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■関西ウーマンインタビュー(女性士業編)


辻本尚子さん(不動産鑑定士/みやこ不動産鑑定所)

 
辻本 尚子さん 不動産鑑定士
みやこ不動産鑑定所
京都市中京区三条通柳馬場西入桝屋町75 日本生命京都三条ビル5階 http://www.kyoto.zaq.ne.jp/dkibe704/index.html
不動産鑑定士になられたきっかけは?
もともと税理士だったんです。私たちの年代は、大学を出て一部上場企業や銀行に就職しても、結婚すると仕事を辞め、専業主婦にならざるを得ない人が多い時代でした。女性が仕事をする上で資格は武器になると考え、まず税理士を目指しました。

税理士試験に合格後、税理士の夫と結婚、子育てしながら一緒に仕事をしていましたが、やっぱり税理士同士ですから、お互い一家言あるわけです。税理士の仕事は考え方の違いでやり方も違いますから、どちらが正解ということも無い。それって生き方の違いにも関わってくるので、ケンカになることも少なくありませんでした。

当時はバブルが崩壊し、土地の価格が分からなくなっていました。地価はそれまでの取引価格重視から収益重視に移行しつつありました。そこである物件で鑑定評価をお願いしたのですが、それを見て「これなら私にもできる」と思いました。そこで、夫に「私、不動産鑑定士やるわ」と言ったんです。

とはいえ、子育てと税理士の仕事をしながら通信教育で勉強するわけですから、「そんな時間があるかな。勉強しても合格できるのかな」とグズグズ考え、なかなか踏み切れませんでした。もし合格しなかったら授業料はまるまる無駄になるし、それなら海外旅行に行ったほうがマシかなと思ったり。
 
でも、これを逃したら今年の試験に間に合わないという時期になってようやく申し込んで、お金を払ったらやるしかないとお尻に火がついて勉強を始めたんです。すると、勉強することがすごく面白くなって、遊びに行きたい気持ちにもならないんです。服も買わないし、食事に行く時間ももったいないから行きたくない。そうして最短の8ヶ月で合格しました。
「不動産鑑定士」とは、どのようなお仕事ですか?
不動産鑑定士は、クライアントの依頼に応じて物件を調査して価格を査定する仕事です。相続など財産争いの裁判でいくらで和解できるかというケースや、家賃や立退料でこの金額は納得できないといった際に依頼を受けます。

不動産業者さんの査定は家を売買することが前提ですが、不動産鑑定はそれ自体に効き目が必要なんです。もちろん相手から反論もありますし、裁判の資料でも通らけなれば意味がありませんので、反論に負けない鑑定、読む人が納得できるような緻密な鑑定をしなければいけないんです。

例えば相続争いで、片方は全部自分のものだと思っている。もう片方も自分のものだと争う。そこを鑑定評価によって決着することで、いつまでも争いを引きずらず、それぞれが新しい人生を再生することができるんです。こういうひとつひとつが社会を変えるきっかけになると思うので、非常にやりがいを感じます。
今、辻本さんが取組んでいることとは?
建物の区分所有に関する法律ができた昭和40年代から、たくさんマンションが建ちました。現在築30年を超える古いマンションがすごく増えていて、今後それらの流通を活性化させるためにどうするかという問題があります。

「管理の良いマンションは良いマンション」という認識はあっても、これまでそれを評価する数値がありませんでした。そこで、昨年(2014年)京都府不動産鑑定士協会で調査研究委員長を務めた際に、管理の良いマンションは値段が高いという評価を数値にした「中古マンションの市場分析」というレポートを作りました。

同じ築30年でも管理の良いマンションと悪いマンションではこんなに違う。管理の良いマンションに経済価値が認められれば、古いマンションがどんどん流通するだろうと考えたのです。

マンション生活は究極の共同生活。マンションに住むからにはコミュニティを作れる人でないといけない。ハード面の管理状態だけでなく、そうしたソフト面も評価されるべきと考えています。
今、京都は町家が人気で、かなり高価になっていると聞きます。
20年くらい前は、町家なんてただのボロ家だと思われていました。「うちの家、大正時代に建てられた木造二階建てやねん」と言うのは恥ずかしかったくらいです。でも今は違って、町家カフェや町家レストランなどが人気で引く手あまたです。

でも町家を買っているのは京都の人じゃなくて東京の人も多い。それをどうするかなんです。町家を東京の人に売っても良いんだけど、町家を町家のまま残してくれる人に買って欲しい。だって京都は京都らしい建物があるから世界中の人が来てくれるんですから。

これは価値観の問題なんです。「価値がある」というのは言わば気分の問題。「京都の町家はこんなに価値がある」ということを確立させ、これは潰せないものだということを今やらないといけない。

今町家を含め、京都の歴史的な建物について、ちゃんと正当な評価をしていこうという活動をしています。特に京都にある昔の建物は今の基準に合ってないんですね。建ぺい率もそうですし、石の上に柱を乗せて基礎とするのが伝統的な工法なんです。でも今の建築基準法に合致していないからといって、危険かというとまた別の話。京都市もそこは力を入れていて、ある程度の耐性を持てば大丈夫という独自の建築基準の条例を作っています。

価値が無いと思えばみんな潰されてしまう。そうならないよう、価値を分かってもらえる評価をすることで、社会を変えていければと考えています。景観を守ることも、マンションのコミュニティも、京都が京都であるために自分ができることをしたい。そういう仕事ができるのはとても楽しいです。
ありがとうございました。
(取材:2015年4月 関西ウーマン編集部) 

 

 

 


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