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[レポート]出せなかった手紙~お手紙に気持ちを託してみませんか?

2018年7月のレポート

出せなかった手紙
~お手紙に気持ちを託してみませんか?~

誰かに向けてお手紙を書く時間は、相手を想うと同時に、自分を想うことにもつながります。他の誰でもない、「わたし」が主語で、相手に向けて書きつづる文章だから。

お手紙を書くことで、「わたし」が今、感じたり思ったり考えたりしていることを思い出して、誰かと一緒に書くことで、さらなるコミュニケーションを楽しみたい。

そんな想いから「おてがみぃと」を開催しています。手紙の書き方講座ではありません。時々、集まって、おしゃべりしたり、お手紙を書きたくなる+αを楽しんだりして、お手紙を書く時間を楽しむ会です。

今回はアトリエ&ショップ「雨の日製作所」さんで「出せなかった手紙」を書きました。

「もっと、気持ちを伝えたかった」この世にはいない大切なあの人へ。「どうして、あの時そうしてしまったのだろう」と後悔の気持ちが残るあの人へ。「元気だったらいいなあ」と願う、連絡先がわからなくなってしまったあの人へ。これから出会うだろう、あの人へ。

気持ちを伝えたいのに、伝えられない。自分の心に残る、誰かへの想いを、お手紙に託しました。
自己紹介も兼ねて、お手紙についておしゃべり
はじめに「最近、お手紙を書いたのは?」「今日は誰にお手紙を?」とお手紙にまつわる話題を盛り込みながら、自己紹介をしました。

自分のことを話したり、相手のことを聞いたりする中で、「そういえば」と心に浮かぶことがいろいろとあります。

私は「この人に書こう」と思っていた相手から、「やっぱり、この人に」と変化しました。お一人おひとりの想いや出来事をうかがう中で解されていくものがあって、今日こうして集まった方々と一緒だからこそ、自分の内側から溢れてくるものがあったんです。

それによって気づいた自分の気持ちがあって、それをお手紙に託すことにしました。
「FunFooL」酒井育子さんお手製のレターセットからお気に入りを見つける
「雨の日製作所」は「FunFooL」酒井さんのアトリエ&ショップです。

店内には、酒井さんがコラージュしたり、スタンプを押したり、版画をしたりしてデザインした紙をはじめ、紙もの作家さんや酒井さんが定期開催するレッスン「工作準備室」参加者の手づくりもの、国内外から収集したものなど、いろいろな紙が並んでいます。
今回は酒井さんがこの日のためにお手製のレターセットをつくってくださいました。
表情の異なる4パターンの柄×2種類の紙質の便箋、さまざまな形と色の7種類の封筒。

「いいなあ」と思う便箋と封筒を、それぞれで組み合わせました。私が選んだのは、下の写真の右側(さんかくとまる)の便箋と、中央(淡い青)の封筒です。
「かわいい小人たち」にも「心の中にあるいろイロな気持ち」にも見えて、心が魅かれたから。便箋の柄は新聞のカラー広告部分を切り取ってコラージュされたそうです。

「手づくりしたものだから、手づくり感を残したい」と話す酒井さん。

切り取った箇所によって色合い、濃さなどに多少の違いがあって、均一ではないからこその、温かみや優しさを感じます。
お手紙タイム
自分と、お手紙の相手に想いを馳せるひととき。一人ひとり、それぞれの相手に向けて、お手紙を書きます。

別れを伝えられぬまま、別れてしまった。「もっと話したかった」「こんなことを伝えたかった」という想いが溢れてくる。

「どうして、あの時そうしてしまったのだろう」と後悔している。「どうして、あんなことをされたのだろう」と納得できない。心の中でもやもやしている。「こうしたい」という気持ちがありながらも不安。未来に想いを馳せて。 ・・・など、「出せなかった手紙」というテーマから、一人ひとりそれぞれの想いを深めていきました。
私はこの日までに、日常の中でぼんやりと「誰に書こうか」を考えてきました。

今は連絡を取っていない、でも人生の中で印象に残る何人かの顔が思い浮かびましたが、「書こう」「書きたい」と思うほどの気持ちや想いが残っているというのは、本当に特別なんだと気づきました。

何かしら、心にひっかかりがあるということです。

私は26年前、1992年の父にお手紙を書くことにしました。まるで黒い点のように心に残ることがあって、これまでにも何度か向き合ってきて、その時々に自分なりに解釈してきたことでしたが、頭と心の中でぐるぐる考えるだけだったので、一度言葉にして出してみようと思ったんです。

「その言葉でいいのか」「本当にそう思っているのか?」など、自分の書いた内容につっこみを入れながら、自分の中から溢れ出てくるままに、気持ちや想いを言葉にしていきます。

最初は「黒い点」に思えたものが、書道の筆を置いたようにじわっと滲んできて、「黒い点ではなかったんだ」と気づき、自分の中で止めてしまっていた“何か”を動かす、そんな不思議な体験をしました。
書いたお手紙について、感想など共有
「誰にお手紙を書きましたか?」「その相手にどうして書こうと思ったのですか?」「書いて、どんな気持ちになりましたか?」など感想を共有しました。

「書いたことで、心がすっきりした」「“出さない手紙”だからこそ、嘘をつかなくてもいい、自分の気持ちや想いを出せた」「心の中にあった想いを言葉で書き綴ることで確かめることができた」といったさまざまな感想がありました。「出せなかった手紙」というテーマがあったことで、書けたことがあります。

今回「出せなかった手紙」というテーマをくださったのは、プランナー&プロデューサーとして活躍されているマキさん。

お祖父さまからお母さま宛のお手紙を見つけて、今は亡きお祖父さまと自分とのやりとりも思い出し、「もっと話したかった」と伝えたい気持ちを書きたいと思われたからでした。
マキさんお手製のおやつを食べながら、みんなでおしゃべり
マキさんがおやつをつくってくださいました。豆乳プリンの上に、アンコときなこ、キウイや夏ミカンといったフルーツを乗せた一品です。やさしい甘さが、心にも染み渡ります。
マキさんが「お手紙を一緒に書いて、こうしておしゃべりすることで、以前から知っている人とでもまた知らなかった、違う面が見えてきた」と話していたのですが、本当にそう。

今日「はじめまして」の人とも、もう知っている人とも、お手紙を書く時間を共有することで、その人の人生の一端や心の琴線に触れられるような、そんな感じがします。

「一人で書く」のではなく、「誰かと一緒に書く」ことのよさを、改めて感じることができました。

ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。
ご協力いただいた奈良・新大宮の「雨の日製作所」さん
〒630-8114 奈良県奈良市芝辻町4-6-16 セイシェルビル2F
http://www.eonet.ne.jp/~nuland/
profile
小森 利絵
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
BLOG:『えんを描く』ブログ
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