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■関西ウーマンインタビュー(起業家編)


仲村しのぶさん(飛鳥ワイン株式会社)

 
仲村しのぶさん 飛鳥ワイン株式会社 取締役
飛鳥ワイン株式会社
大阪府羽曳野市飛鳥1104
TEL:072-956-2020
HP:http://www.asukawine.co.jp
羽曳野市は昔からぶどうの産地だったそうですね。
ここ羽曳野市飛鳥地域は100年以上前から、生食用のぶどう、特にデラウェアの栽培が盛んで、昭和の初期頃は山梨を抜いて、日本一のぶどう産地でした。うちも先代、主人の祖父の時代からぶどうを作っていました。

昭和9年の室戸台風の時に、ぶどうの木がほとんど倒れる被害があって、生食用として市場に出せないぶどうがたくさん出てしまったんです。そのぶどうでワインを造ろうということで、このあたりのぶどう農家に醸造免許がたくさん下り、うちもワイン造りを始めました。

戦後、多くの農家が醸造免許を返され、うちも一旦は返したそうですが、義父がやっぱりワインを造りたいと、また免許を取り直し、生食用のぶどうを作り、ワインも絞って、それを自分で売りに行っていました。

今、大阪にワイナリーは6社あるのですが、大阪でぶどうを作っていることを知らない人も多いですし、ましてやワイナリーがあるということを知らない人はたくさんおられます。そこでその6社で「大阪ワイン」を全国に発信していこうと、「大阪ワイナリー協会」を立ち上げ、一緒にいろんなイベントをしています。
ご結婚の時、家業を継ぐことは決まっていたのですか?
うちはぶどう農家ですが、主人は三男なので、もともと家業を継ぐ予定はありませんでした。結婚前は会社員として働いていましたし、私もまさか農家の嫁になるとは思っていませんでした。

その後、長男の義兄が亡くなって、次男の義兄は公務員になったこともあり、結婚を機に主人が家業を継ぐことになったんです。最初は「えっ」と思いましたけれど(笑)、「ワインは全部お前に任せた」といって、義父はぶどう農業のほうに専念してしまいました。
ご主人の両親と同居そして農家の嫁、そして子育てと忙しい時期を過ごしてこられました。
このあたりはぶどう農家が多いので同居が多いです。農業は、「遊んでいる労働力をいかに投資するかで、作業効率が上がる」と言われていますから、ずっと昔から、おじいちゃんおばあちゃんはもちろん、お嫁さんも子どもたちも皆、家業を手伝ってきました。

主人も小学生の頃から、朝起きて学校に行く前に手伝い、放課後クラブ活動をして帰ってきても、まだ親は働いているので手伝うという毎日。夏はぶどうの出荷で一番忙しい時期で、この辺りの子どもたちはみな、夏休みにプールや遊びに行くことは無かったそうです。

私も子どもたち二人とも2歳から保育園に預けて家業を手伝ってきました。同居なので家族6人、朝昼晩ずっと一緒ですが、家族それぞれ、ごはんもお風呂も時間が少しづつ違いますし、義父も義母も、晩年は介護が必要だったこともあり、じっと座って仕事に集中することができたのはここ何年か、私たちの代になってからです。

ワイナリーツアーをしたいとか、ワイナリーで皆さんにお食事を提供したいとか、これまで「無理だろうな」と思ってきたことが、今は、自分が動けば何でもできると思うと、あれもこれもやりたくなって、ちょっと手を出してすぎてしまうくらいです(笑)。
自社農園のぶどう100%にこだわっておられるそうですね
バブルの頃、ワインブームで、赤ワインなら何でも売れる時代がありました。当時まだラベルを手で貼っていたのですが、ラベルを貼り終えるのを、後ろで待っているくらい忙しくて、そんな時期がまるまる1年半ありました。その後、安い輸入ワインが入ってきたり、バブルがはじけた途端、売り上げもガタッと落ちてしまったんです。当時は本当にどうしようと思いましたが、先代からのぶどう畑もあるし、今は畑に力を入れて、こだわったぶどうを作ること専念しようと考えました。

それまで、自社で作っているのはデラウェアだけだったので、ワイン専用葡萄品種を新たに植えました。自社農園、それも自分が納得するまでこだわって作った葡萄を100%使ったワイン作りを始めました。

そこで主人は、売上の数字を追わず、「いい葡萄、品質の良いワインを作ればいい。今はそういう時期だから、俺は慌てへん」と腹をくくったんです。

デラウェアは棚栽培といって枝を棚に広げていくのですが、ワイン専用葡萄は垣根栽培を採用しています。垣根栽培は苗の数がたくさん必要になりますが、その苗も自分たちで接木をし、健全な樹を育てています。 有機堆肥のみの土造り、除草剤を一切使わない草生栽培にも取り組み、自社畑はすべて大阪エコ農産物の認証を受けています。 作り手がいなくなった近隣のぶどう畑を契約栽培し、葡萄の収量を増やしながら、質の良いワイン造りをすることにより、少しずつ売上も回復していきました。
国産ワインコンクールにデラウェアで始めて入賞されました。
国産ワインコンクールは、日本のぶどうを使ったワインのコンクールですが、2003年、デラウェアで始めて入賞したんです。それから毎年チャレンジしています。

コンクールに出るには、まず1000本作らないといけないのですが、その1000本作ることがネック。どんなに美味しいワインができても、自分たちが飲む量しかないとだめなんです。

このあたりはかつてデラウェアの生産量が日本一になったように、温暖で雨が少なく水はけが良いという土壌があります。ぶどうにも、シャルドネや甲州、リースリングなどいろいろありますが、どのぶどうがこの土地に合うかいろいろ考え、今は30~40種のぶどうを植えています。コンスタントにコンクールに出せることはとても難しいことですが、毎年毎年、品質のレベルを上げられるよう努力しています。
ショップとサロンを始められたのはしのぶさんのアイデアですか?
酒屋さんや問屋さんに卸販売する傍らで、近所の方にお分けするのに倉庫で売っていたんですが、いつかお店のようにできればいいなと漠然と考えていました。義父母を看取り、子ども達も独立したこともあって、自宅の一部をちょっと改造してお店を作りました。

するとお客様がどんどん増えて、畑を手伝ってくださるボランティアの方も増えてきたので、物置にしていたスペースをちょっと改造するつもりが、どうぜならきれいにしましょうとサロンも作りました。

今はここでワインのテイスティングをしたり、ワイナリーに来られるお客様にケータリングを取ってお食事を提供したり、したいことがどんどん広がっています。

ぶどう畑は小高い山の上にあって見晴らしも良いので、バーベキューをしたりピザを焼いたり。この南河内の自然に囲まれると、ワインが一層美味しく飲んでもらえるんですよ。
ご夫婦で役割分担されているんですね。
私自身は商売をしている家で育ったこともあって、お客さんに納得して気に入ってもらえると、気分がワクワクしてくるんです(笑)。でも主人は職人気質ですから、ぶどうを作ることワインを作ることにワクワクするようです。

お互い自分の得意部分を担っていますから、どちらかができなくても、どちらかができる。役割分担はできていますけど、一緒に仕事をしていく上で、根本的な考え方の違いはやっぱり出てきます。たまに衝突することもありますが、思いの強い方の意見を優先することにしています(笑)

でもやっぱり農業ですから自然が相手、作り手の立場を考えるといろんなしんどさがあります。それをそばでずっと見てきていますから、何でイラついているのか、なぜそうなっているかが、手に取るように分かるんです。私はあくまでも主人の補佐役。主人の仕事がはかどるよう、うまく機転をきかせながら、自分のやりたいことができる環境を作っていきたいと思っています。
これからの夢は?
チーズを見ると牧場が浮かぶと言われますが、ワインを飲んでぶどう畑が浮かぶ人って、まだまだ少ないかもしれません。でもワインはぶどう、農産物を飲んでいるのですから、まず畑に来て欲しい。「こうしてやっとぶどうになって、これだけのことをしてワインになるんだ」ということを知ってもらえたら、ワインを飲む楽しみがもっと増えると思うんです。

今、国産ワイナリーがブームなので、自分たちが作ったぶどうでワインを作るというロマンを求めて、全国各地でワイナリーを目指す人がすごく増えています。ワイナリーは農業ですから、その産地産地の良さを知るワイナリーめぐりも楽しみの一つ。大阪の端っこにある南河内に行くと、電車を降りたらぶどう畑がいっぱい見えて、「あの畑で育ったぶどうで作ったワイン」と、頭に思い浮かべながら、ワインを飲んでもらえることが夢です。
ありがとうございました。
(取材:2015年4月 関西ウーマン編集部)
 

 

 

 


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