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■海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)
Vol.16 時計屋さんのおっちゃん、の巻
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■海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)
Vol.16 時計屋さんのおっちゃん、の巻


Vol.16 時計屋さんのおっちゃん、の巻
オラー、こんにちは!! オアハカよりあみりょうこです。
7月のオアハカは「ゲラゲッツァ」という大きなお祭りの月間だったので、どこもかしこも盛大に盛り上がっていました。
ゲラゲッツァは、インターナショナルのお客さんよりもメヒコ国内の観光客が多いような気がします。
年々観光客が増えているような気がして、おまつり期間中はパレードに遭遇したら少しは立ち止まって見るけれど、基本的には人ごみの多いところを避けて歩いていたような感じでした。
そんなお祭り騒ぎも終わって町は若干の落ち着きを取り戻しました。
そして、私の腕時計の具合が悪くなりました。
オアハカに来る前に、今は閉店してしまったスタンダードブックストアのショーケースの中で見つけて買った、チープカシオの四角い文字盤の時計です。かれこれ5年くらいつけていることになるのですが、電池も今までに2回は交換して、バンドも2回交換したというかなり年季の入った代物です。
新しいのを買ってもいいのでしょうが、こう、妙に愛着がわいてしまってついつい使い続けています。
メヒコには小さな商店が多いのですが、時計屋さんも例外ではありません。
オアハカは、コンパクトな中心街はうろうろと歩けるサイズなので常に移動は徒歩なのですが、徒歩の移動はいろいろな発見があるから面白いです。
市場の他にも、時計屋さんや糸屋さん、お香屋さんに写真屋さん、と本当に小さなお店が次から次へと目に飛び込んできます。
最近の観光の盛り上がりにともなって、次々と民芸品屋さんも乱立しているオアハカですが、その中でずっと前からある、一見ガラクタ屋さんのような民芸品を扱うおっちゃんがいます。
おっちゃんはもちろん、その民芸品がどこから来たのかわかっているものしか基本取り扱っていなくて、民芸品意外に目につくのがアンティークとガラクタの境目のような昔の品々です。小さなお店ですがうろうろ見るのが楽しいので、たまに足を運んではにやにやと眺めているお店の一つです。
その一角に壊れた時計コーナーもあって、「おっちゃんは時計も好きなのかな」と思っていました。
するとある日、それぞれに日本語で何かが記載された小さな袋がたくさん入った箱を見つけました。
「これは何ですか?」
と尋ねると、
「ああ、腕時計の部品」
と教えてくれました。これもビンテージのコレクションなのか??と思いきやようよう話を聞いていると、おっちゃんは民芸品やビンテージも扱っているけれど本職は時計屋さんなのでした。
どうりでいろいろと合点がいきます。壁に掛けられた大量の古い時計や、私がある日「小さなドライバーはありませんか?メガネのねじが緩んだからしめたいんです」と聞くや否や出てきた極小ドライバー。
そういえば、お店のカウンターの奥にはいろいろと作業台もあったような。
「おっちゃんは時計屋さんですか?!」
と聞くと、「そうだよ。知らんかった?」とへへへとにっこり笑った様子がめちゃくちゃチャーミングで、ああ、今度私のカシオに何かがあったらここで時計を直してもらいたい、と思ったのでした。
おっちゃんは古いものは好きで昔から集めていたらしいのですが、少しずつ売ることにしたそうです。民芸品は作り手の方から仕入れたり、あるいは友達のおっちゃんとコラボして商品を開発したり、はたまた自ら絵付けをしたりなど面白い品ぞろえです。そしてこの人柄にあらわれているように、ものすごく素晴らしいセンスで小さな店内はさながら宝箱。
謎のキーホルダーなどはいくつ欲しくなったかしれません。
いや、話が逸れました。時計です、時計。
そう、ついに具合が悪くなってしまったのです。だましだまし何か月か使ってきたのですが、いよいよ見るたびに針が遅れ始めました。
そんなわけで時間を見つけておっちゃんのもとへ足を運んできました。
「たのんます!!」
と腕時計を外して渡すと、眼鏡を装着して電池を交換してくれました。
7月のオアハカは「ゲラゲッツァ」という大きなお祭りの月間だったので、どこもかしこも盛大に盛り上がっていました。
ゲラゲッツァは、インターナショナルのお客さんよりもメヒコ国内の観光客が多いような気がします。
年々観光客が増えているような気がして、おまつり期間中はパレードに遭遇したら少しは立ち止まって見るけれど、基本的には人ごみの多いところを避けて歩いていたような感じでした。
そんなお祭り騒ぎも終わって町は若干の落ち着きを取り戻しました。
そして、私の腕時計の具合が悪くなりました。
オアハカに来る前に、今は閉店してしまったスタンダードブックストアのショーケースの中で見つけて買った、チープカシオの四角い文字盤の時計です。かれこれ5年くらいつけていることになるのですが、電池も今までに2回は交換して、バンドも2回交換したというかなり年季の入った代物です。
新しいのを買ってもいいのでしょうが、こう、妙に愛着がわいてしまってついつい使い続けています。
メヒコには小さな商店が多いのですが、時計屋さんも例外ではありません。
オアハカは、コンパクトな中心街はうろうろと歩けるサイズなので常に移動は徒歩なのですが、徒歩の移動はいろいろな発見があるから面白いです。
市場の他にも、時計屋さんや糸屋さん、お香屋さんに写真屋さん、と本当に小さなお店が次から次へと目に飛び込んできます。
最近の観光の盛り上がりにともなって、次々と民芸品屋さんも乱立しているオアハカですが、その中でずっと前からある、一見ガラクタ屋さんのような民芸品を扱うおっちゃんがいます。
おっちゃんはもちろん、その民芸品がどこから来たのかわかっているものしか基本取り扱っていなくて、民芸品意外に目につくのがアンティークとガラクタの境目のような昔の品々です。小さなお店ですがうろうろ見るのが楽しいので、たまに足を運んではにやにやと眺めているお店の一つです。
その一角に壊れた時計コーナーもあって、「おっちゃんは時計も好きなのかな」と思っていました。
するとある日、それぞれに日本語で何かが記載された小さな袋がたくさん入った箱を見つけました。
「これは何ですか?」
と尋ねると、
「ああ、腕時計の部品」
と教えてくれました。これもビンテージのコレクションなのか??と思いきやようよう話を聞いていると、おっちゃんは民芸品やビンテージも扱っているけれど本職は時計屋さんなのでした。
どうりでいろいろと合点がいきます。壁に掛けられた大量の古い時計や、私がある日「小さなドライバーはありませんか?メガネのねじが緩んだからしめたいんです」と聞くや否や出てきた極小ドライバー。
そういえば、お店のカウンターの奥にはいろいろと作業台もあったような。
「おっちゃんは時計屋さんですか?!」
と聞くと、「そうだよ。知らんかった?」とへへへとにっこり笑った様子がめちゃくちゃチャーミングで、ああ、今度私のカシオに何かがあったらここで時計を直してもらいたい、と思ったのでした。
おっちゃんは古いものは好きで昔から集めていたらしいのですが、少しずつ売ることにしたそうです。民芸品は作り手の方から仕入れたり、あるいは友達のおっちゃんとコラボして商品を開発したり、はたまた自ら絵付けをしたりなど面白い品ぞろえです。そしてこの人柄にあらわれているように、ものすごく素晴らしいセンスで小さな店内はさながら宝箱。
謎のキーホルダーなどはいくつ欲しくなったかしれません。
いや、話が逸れました。時計です、時計。
そう、ついに具合が悪くなってしまったのです。だましだまし何か月か使ってきたのですが、いよいよ見るたびに針が遅れ始めました。
そんなわけで時間を見つけておっちゃんのもとへ足を運んできました。
「たのんます!!」
と腕時計を外して渡すと、眼鏡を装着して電池を交換してくれました。

おお!!ちゃんと職人さんでした!!
こういう、お店の人(作り手であったり職人であったり)との距離が近いところはメヒコの好きなところです。
近いがゆえにいやな対応をされたり、やる気がないのが露骨に伝わってきて腹が立ったりするときもあるのですが、こんな素敵なものつくりや、自分の好きなことへの愛をにじませながら小さな商店を営んでいる方に出会うと、本当にうれしくなります。
再び動き出した私のカシオ。さらに特別なものになりました。一つのものを長く使える環境に感謝ですね。
それでは、また来月お会いしましょう!!
こういう、お店の人(作り手であったり職人であったり)との距離が近いところはメヒコの好きなところです。
近いがゆえにいやな対応をされたり、やる気がないのが露骨に伝わってきて腹が立ったりするときもあるのですが、こんな素敵なものつくりや、自分の好きなことへの愛をにじませながら小さな商店を営んでいる方に出会うと、本当にうれしくなります。
再び動き出した私のカシオ。さらに特別なものになりました。一つのものを長く使える環境に感謝ですね。
それでは、また来月お会いしましょう!!

友だちに教えてもらったスペイン語の表現 ”Tienes madera(直訳:木を持っている)”。
何かをつくったりしたりする準備ができているということらしいです。木があれば椅子でも家でもいろんなものが作れますものね。逆に言うと、木(素材)がないと何もできないので、うまいこと言うてるな、と感心しました。こういう表現にいちいちひっかかったり面白さを感じるのは、スペイン語が母国語ではないからに他なりません。
みなさんは「木を持っていますか」??

あみ りょうこ
1982年大阪生まれ、兵庫育ち。現在メキシコのオアハカ州在住。ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
HP:http://mexicot.wordpress.com
instagram:ninjacco
■海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ) 記事一覧
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マリーゴールド(メキシカンマリーゴールド)の花は、スペイン語ではセンパスーチルという名前です。
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ソカロは、メヒコの町にはどこにでもある「その街の中心にある広場」です。
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タマーレスはトウモロコシの粉を使って作られた食べ物で「ちまき」のようなもの
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1月6日は東方三博士がキリスト誕生を祝い贈り物をもってやってきた日。そしてロスカという特別なパンを食べる日。
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ポンチェはクリスマスのころによく飲まれる、くだものがたくさん入った冬の定番暖か飲み物です。
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11月はメヒコの行事「死者の日」。今年はコロナであまりの静かさに故人たちも不思議がったのでしょうか。
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9月の独立記念日はメヒコ人たちの愛国心をとても感じる、「ビバメヒコ(メキシコ万歳)!」色の濃い1か月です。
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日本にあるものを見てふいにメヒコで満たされる瞬間が。そういう時は大体食べ物に関連しているようです。
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メヒコの店の看板はゆるさが爆発しているものが多いのです。
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肉厚な丸い背中をみると、この人のつくるタコスならうまいに違いないと食欲も倍増する心地。
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3月8日は、”International Women’s Day”、日本語で「国際女性デー」でした。
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私には何人かマエストロとよんでいる先生たちがいます。マエストロキンタスもその一人で活版印刷の師匠です。
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『オラ!ムーチョグスト!(どうも、はじめまして)』版画アーティスト、あみりょうこさんのメキシコ便り