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■関西ウーマンインタビュー(社会事業家編)


西野 桂子さん(NPO法人 音の風 代表理事)

 
西野 桂子さん (特定非営利活動法人 音の風 代表理事)
滋賀大学大学院教育学研究科音楽科教育専修修了。2003年にNPO法人音の風を設立。「地域と音楽」をキーワードとした活動に取り組んでいる。福祉施設、障害者施設をはじめ、地域団体との交流など、地域の人々とのつながりづくりを目指し、歌や演奏など音楽を通してたくさんの笑顔が生まれる草の根活動を展開中。平成23年度から京都市岡崎いきいき市民活動センターのセンター長に従事。また武庫川女子大学音楽学部非常勤講師として、生涯学習やアートマネジメントに関する授業を行っている。2012年「いのちのおもさ」他(マザーアース株式会社)より出版。オルガンプレイヤーとして京阪神を中心にライブ活動も行っている。ジャンルはソウル、R&B、FUNKといったグルーブ系の音楽。活動歴は30年。
特定非営利活動法人 音の風
HP:http://www.otonokaze.org/

京都市岡崎いきいき市民活動センター
http://okazaki-iki-iki.org/
「音の風」は、どのような活動をされているのですか
「地域と音楽」をキーワードにした音楽の推進活動をしています。主に福祉施設や地域イベント等に、音楽ボランティアやアーティストを派遣したり、ミュージックサロン事業、障害のある方と共に音楽を楽しむイベント「スマイルミュージックフェスティバル」等に、音楽を通して社会課題の解決に向けた企画も行っています。平成23年度からは、京都市岡崎いきいき市民活動センターの指定管理を受け、音楽による市民活動の推進を目指して取り組んでいます。
もともとバンド活動をされながら、音楽のお仕事をされていたそうですね。
子どもの頃はピアノの先生になりたいという夢を持っていましたが、高校生のときに、友人たちとバンドを始めたことがきっかけで演奏活動を始めました。就職も、演奏活動をメインにしたいと考えていましたし、正社員に就いてしまうとツアーに出られなくなるので、楽器メーカーの契約社員として、営業や販売サポートの仕事を17年間務めました。

バンド活動は今もずっと同じメンバーで続けていて、年に5~6回ライブハウスを中心に活動しています。最初はメジャーで活躍したいと考えていた時期もありましたが、だんだん現実的なことも分かってきたり、女子が多いので結婚したりで、今は音楽との良い関係を楽しみながら続けています。
NPO法人を立ち上げられたきっかけは?
楽器メーカーで働いていた頃、音楽業界全体の元気がなくなり始め、楽器店が倒産したり、実力のある優秀な先生でも、なかなか生徒が集まらず、他の仕事をされている方も少なくありませんでした。

この状況をどうすれば解決できるだろうと自分なりに向き合ってみると、やはり音楽業界自体を見直していかないといけないと感じたんです。

企業の営業活動となると、音楽教室に入会してもらったり、楽器を購入してもらうという、「刈り取る」ことが中心になりますが、もっと音楽に興味のある人を育てるといったことも必要なんじゃないかと考えていました。

そんな時、知人に頼まれ、ある福祉施設で音楽ボランティア活動に参加したんです。そこでは高齢者の方たちが歌う「故郷」などの唱歌の伴奏をしたのですが、何とも言えない温かい時間を経験しました。

まだまだ音楽を必要としている場所がある。やはり直に人と触れ合うことは大切なんだと感じたんです。こうした、種をまいて育てていくということが営利活動で難しいのなら、非営利活動で草の根活動的に動いていく必要があると思い、思い切って地元の仲間と一緒にNPOを立ち上げることにしました。
NPO法人運営の難しさとは?
設立時はNPO法が1998年に施行されて5年目、当時NPOはすごく可能性のある活動だと言われ、行政との協働事業や、あらゆる主体と連携した委託事業ができるという期待感がありました。また、助成金や寄付金も見込めると、皆そういうイメージを持っていたと思います。

でも、思うほど委託事業や協働事業があるわけでもなく、「行政は何もしてくれない」「あれだけ騒いで何やったんや」など、周りからの不満の声も多くなってきて、もう継続は難しいんじゃないかと、何度も思いました。 でも私は、それほど信頼できる組織基盤なのかどうかと考えると、やっぱりサークル活動の延長のような組織が、うちの会も含めて多いのではないだろうか。これで相手と対等な立場で協働事業ができるかというと疑問を持っていたんです。

それにはもっとNPOが強くならなければいけないと思い、助成金だけじゃなく、行政や企業の委託事業、その他さまざまな主体との連携事業ができる組織へとステップアップするために、指定管理の事業を受けてみようと考えたんです。

指定管理というのは、行政の施設管理を民間委託するものですが、2003年の指定管理者制度の改正により、NPOも参画できるようになったことを機にチャレンジし、京都市の市民活動センターの指定管理を取ることができました。

指定管理を取ると、市から施設管理のための人件費が出ますから、常勤スタッフ3名確保しました。そこでの労務管理、公金処理等、細かい事務処理の経験を生かして、NPO本体の事務局体制の整備を行いました。5年経過した今では組織基盤強化も進み、安定的に委託事業や協働事業に取り組めるようになりました。

NPOの運営が難しいのは、活動自体はボランティアでも、組織を運営するために必要な最低限の経費はかかるということがなかなか理解されにくいところにあります。今は、ボランティアであっても交通費をいただけるケースも増えてきていますし、それは非常に有り難いことなんですが、でもそれだけで運営は出来ません。

運営資金が不足すると人件費が確保できず、事務局スタッフは無償で関わることとなりますから、メンバーが疲弊していく様子にずっと心を痛めてきました。今は毎年の事業計画で工夫をし、少ないスタッフでどう効率よくマネジメントするか等、経営コンサルタントのアドバイスも受け、13年経ったいまでは事務局が安定し、スタッフも有給になりました。
リーダーとして人の気持ちを引っ張っていくコツとは
私はどちらかというと、目立つのが苦手で、端のほうで無口でいたいというタイプなので、いわゆる「夢を語るキラキラリーダー」ではないんです。強烈なリーダー像を求める人からは、「西野さんって何をしたいの?」と言われたこともありますし、反発を受けたこともあります。でも本当に真摯に向き合って動いているので、行動で伝えていくしかないので、こういう代表がいても良いんじゃないかなと思っています。

今、NPOの正会員は110名ですが、一人ひとり関わり方が違います。年に1度程度活動に参加する方から、毎週参加する方、運営の方にも積極的に関わろうとしてくれる方など、その方の興味によっていろいろです。こうした会員さんに接しながら、こういう面で発揮してくれるんじゃないかと常に遠くから見ています。出会ってすぐにこちらの一方的な思いを伝えて負担をかけてしまうことにつながると、結局長続きしないし、信頼関係が深まったタイミングを見計らって、「今!」というときにぐっと接近して核になってもらうという、凡そ10年くらいのスパンで考えています。
これからの展開は?
設立当初からの夢ですが、地域のみなさんがいつでも音楽活動ができる場、NPOとしての活動拠点を確保することです。今、指定管理をしている市民活動センターも、市民の税金で運営されている京都市のものなので、そこを1つのNPOが自由に使えるものではありません。ただ今ここにいるうちに、市民の皆さんから信頼されるNPOとして組織を強化し、財源を確保し、拠点を確保するまでは私の仕事だと思っています。

ボランティアって収入にならないけど大丈夫?と思われても、楽しすぎて苦にならないですし、私くらいの年齢になると、お金が無くても、充実していることに幸せを感じますが、若い大学生の方たちがその思いに至るにはまだ早いと思うんです。若い人が夢を持って、気軽にNPOの世界に入ってきてもらうためには、やっぱり「安心」は必要になってくる。それには私たちの世代が基盤を作っていかないといけないと考えています。
NPOの仕事に興味を持つ人へアドバイスをいただけますか
安定収入があること、福利厚生面が充実していること、将来的にも安泰であること、美味しいものを食べられる喜び、きれいな洋服を着る喜び、美しい音楽を聴く喜び、何もしない喜び・・・。人にとって、心の安心や生きる励みや喜びは大切で、誰しもが追い求めるものです。

NPOで仕事をすることは、単純に忙しく、その割に高収入は望めず、世間一般の喜びとは少しかけ離れたところにあるかもしれませんが、毎日毎日が達成感と充実した日々、一生懸命生きていることを実感できると思います。誰と比較することなく自分なりの価値観で、意味があると思うことや、楽しいと思えることに、自信を持って踏み出して欲しいと思います。
ありがとうございました。
 
(取材:2015年8月 関西ウーマン編集部) 
 

 

 

 


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