HOME ■海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ) Vol.20 自転車でパンを売るおっちゃん、の巻 前のページへ戻る
■海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)
Vol.20 自転車でパンを売るおっちゃん、の巻
Vol.20 自転車でパンを売るおっちゃん、の巻
オラー、こんにちは!! あみりょうこです。12月に入り日本は寒さがぐっと増すころだと思いますが、オアハカも朝晩は少しひんやりするようになりました。昼間は相変わらず半袖でも出歩けるくらいで、日向を歩いていると暑いくらいです。毎年こんなに暑かったかな、と思いながら町をうろつく日々です。
12月に入って、急に町がナビダー(クリスマス)仕様になってきました。町のデコレーションも急ピッチで行われている感じがします。
ソカロの花壇などは土が掘り起こされて、「立ち入り禁止」のテープが張られていたので何事かと思っていると、数日後にはノチェブエナ(ポインセチア)の花を植えこまれていました。花壇が赤い花で埋め尽くされて急にクリスマス感がアップです。
あと12月に入って目につきだしたものといえば「ポンチェ」屋さんです。ポンチェは、暖かいフルーツパンチのような飲み物なのですが、クリスマス時期の名物食べ物といった位置づけで、子寒い夜にポンチェ屋さんを見かけるとついつい飲んであったまりたくなります。
さて、前置きがすっかり長くなってしまいましたが今回は珍しく「おっちゃん」について話そうかと思います。
メヒコの人たちは働き者が多いのですが、街を歩いているとどちらかというと女性の働きぶりに目を奪われることが多い気がします。結構何もせずにぼんやりと座ったりチェスをしているのは男の人が多いです。
そんな中、とても印象深いおっちゃんがいます。彼の名前はJaime(ハイメ)さんといいます。
12月に入って、急に町がナビダー(クリスマス)仕様になってきました。町のデコレーションも急ピッチで行われている感じがします。
ソカロの花壇などは土が掘り起こされて、「立ち入り禁止」のテープが張られていたので何事かと思っていると、数日後にはノチェブエナ(ポインセチア)の花を植えこまれていました。花壇が赤い花で埋め尽くされて急にクリスマス感がアップです。
あと12月に入って目につきだしたものといえば「ポンチェ」屋さんです。ポンチェは、暖かいフルーツパンチのような飲み物なのですが、クリスマス時期の名物食べ物といった位置づけで、子寒い夜にポンチェ屋さんを見かけるとついつい飲んであったまりたくなります。
さて、前置きがすっかり長くなってしまいましたが今回は珍しく「おっちゃん」について話そうかと思います。
メヒコの人たちは働き者が多いのですが、街を歩いているとどちらかというと女性の働きぶりに目を奪われることが多い気がします。結構何もせずにぼんやりと座ったりチェスをしているのは男の人が多いです。
そんな中、とても印象深いおっちゃんがいます。彼の名前はJaime(ハイメ)さんといいます。
ハイメさんは60歳後半か、あるいは70歳を回っていそうな感じもするのですが、自転車でパンを売っているおっちゃんです。「ドン・ハイメ」として町の人に親しまれています。
自転車の後ろに「カナスタ」と呼ばれる丸いかごをつけて、その中に小さなパンをてんこ盛りのせて、夜の9時くらいから週に3回ほど町をうろついています。
ある日友だちと街を歩いていると、謎のかごを自転車にくくりつけたおっちゃんが走っているのです。不思議そうに私が見ていると、「あのおっちゃんのパンおいしいで!」と言って、不意におっちゃんを呼び止めました。
おっちゃんはにこにことしながら近づいてきて、おもむろにビニール袋を渡してきました。友だちは慣れたもので、世間話をしながら4つくらいパンをぽんぽんと袋に詰めていきます。
また別の日に今度は一人で歩いていると、あの自転車のおっちゃんが目の前を行くではありませんか。
「パンのおっちゃーん!」
と思わず呼び止めました。そして、話していると彼が「ハイメさん」という名前であることが分かったのです。ドンハイメは、パンを作って夜にそのパンを売り歩く(でも自転車なので、売り駆け回る、とか言うほうがいいのかな?!)らしいのですが、驚いたのはその体力よりも何よりも記憶力のよさです。
最初は、実にたくさんの種類のパンが入っているので驚いていると、全部のパンには名前があるというので、
「これは?」
「コンチャ(メロンパン)」
「これは?」
「グサノ(イモムシ)」
などというやり取りを繰り返していました。パン屋さんなのでパンの名前を知っているのは当たり前なのですが、メヒコのパンは種類もたくさんあるうえに、いちいちかわいいというかユニークなネーミングなので、私は隙あらばパン屋さんでパンの名前を尋ねるようにしています。
ドンハイメにもたくさん教えてもらいましたが、ある時を境にぱたりと見かけなくなりました。それからずいぶん経ってドンハイメと再会したときに「リョウコ!元気か!!」と名前を呼ばれた時には本当に驚いてしまいました。いつもたくさん買うわけではないのに、こんなに久しぶりに会ったのに名前を覚えてもらっているなんて感動です。
うれしい気持ちで話していると、「どこそこに住んでいる○○という日本人の女の子は元気にしているか?」とか「あの日本人は最近見かけないけどどこにいるんだ?」みたいなかんじで次々に女性の名前が飛び出します。
そう、ドンハイメはめちゃくちゃ女の子が大好きなのです。
自転車の後ろに「カナスタ」と呼ばれる丸いかごをつけて、その中に小さなパンをてんこ盛りのせて、夜の9時くらいから週に3回ほど町をうろついています。
ある日友だちと街を歩いていると、謎のかごを自転車にくくりつけたおっちゃんが走っているのです。不思議そうに私が見ていると、「あのおっちゃんのパンおいしいで!」と言って、不意におっちゃんを呼び止めました。
おっちゃんはにこにことしながら近づいてきて、おもむろにビニール袋を渡してきました。友だちは慣れたもので、世間話をしながら4つくらいパンをぽんぽんと袋に詰めていきます。
また別の日に今度は一人で歩いていると、あの自転車のおっちゃんが目の前を行くではありませんか。
「パンのおっちゃーん!」
と思わず呼び止めました。そして、話していると彼が「ハイメさん」という名前であることが分かったのです。ドンハイメは、パンを作って夜にそのパンを売り歩く(でも自転車なので、売り駆け回る、とか言うほうがいいのかな?!)らしいのですが、驚いたのはその体力よりも何よりも記憶力のよさです。
最初は、実にたくさんの種類のパンが入っているので驚いていると、全部のパンには名前があるというので、
「これは?」
「コンチャ(メロンパン)」
「これは?」
「グサノ(イモムシ)」
などというやり取りを繰り返していました。パン屋さんなのでパンの名前を知っているのは当たり前なのですが、メヒコのパンは種類もたくさんあるうえに、いちいちかわいいというかユニークなネーミングなので、私は隙あらばパン屋さんでパンの名前を尋ねるようにしています。
ドンハイメにもたくさん教えてもらいましたが、ある時を境にぱたりと見かけなくなりました。それからずいぶん経ってドンハイメと再会したときに「リョウコ!元気か!!」と名前を呼ばれた時には本当に驚いてしまいました。いつもたくさん買うわけではないのに、こんなに久しぶりに会ったのに名前を覚えてもらっているなんて感動です。
うれしい気持ちで話していると、「どこそこに住んでいる○○という日本人の女の子は元気にしているか?」とか「あの日本人は最近見かけないけどどこにいるんだ?」みたいなかんじで次々に女性の名前が飛び出します。
そう、ドンハイメはめちゃくちゃ女の子が大好きなのです。
おいしいパンとかわいらしい笑顔で油断していましたが、間違いなく女好きなおっちゃんです。今ではそれをネタに「ドンハイメ、私とばっかり話してないで次の彼女のところに行かないといつまでたってもパン売り終わらへんで」「んもう~!」などと冗談を言いながら楽しくおしゃべりをする仲です。
メヒコにはいまだに○○屋さんという専門店が多くありますが、それに加えて「移動型」のお店が多いのも特徴的だと感じます。
メヒコには自転車でパンを売るという習慣が昔からあったそうなのです。しかも、かごを頭の上にものせて移動していたのだとか。
日本でもかつて自転車でお豆腐を売っていたそうですが(私は残念ながら見たことがありません。)、ところ変われば豆腐だったりパンだったりいろいろ変わってそこからその国や地域の文化みたいなものが垣間見えて面白いです。
メヒコにはいまだに○○屋さんという専門店が多くありますが、それに加えて「移動型」のお店が多いのも特徴的だと感じます。
メヒコには自転車でパンを売るという習慣が昔からあったそうなのです。しかも、かごを頭の上にものせて移動していたのだとか。
日本でもかつて自転車でお豆腐を売っていたそうですが(私は残念ながら見たことがありません。)、ところ変われば豆腐だったりパンだったりいろいろ変わってそこからその国や地域の文化みたいなものが垣間見えて面白いです。
(出典:el universal, eluniversal.com.mx)
最近ではめっきりと減ってしまったそうなので、ドンハイメの到着を心待ちにしている人が多いのも納得です。もちろん、彼の人懐っこさとパンのおいしさもあると思いますが、見かけた人たちがなんとなく懐かしい気持ちにさせられるというのもあるのではないかなという気がします。
もしオアハカの夜を街歩きしているときに、かごを付けたおっちゃんがさっそうと自転車で駆け抜けていたら、あるいは、自転車をしっかり止めてパンかご越しに女の人と楽しそうに話しているおっちゃんがいたら、それはドンハイメです。
ぜひ「ドンハイメ~!」と呼び止めてパンを買ってみてはいかがでしょうか。
かごいっぱいに入った小さなパンを選ぶのは、まるで駄菓子屋に来たようで初めてなのに懐かしいような温かい気持ちになるはずです。
もしオアハカの夜を街歩きしているときに、かごを付けたおっちゃんがさっそうと自転車で駆け抜けていたら、あるいは、自転車をしっかり止めてパンかご越しに女の人と楽しそうに話しているおっちゃんがいたら、それはドンハイメです。
ぜひ「ドンハイメ~!」と呼び止めてパンを買ってみてはいかがでしょうか。
かごいっぱいに入った小さなパンを選ぶのは、まるで駄菓子屋に来たようで初めてなのに懐かしいような温かい気持ちになるはずです。
日本にいた間何も作ることができなかったので、オアハカに戻ってきてからは猛烈にシルクスクリーンをしています。
毎日晴れているので、太陽での感光もばっちりです。
あみ りょうこ
1982年大阪生まれ、兵庫育ち。現在メキシコのオアハカ州在住。ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
HP:http://mexicot.wordpress.com
instagram:ninjacco
■海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ) 記事一覧
-
マリーゴールド(メキシカンマリーゴールド)の花は、スペイン語ではセンパスーチルという名前です。
-
ソカロは、メヒコの町にはどこにでもある「その街の中心にある広場」です。
-
タマーレスはトウモロコシの粉を使って作られた食べ物で「ちまき」のようなもの
-
1月6日は東方三博士がキリスト誕生を祝い贈り物をもってやってきた日。そしてロスカという特別なパンを食べる日。
-
ポンチェはクリスマスのころによく飲まれる、くだものがたくさん入った冬の定番暖か飲み物です。
-
11月はメヒコの行事「死者の日」。今年はコロナであまりの静かさに故人たちも不思議がったのでしょうか。
-
9月の独立記念日はメヒコ人たちの愛国心をとても感じる、「ビバメヒコ(メキシコ万歳)!」色の濃い1か月です。
-
日本にあるものを見てふいにメヒコで満たされる瞬間が。そういう時は大体食べ物に関連しているようです。
-
メヒコの店の看板はゆるさが爆発しているものが多いのです。
-
メヒコにも黒人の人たちがいるのです。彼らは「アフロメヒカーノ」と呼ばれる人たちです。
-
肉厚な丸い背中をみると、この人のつくるタコスならうまいに違いないと食欲も倍増する心地。
-
ニエベとは手作り「オアハカアイスクリーム」のこと。選ぶときに迷ってしまうほど、味のラインアップが多いです。
-
3月8日は、”International Women’s Day”、日本語で「国際女性デー」でした。
-
私には何人かマエストロとよんでいる先生たちがいます。マエストロキンタスもその一人で活版印刷の師匠です。
-
CDMXはオアハカとは一味違うパワフルな町。私の中では、東京に行くような感覚です。
-
もしオアハカでかごを付けたおっちゃんがさっそうと自転車で駆け抜けていたら、それはドンハイメです。
-
不思議な飲み物「テハテ」は、飲むと元気が湧いてくるエナジードリンクだぜ!
-
路上軽食のおばちゃんたちが作るものはおいしいに決まっていて、ついつい通ってしまうのです。
-
人間の適応能力の高さもなかなか捨てたものではないと思ったオアハカ暮らし5年目
-
作り手であったり職人であったり、お店の人との距離が近いところはメヒコの好きなところ
-
旅と長時間の入国手続きの疲れでぐったり。パワーを補給するためはポソレがおすすめ。
-
オアハカは食天国で民芸品の宝庫。今回はメルカド(市場)のご飯を中心に紹介したいと思います
-
4月はセマナサンタといういわゆる「復活祭」というカトリックの大きなイベントがありました。
-
CDMXとはメキシコシティ。ハカランダの花が満開でした。
-
おそらくどこにも取り上げられていないであろう食堂の話
-
チョコレートの原産がメヒコだということをご存知ですか?実はメヒコ発の食べ物なのです。
-
こんなお祝いをする地域があったとは。メヒコもまだまだ知らないことばかりだなとわくわくした新年の幕開けでした
-
12月といえばメヒコは一気にクリスマスムード。まず、デコレーションへの意気込みが違います。
-
メヒコでは、10月の終わりから11月の2日まで、「Día de los muertos」(死者の日)というお祭りでした。
-
タクシーがまるでプレゼントのようにリボンや生花で飾られている、Día del taxistas(タクシー運転手の日)
-
9月16日は独立記念日なのです。国が侵略されてそこから再び独立した、というメヒコではこの日は盛大に祝われます。
-
今回は「あみのアミーゴ」ではなく「あみのアミーガ、編み物のおばちゃん編」をお送りします。
-
オラー、ブエナスタルデス! 今回はメヒコのおすすめ町歩き「メルカド(市場)」のことを紹介したいと思います。
-
今回から無性にメヒコに行ってみたくなるような情報をお届けします。となればまずは食。メヒコの食はおいしいのです。
-
『オラ!ムーチョグスト!(どうも、はじめまして)』版画アーティスト、あみりょうこさんのメキシコ便り