毎日新規開店と店じまいセールを繰り返しているようなものです。本当に頭が上がりません。
そして、ドニャマゴはさらに、環境に配慮して使い捨てプラスチックのカップなどを減らすべくリユースが可能なコップに切り替えたり、トルティージャ保温容器を導入したりと、進化のマイナーチェンジを日々続けています。
そんなおばちゃんが作るものはおいしいに決まっていて、ついつい通ってしまうのです。
この職人気質の人が多いのは、メヒコ全土なのか、オアハカが特にそうなのかはちょっとわかりませんが、こういう風景を日常的に目にすることができて本当幸せだなぁと思います。はたらくって素晴らしい!と素直に感じられるからです。
美食の町としても名高いオアハカですが、ストリートも侮るべからず、です。
みなさん、ステキな小柄なオアハカおばちゃんを思い浮かべながら今回のコラムを読んでオアハカに思いを馳せていただけたら幸いです。
それでは、また次回お会いしましょう!
美食の町としても名高いオアハカですが、ストリートも侮るべからず、です。
みなさん、ステキな小柄なオアハカおばちゃんを思い浮かべながら今回のコラムを読んでオアハカに思いを馳せていただけたら幸いです。
それでは、また次回お会いしましょう!
今月の中旬から日本に行きます!
10月24日から11月4日まで、大阪は北堀江にあるギャラリー「ART HOUSE」さんにて展覧会をさせていただきます。
同じくメヒコのことが大好きだという河野ルルさんとの2人展です。なるべく在廊してメヒコやオアハカの風をビューっと吹かせられたらと思っていますので、関西ウーマンのコラムを読んでくださっている方にも足を運んでもらえるとうれしいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
あみ りょうこ
1982年大阪生まれ、兵庫育ち。現在メキシコのオアハカ州在住。ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
HP:http://mexicot.wordpress.com
instagram:ninjacco
■海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ) 記事一覧
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マリーゴールド(メキシカンマリーゴールド)の花は、スペイン語ではセンパスーチルという名前です。
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ソカロは、メヒコの町にはどこにでもある「その街の中心にある広場」です。
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タマーレスはトウモロコシの粉を使って作られた食べ物で「ちまき」のようなもの
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1月6日は東方三博士がキリスト誕生を祝い贈り物をもってやってきた日。そしてロスカという特別なパンを食べる日。
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ポンチェはクリスマスのころによく飲まれる、くだものがたくさん入った冬の定番暖か飲み物です。
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11月はメヒコの行事「死者の日」。今年はコロナであまりの静かさに故人たちも不思議がったのでしょうか。
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9月の独立記念日はメヒコ人たちの愛国心をとても感じる、「ビバメヒコ(メキシコ万歳)!」色の濃い1か月です。
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日本にあるものを見てふいにメヒコで満たされる瞬間が。そういう時は大体食べ物に関連しているようです。
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メヒコの店の看板はゆるさが爆発しているものが多いのです。
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メヒコにも黒人の人たちがいるのです。彼らは「アフロメヒカーノ」と呼ばれる人たちです。
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肉厚な丸い背中をみると、この人のつくるタコスならうまいに違いないと食欲も倍増する心地。
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ニエベとは手作り「オアハカアイスクリーム」のこと。選ぶときに迷ってしまうほど、味のラインアップが多いです。
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3月8日は、”International Women’s Day”、日本語で「国際女性デー」でした。
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私には何人かマエストロとよんでいる先生たちがいます。マエストロキンタスもその一人で活版印刷の師匠です。
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CDMXはオアハカとは一味違うパワフルな町。私の中では、東京に行くような感覚です。
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もしオアハカでかごを付けたおっちゃんがさっそうと自転車で駆け抜けていたら、それはドンハイメです。
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不思議な飲み物「テハテ」は、飲むと元気が湧いてくるエナジードリンクだぜ!
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路上軽食のおばちゃんたちが作るものはおいしいに決まっていて、ついつい通ってしまうのです。
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人間の適応能力の高さもなかなか捨てたものではないと思ったオアハカ暮らし5年目
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作り手であったり職人であったり、お店の人との距離が近いところはメヒコの好きなところ
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旅と長時間の入国手続きの疲れでぐったり。パワーを補給するためはポソレがおすすめ。
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オアハカは食天国で民芸品の宝庫。今回はメルカド(市場)のご飯を中心に紹介したいと思います
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4月はセマナサンタといういわゆる「復活祭」というカトリックの大きなイベントがありました。
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CDMXとはメキシコシティ。ハカランダの花が満開でした。
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おそらくどこにも取り上げられていないであろう食堂の話
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チョコレートの原産がメヒコだということをご存知ですか?実はメヒコ発の食べ物なのです。
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こんなお祝いをする地域があったとは。メヒコもまだまだ知らないことばかりだなとわくわくした新年の幕開けでした
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12月といえばメヒコは一気にクリスマスムード。まず、デコレーションへの意気込みが違います。
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メヒコでは、10月の終わりから11月の2日まで、「Día de los muertos」(死者の日)というお祭りでした。
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タクシーがまるでプレゼントのようにリボンや生花で飾られている、Día del taxistas(タクシー運転手の日)
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9月16日は独立記念日なのです。国が侵略されてそこから再び独立した、というメヒコではこの日は盛大に祝われます。
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今回は「あみのアミーゴ」ではなく「あみのアミーガ、編み物のおばちゃん編」をお送りします。
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オラー、ブエナスタルデス! 今回はメヒコのおすすめ町歩き「メルカド(市場)」のことを紹介したいと思います。
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今回から無性にメヒコに行ってみたくなるような情報をお届けします。となればまずは食。メヒコの食はおいしいのです。
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『オラ!ムーチョグスト!(どうも、はじめまして)』版画アーティスト、あみりょうこさんのメキシコ便り