HOME
■関西ウーマンインタビュー(士業)
冨永 洋美さん(行政書士/西天満法務事務所)
前のページへ戻る
■関西ウーマンインタビュー(士業)
冨永 洋美さん(行政書士/西天満法務事務所)

冨永 洋美さん 行政書士 西天満法務事務所 介護タクシー営業許可申請などの高齢者福祉に関する手続きを専門に、各種許認可の申請・届出代行を行う。他にNPO法人あいあいサポートの理事として、要介護期間の短縮・孤独死減少を目指し、シニアの生きがい発見につながる「セカンドライフ応援セミナー」を企画、開催。超高齢社会の今「理想の最期」をいかにして迎えるかを模索し、遺言書作成・尊厳死宣言・任意後見契約をすすめる「老い支度セミナー」や、成年後見制度の普及を目的とした勉強会などを大阪府内各地で主催し、シニア世代に向けた情報提供を行っている。 西天満法務事務所 http://24temma-care.jp/ 〒530-0047 大阪市北区西天満4-9-15 第一神明ビルディング4階 TEL:06-4307-3630 老いじたく相談処 http://www.oijitaku.com |

行政書士になられたきっかけは? |
社会人に成り立ての頃は、一般企業の事務職に5年勤めていました。5年勤めると、ある程度仕事がわかってきますから、このままここで年を重ねて、自分のやりたいことがあるかと考えると、この会社じゃないなと思い退職しました。当時パン作りが趣味だったので、神戸元町にあるコルドンブルーという製パンの学校に入学したんです。ですがやっぱり職人仕事には才能が必要なんですね。顕著に差が開いてしまったので、これは私の進むべき道じゃないなと、スパッと諦めました(笑) その後仕事を探し、会社設立代行の会社に勤めました。そこでは自分で受注を取って、最初から書類の納品、開業までを全部受け持っていたので、事務職しかしたことがなかった私にはとても楽しく仕事ができました。会社の事情で4ヶ月で退職しましたが、次もそうした最初から最後まで自分でできる仕事を探そうと思い、行政書士になることを決意。業界経験を積むため、司法書士事務所に就職しました。そこで3年間勤めましたが、資格を取るために最初の2年間は働きながら勉強していました。その後行政書士に合格して、独立しました。 |
![]() |
行政書士になられましたが、なぜ介護タクシー開業支援を? |
独立した頃、祖母が寝たきりになって施設に入ったんです。本人はイヤな気持ちがあったんでしょうね。外へ連れていってあげるととても喜ぶんです。祖母がものすごくうれしそうないい顔をするのを見て、こういう福祉の仕事をされている方の支援をしたいなと思ったことがきっかけです。 たまたま知人の紹介で、介護タクシー開業の許可申請をお手伝いした際に「この仕事は女性の行政書士に向いている」と思ったんです。行政書士業務は、建設業許可や外国人の申請等たくさんありますが、福祉業界は女性を活かせる仕事だとピンときたので、そこからは迷いなく介護タクシー開業支援1本に特化しています。 |
介護タクシーの開業を希望される方はどのような方々ですか |
開業したい方の中には、普通のタクシー運転手をされていた方もいますが、セカンドライフに何か地域に貢献できる仕事がしたいと考えられる方や、介護タクシー事業に進出したい福祉事業所などさまざまなです。興味も持つ方はとても多いですし、今後もっと高齢者が増えていきますから、まだまだ当分は伸びると思います。 セカンドライフといっても50代後半から60代前半が多いですね。私がお手伝いさせていただいた中では69歳で開業された方が一番高齢です。若い方は体力的に有利ですが、まだまだシニアが頑張れる業種だと思います。やりがいのある仕事だと思いますし、私が許可申請をしたお客さんが、「開業してよかった」と言っていただけると一番嬉しいですね。 |
![]() |
いろんな活動にも参加されていますね |
シニア世代の情報提供をするセミナーやNPO活動もしています。50~60代のセカンドライフを応援していこうというセミナーと、「70代からの老いじたく」という活動です。定年退職を迎える男性って、やっぱり不安があるんです。そこで家に閉じこもることなく、スムーズにセカンドライフに移行して欲しいですね。 それは仕事であっても趣味であってもボランティアであってもいいんですが、自分の生きがいを見つけて楽しく生きていけたら、要介護の期間を短くしたり、孤独死も回避することもできます。そうしてゆくゆく年を重ねていって、こんどは人生のエンディングに向けた準備「老いじたく」をしていこうと。その一連の流れを応援していきたいと思っています。 |
これからの夢 |
今実は妊活中なので、母親になったとき、自分がどんな働き方ができるか考えています。今は好き放題やっていますが、やっぱり一人では限界がありますから。信頼できる人を雇用して、自分の考えている理念を伝えていくことも大事かなと思っていて、そこのしくみづくりをやっていきたいなと思っています。 |
![]() |
これから資格をとりたいかたにアドバイスをお願いします。 |
行政書士の資格は、士業の中で一番簡単な資格だと思います。今まで法律を勉強したことのない人も、1~2年で取れますから。でも、試験勉強では仕事のやり方までは教えてもらえないですし、開業して儲かるかと言えば、そんなに甘くないですね。 税理士や弁護士だと企業の顧問になれますが、行政書士が顧問収入を得ている人はごくわずか。大概は開業のお世話だったり、後々の変更届などですから、基本的に常に営業していくことになります。私も独立したての頃は、何か専門を持たないといけないと焦りもありましたし、やっぱり自分に興味がある分野を如何に見つけるかですね。 |
営業はどのようにされていますか |
独立して1年目は、異業種交流会にも顔を出していましたが、むやみにやたらに行っても仕事が取れるものではないですね。それよりも自分がやりたい業界、例えば私は福祉業務に興味があるので、福祉関係の方たちの交流会に行ったほうが効率がいいんです。なので3年目からは一般の交流会には一切行かなくなりました。交流会にも良し悪しはありますし、いろんな刺激を得られるのかもしれないけれど、私はそんなに器用じゃないし、福祉業界に詳しくなりたくて、そっちばかり攻めていました(笑) |
関西ウーマンの読者へのメッセージ |
![]() 資格取ろうと勉強していた2年間は、全く遊ばずストイックに勉強しかしませんでした。恋愛も何も考えず、ただ将来のためだけに費やした時間で、私にとってすごく重要な期間だったんです。 資格に合格した後、さあ次のステップに行こうとなったとき初めて、「自分が良いなと思った人に、自分から声をかければいいんだ」と思ったんです。今の主人は以前の勤め先の人ですが、ふと気付いたら「良い人いるやん」と思って声をかけて、うまくいきました(笑)。 自信があったわけじゃないんですが、この2年間が私を変えたんでしょうね。これからは自分で選んだ人生を生きていく、自分のパートナーは自分で見つけようと思ったんです。 親元を離れて初めての一人暮らし。お給料は手取り17万円で家賃が6万円でしたから、一人で生きることは、どんなに大変かと思い知りました。でもその2年間がなかったら、今も結婚せず、ぼーっと過ごしていたと思います。自分を変えることって、自分が動かないと変わらないんだなと思いますね。 |
ありがとうございました。 |
(取材:2014年6月 関西ウーマン編集部) |
■関西ウーマンインタビュー(士業) 記事一覧
-
「「気持ちよく暮らす」をつくりたい」住まい手とじっくりと話し合って家を創る建築士の絵里子さん
-
「自分で考えて行動して得た「体験の引き出し」を増やす」「衣食住+アート」と建築をつなぐ建築士のめぐみさん
-
「自ら環境をつくっていけば楽しく仕事ができる」出産を機に独立、「ママ建築家」として活躍する奥田さん。
-
「女性が強くなっていく場面に接することは楽しい」女性の人権を守る弁護士として働く乘井さん
-
「人は温もりを経験して初めて問題に立ち向かえる」虐待を受けた子どもたちのためのシェルターを運営する弁護士の森本さん
-
「心地いい、その人の居場所を創る」自然環境と家族の暮らし方に寄り添う住いを創る小笠原さん。
-
「頭の中で考えているだけではできない仕事もある」利用者と向き合う設計に魅力を感じて独立された建築士の所さん
-
「まちづくりの裏方を究める」京都のまちづくりには欠かせない人と言われる、一級建築士の大島さん
-
「京都が京都であるために自分ができることをしたい」建物の評価や価値伝えたいと不動産鑑定士として働く辻本さん
-
「一切の妥協を許さない。それが一流の仕事に繋がる」弁護士として医療紛争を専門に活躍する水島さん
-
「法律はあくまでも手段。主人公はお客様自身」人生何があるかわからない。ご自身の体験を活かし女性を支援する佐伯さん
-
「高齢者と事業所を運営する方々の力になりたい」有志3人で独立。若き女性弁護士の伊丹さん
-
「女性のための年金調査隊」自分の将来を考えるのは自分自身と、年金の重要性を伝える社労士の優さん
-
「こんな大切なことを知らずに生きてきたのか」とお金に対する教育の無さに奮起、ファイナンシャルプランナーとして活躍される晴美さん
-
20代で社労士資格を取って10年。ずっと介護の仕事を続けてこられ「福祉系社労士」として開業された溝上さん
-
「税理士の仕事って楽しい。」税理士資格取得後は一人で独立、出産することを機に税理士法人にされたゆかりさん。
-
介護タクシー営業許可申請など福祉関連の申請業務を専門に行う行政書士で活躍する富永さん
-
女性士業が集まる「関西ビジネスコンシェルジュ」代表の中川さん。何度もチャレンジし念願の弁護士になったいきさつをお伺いしました。