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■関西ウーマンインタビュー(起業家編)


柳田みほさん&多賀麻実子さん(studio Yanagiii)

ご家族にそっと寄り添う、「かかりつけの写心屋さん」でありたい

柳田みほさん(やなぎーさん:右)
多賀麻実子さん(まめまみさん:左)
『studio Yanagiii』
家族になった日、赤ちゃんが生まれた日、新しい生活が始まる日、ちょっと元気になれた日、何気ないけれどかけがえのない日・・・日常の延長線上にある、その時々の家族を写す『studio Yanagiii』。

フォトグラファーの柳田みほさんと、ヘアメイクアーティストの多賀麻実子さんが始めた家族写心専門のスタジオです。

おふたりは「写真」ではなく、「写心」と言います。ただ写真を撮るだけではないからです。「写心」という言葉には、どんな想いや願いを込めているのでしょうか。
ふたりの想いと夢が重なって
おふたりの出会いは?
柳田みほさん(以下、やなぎーさん):結婚式場のフォトスタジオで修業中、まめまみちゃんが美容室に転職してきたんです。

ある日、結婚式の前撮りをしていた時、まめまみちゃんが新婦さまのカメラで移動中の様子などオフシーンを撮影していました。

フォトグラファーの撮影の邪魔にならないようにするものなのですが、気づいたら、写真を撮る私の前にまめまみちゃんが!! びっくりしましたが、「ふたりのために」という想いが強い人なんだなあと好印象を持ちました。

帰りの電車で一緒になってしまった時は、「天王寺までかな」「鶴橋までかな」と思っていたら、最寄り駅が同じ。

じっくり話すと、自分のビジョンをしっかりと持って、実現するためにどうしたらいいのかを考えて行動していると知り、尊敬できる人だなあと感じました。

多賀麻実子さん(以下、まめまみさん): 私は出会った時から、やなぎーがカメラのシャッターを丁寧に押す姿に、「この人は何か違う!!」と直感的に感じるものがあったんです。

なんと、専門学校時代にシャンプーレッスンでお世話になったヘアサロンの店長がやなぎーのお姉さんだったとわかり、やっぱりご縁なんだと確信しました。
それぞれに独立する夢を持っていたそうですが、どうして一緒に『studio Yanagiii』を立ち上げることにしたのですか?
やなぎーさん:私は家族写真専門のスタジオをオープンしたいと考えていました。家族写真専門としたのは、以前に撮影させていただいた新郎新婦さまから届いた年賀状がきっかけです。

赤ちゃんと家族3人の笑顔の写真を見た時、すごく嬉しい半面、なんか悲しい気持ちにもなりました。私はこの家族のはじまりを見ているから、赤ちゃんが大きくなった時に「お父さんとお母さんの結婚式はこんなんだったんだよ」と伝えながら撮影できるのになあって。

ご家族の未来を、一緒に喜んだり、時には泣いたりして見守りたいと思うようになりました。

その夢には美容師さんの存在が必要だと思っていたので、まめまみちゃんだったら、ご家族さんを笑顔にしてくれると、ぽんぽぽぽんとイメージが見えたんです。

まめまみさん:私はブライダルの世界で仕事をする夢が叶い、次は自分の作品をつくりたいと雑誌や広告の業界をめざしていました。でも、やなぎーと出会って、180度変わったんです。

モデルさんをヘアメイクするより、たとえば日々忙しいママにヘアメイクをして喜んでもらえるなど、自然と出る笑顔を見ていきたいなあ、と。

やなぎーと一緒に仕事をすることが、私の夢になりました。
日常の延長線上にある、家族の「心」を写す
ご家族に寄り添う中で、いつも心にある「想い」は何ですか?
やなぎーさん:「記念日を一緒にお祝いしたい」「ご家族のことを、このご家族と同じくらい愛したい」という想いがあります。

『studio Yanagiii』では、すぐに撮影しないんです。心を開いてもらえるように、ゆっくり扉をあけていきます。「いつ撮るんだろう」と不思議がられるくらい、ご家族のペースを最も大切にします。

お話をうかがって、私たちが何か答えを出すことはできないけれど、写真と美容で「心」を形にするお手伝いはできるかなと思うからです。

時には、想いが溢れて涙を流される方もいます。

笑顔になるだけではなく、そうやって心もリフレッシュしていただいて、「自分たちって、こんな素敵な家族なんだ」「家族って、いいなあ」と再確認していただけたらいいなあとも思っています。
「写真」ではなく、「写心」としているのは、そういう想いがあるからなんですね。
やなぎーさん:結婚式場でフォトグラファーをしている時、技術より「私以上にこの新郎新婦様を想う人はいない」と心から撮ることが大事なんだと気づいた経験が根本にあります。

当時、才能ある人たちがたくさんいるのに、私なんかが撮影してもいいのかなあ・・・お客さんに申し訳ないと自信を持てなくて、辞めようと思ったこともありました。

でも、ある新郎新婦さまとの出会いが、私に教えてくれたんです。

打ち合わせで、過去の見本写真をお見せすると、どれも好きではないと言われて・・・どんな雰囲気が好きなのかを知りたくて、検討中のアルバム屋さんを教えてもらい、見に行ってみることに。すると、好きな雰囲気や想っていることが見えてきました。

そのお話をすると、「そこまでわかってくれているなら、あなたに撮ってほしい」と。当時、私は師匠についてサブで撮影していたのですが、師匠は「フォトグラファー冥利に尽きる」と応援してくれ、メインフォトグラファーとしてのデビューとなりました。

「あなたに撮ってもらえてよかった」と言っていただいた時には、私は間違っていたんだって気づいたんです。

自分に対する言い訳みたいに、足りないことばかりを探して自信をなくしていましたが、足るものは自分できちんとできるのに。一歩先、二歩先と、その人の心を知ろうと努力すること。感受性の強い私はそこをめざせばいいんだって。

以来、どんなふうに出会い、どんなことを想って、この日を迎えたのか・・・想いをうかがうようになりました。
まめまみさんは、ヘアメイクや着付けをする際、どんなことを大切にされていますか?
まめまみさん:やなぎーは素敵なところを写してくれる人、私はプラスに写るように美容や着付けをします。

たとえば、「子どもの準備に時間がかかって自分にはできなかった」とがっかりしているママをきれいにして、ママが笑ったらお子さんも笑うし、パパも喜ぶ。そんな雰囲気はきっと写真に表れるから。

お子さんの場合は、本人が好きでしたい髪型にします。大人になって、その写真を見た時に「この髪型が好きだったんだよ」ってお話したいからです。

今だけではなく、未来に「こう感じてもらえたらいいなあ」という願いも込めています。

やなぎーさん:先日は70代の女性がご自身で着付けもメイクもされて来ていたのですが、ご本人の希望で、まめまみちゃんが少し手を加えさせていただいたことがありました。

そうしたら、「これでいいか」と諦めていたところがきれいになって、自分じゃないみたいって目をきらきらと輝かせていらっしゃったんです。

まめまみちゃんのヘアメイクや着付けは写るための自信をつけさせてくれるもの。お一人おひとりとお話したり、肌に触れたりして、心もほぐしているのだと感じます。
夢を一つひとつ叶えながら、次のステージへ
『studio Yanagiii』では思い出の物と一緒に写っている写真も印象的です。そうするきっかけは何だったのでしょうか?
やなぎーさん:うちは3人きょうだいで、おもちゃを置くスペースがないので、おもちゃというと「日本昔ばなし」全集でした。読むだけではなくて、ドミノやブロックにして遊んでいたんです。

大人になって家族で写真を撮ろうと考えた時、あの本はどうなったんだろうと探したら、当然のことながら捨てられていてありません。もし、あの本をピラミッドにして遊んでいるそばで、家族で写真を撮っていたらとひらめきました。

それからは、今読んでいる絵本や遊んでいるおもちゃを持って来ていただくことも提案しています。

ほかの人が見たら何かよくわからないけど、家族なら「おぉ!」と会話が始まるような、想いのある物も一緒に残せたらいいなあと思っています。

まめまみさん:そんなふうに「こうなっていたらいいなあ」と想うことが、私たちにはたくさんあるんです。

オープン当初は夢だったのが、年数を重ねるごとに、ご家族さんが現実のものにしてくれて、叶えることができています。

「昔はこうだったんだよ」というお話をお子さんにできたらと思っていたのが、赤ちゃんだった子が成長して伝えることができるようになっていますし、大人にも楽しんでもらえるフォトスタジオになれたらと思っていたら、「今度は夫婦で」と大人だけで来られることも増えてきました。
オープン当初の想いや願いが、花開いていらっしゃるんですね。
やなぎーさん:年数を重ねるごとに、スタジオも育てていただいています。

ご病気になられたり、お亡くなりにいなられたり、というご連絡をいただく機会も出てきました。創業1、2年目にはわからなかったことです。

最初は記念日など笑顔をイメージしていましたが、笑顔でなくてもいいと思っています。私たちは楽しんでいただくことはするけれど、無理に笑わそうとはしません。

いろんなご家族がいて、みんなそれぞれ。その時の、その人らしさが写ればいいなあと思うからです。喜びも悲しみも、ご家族にそっと寄り添うスタジオでありたいと願っています。

まめまみさん:「母が亡くなって、『studio Yanagiii』の写真を使わせていただきました」と連絡をいただくことも出てきました。

私もおばあちゃんが亡くなって、写真を探しても見つからなくて、数年前のどこで撮影したのかわからない一枚を遺影にせざるを得なかったことがあります。すると、お葬式では「顔がなんか違う」という声も。

だから、大切な人が亡くなられた時の、とびきりの一枚に、『studio Yanagiii』の「写心」がなっているなんてすごいことだなって。1人より、家族と一緒の時のほうがいい表情をされているからだとも。

自分も経験したからこそ、余計にそう思います。

やなぎーさん:何事も経験です。経験しないと、伝わらないし、伝えられない。出会ってきたご家族さまのおかげで、さまざまな経験をさせていただいていますし、自分自身の家族との経験も今につながっています。

『studio Yanagiii』でやってみたいことは、実は私が亡くなった父とできなかったでもあるんです。

私自身は家族で写真館に行った記憶は一度もなく、アルバムをめくると、写真を撮っている誰かが欠けています。

父が難病になって家族で写真を残そうとなりましたが、子どものいる家族向けのフォトスタジオはいくつも思い浮かぶのに、大人だけで行けるところは思い浮かばない。父は日によって体調が大きく変わるので、日を決めることも難しかったんです。

そういった経験から、大人に楽しんでもらえるスタジオにしたいと思いましたし、病気のご家族さんと一緒に撮影できたらと家や病院などでの出張撮影を始めました。

すべての出会いや経験が、また明日出会うご家族さんの「写心」になる・・・幸せなこともそうですし、悲しいことも、それが想いに変わって「写心」になるんだと思っています。
一緒に笑ったり泣いたりしてくれる人がいるからこそ
最後に、「1人ではなく、2人だからこそ」と思うことはありますか?
やなぎーさん:まめまみちゃんといると、「こうしたい」「ああしたい」とどんどん思い浮かびますし、尊敬し続けられる人と出会えたのは本当にラッキーなことだったなと。

1人だったら続けてこられなかったと思うくらい、一緒に喜んで、一緒に泣いてくれる人がいるというのは無敵やなって思うんです。

先日も、七五三の撮影をした女の子から「将来の夢がカメラマンになったよ」とお手紙をもらったら、隣でまめまみちゃんが号泣していて、私は泣けなくなってしまったんです(笑)。

子どもたちの目に、私たちの仕事がキラキラ輝いて映って、こんな大人になりたいと思ってもらえるようになろうねと話していたから、私の夢が叶ったと泣いてくれたんです。自分のことより、人のことを考える・・・それがまめまみちゃん。

このお手紙と、隣にいるまめまみちゃんがやっぱりすごく素敵な人だなあと、ダブルで嬉しかったんです。

まめまみさん:小さい頃に妹を亡くして以来、2人分を生きている感覚があってか、急ぎ足で生きてきたように思います。3年先の目標を決めて、実現するために何をすべきかを考えて、努力し続けてきました。

今でも目標はいっぱいあるんですけど、やなぎーと出会って、急ぎ足で突き進むのではなく、周囲の花も見ることができるようになって、心の成長も一緒にできています。

根本の心の部分が一緒だからぶれません。
柳田みほさん(やなぎーさん)
8歳の時に家でカメラを見つけて触ったことをきっかけに、12歳の時には念願のマイカメラを買ってもらい、高校時代には写真部に所属と、子どもの頃から写真の世界にどっぷり浸かる。日本写真映像専門学校卒業後、株式会社フォトスタジオたむらに入社。ブライダルフォト、スタジオワーク、大判フィルム撮影、料理撮影、会場撮影、学校写真など、さまざまな撮影を経験。その後、ブライダルプロデュース会社にて、結婚式場のフォトスタジオ立上げに携わった。フォトグラファー修業10年を経て、2012年に『studio Yanagiii』を立ち上げる。
多賀麻実子さん(まめまみさん)
子どもの頃から自分の髪の毛を切ったり結んだりすることが好きで、高校時代には「服飾」か「美容」で進路選択を迷うが、国家資格を取得できる美容師を選択。ル・トーア東亜美容専門学校卒業後、ヘアサロンに入社。ブライダルの世界に進みたいと考えていたため、22歳の時に結婚式場の美容室に転職した。『studioYanagiii』オープンに向けて、修業を積むために1年限定で『atelier mamemami』としてフリーランスで活動。2012年より『studio Yanagiii』でヘアメイクと着付けに携わる。
studio Yanagiii
うめきた店/大阪市北区大淀中2-1-1 小川ビル4階
あべの店/大阪市東住吉区桑津5-16-5
TEL:0120-44-8791
HP: https://www.yanagiii.com/
FB: studioYanagiii2012
(取材:2018年3月)
出会って10年以上経っても、お互いに感謝&尊敬し合う気持ちを持ち続けているおふたり。

その理由の1つとして、「フォトグラファー同士だったら、教える・教えられるという関係性から上下関係ができていたかもしれないので、違う職業だったということもよかったのだ、と。まめまみちゃんはずっと、私にはできないことをしているから尊敬し続けています」とやなぎーさん。

まめまみさんは「私たちは性格が真逆ですし、お互いにお互いの不得意なところ、足りないところを持っていると思います」とおっしゃっていました。

根本の想いの部分で強くつながり、お互いがそれぞれの仕事やできることに取り組み、お互いに信頼を寄せているからこそなんだ、と。

そんなふたりのいい関係は、ご家族の笑顔の向こう側にちゃんと写っていて、記憶にも刻まれているのだと思いました。
小森 利絵
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』

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