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■関西ウーマンインタビュー(会社経営)


向井 佳子さん(株式会社 Jiku Art Creation 代表取締役)

 
向井 佳子さん(株式会社 Jiku Art Creation 代表取締役)
2008年 Gallery Jiku22 オープン。2013年 ギャラリーとガラス造形作品を制作するスタジオを統合し、2014年、株式会社 Jiku Art Creation設立 代表取締役就任。グラスアーティスト 三浦啓子氏が開発した技法「ロクレール」を受け継ぎ、作家がデザインしたオリジナルアート作品や受注制作を行っている。制作実績は、六本木ヒルズ森タワーオフィス エントランス ロビー、大本山中山寺大願塔、九州国際重粒子線がん治療センター、佐賀県医療センター好生館、和歌山信愛中学校・高等学校、岡山済生会総合病院など。
株式会社 Jiku Art Creation
http://jikuartcreation.jp/
Studio:〒562-0003 大阪府箕面市西小路3丁目2-14 102
営業時間:午前9:00〜午後6:00
休業日:土・日・祝日
Gallery:〒666-0212 兵庫県 川辺郡猪名川町旭ヶ丘1-238
開館時間:午前10:30~午後5:00
休館日:不定休
色とりどりのガラスに、季節ごと、時間ごとに織りなす光の芸術、グラスアート。ステンドガラスとはまた異なり、その厚みが、光と色を豊に表現されます。その美しさに惹かれ、技術を後世に継承していきたいと、ガラス工房の事業を始められた向井さん。ご自身はアーティストでも職人でもありません。鑑賞する側から制作側へ。また、芸術からビジネスへ。その転換に悩むこともあったそうです。事業として新たなチャレンジにも挑む、向井さんの経営者としての想いをお伺いしました。
もともとギャラリーを運営されていたそうですね。
もともとアート関係とか興味がありましたので、主人と2008年にギャラリーを始めました。主人と義父が写真をしていまして、とくに義父はコンテストで1000以上の賞を取るほど熱心でしたから、写真の個展を開いたり、また、いろんな作家さんの絵画や陶器、美術造形などの企画展をしていたんです。
現在のグラスアートに転換されたきっかけは何ですか?
グラスアート「ロクレール」を開発された、グラスアーティストの三浦啓子氏との出会いです。ギャラリーでの展示をきっかけでご縁があったのですが、その作品の芸術性に魅かれました。平面のステンドガラスと異なり、作品にすごく力がある。他にない技法なので、希少性もあり、見る人を惹きつけるものを感じました。

三浦氏はもともとご自身で工房を持っておられて、職人さんを抱えて制作されていましたが、現在80歳を超えるご高齢。やはり年齢的に工房を維持することが難しくなったんです。そこで、うちが制作スタジオを作り、この「ロクレール」の技法を受け継ぐことになりました。今は三浦氏のデザインを元に、弊社の職人が制作しています。
ギャラリー運営から制作事業に。その転換に戸惑いはありましたか?
これまでと全く違うこと、新しいことに飛び込んでしまいましたから、最初は「ちょっと甘かったな」と思いましたね(笑)これまでのギャラリーと作家との関係では無くなってきますから、実際に創るという段階になると、こちらの知識不足もありますし、作家自身もその切り替えが難しかったと思います。

引き継いだ直後はそうでもなかったんですが、3年目くらいからですね。やはり、作家が作りたいというものと、商業ベースにするというのはかなり違います。こちらはいかに発展させていくかと考えていますから、作家の想いと経営の想いとは真反対。そこのすり合わせに壁を感じることも少なくありませんでした。
その壁をどのように乗り越えられましたか?
まだクリアしたわけではありませんが、だいぶふっきれたのは今年くらいからですね。もともと三浦氏の作品の制作を引き継いだという経緯がありますから、やはり作家自身の作りたいものを作ることを重要視しています。なので今は、三浦氏の作品を希望される方のお話をお受けする、という受注を主にしています。

でも反対に、これからの時代には、いろんなニーズに対応できるような「新たなもの」の必要性も感じています。作家の三浦氏が作ってこられた技術や伝統はきちんと引き継ぎながら、それに新たなものを付け加えていかなければいけない。それには自社ブランドとしての作品も増やしていこうと考えています。
新たな作家を育てる必要性もあるのですね。
それはこれからの課題だと考えています。一般の作家やデザイナーは普通、「紙」で描きますが、ガラスになるとまた趣が違ってきますし、同じガラスを扱っていても、平板のステンドガラスと異なり、このグラスアート「ロクレール」には、特殊な厚さや、扱うガラスの特殊な色彩に芸術性がありますから、そうしたガラスの特性を考えた上でデザインしてもらう必要があるんです。

また、紙の絵をガラス作品にするとき、ガラスをどうカットしてどう見せるか。デザイナーの意図をどう組み入れるか。そこに作家やデザイナーと、職人とのすり合わせに難しさがありますし、職人の芸術性や技術も問われてきます。
職人さん仕事というのは、技術の継承が一番問題になると聞きます。
私は経営者なので、事業のしくみを作ったり整えたりすることしかできませんが、今後の展開で、新たに職人を採用する必要も出てきますから、職人から職人へと技術を引き継ぎ、後進を育ててもらうことが必要になります。経営者に必要なのは、どういう人にどう継承するか、こちら(会社)の想いと事業の方向性をいかに同じくできるかということだと考えています。
これからの展望は?
このグラスアートには素晴らしい芸術性がありますから、設置した空間自体に癒されます。そうした芸術性を広く知ってもらいたい。そして、くつろぎややすらぎを与えてくれる空間をもっと増やしたいですね。

それとやはり新たなチャレンジに挑むこと。「三浦啓子ブランド」はこれからも作り続けていきますが、自社ブランドの芸術性を、今後どう開いていけるかというチャレンジですね。

そのためにも、デザインする人たちのネットワークを作りたいと考えているんです。弊社専属デザイナーというだけじゃなく、いろんなデザイナーといろんな作品とのマッチングができるようなネットワーク。それも楽しみの一つです。
向井さんにとって、経営とは?
経営はおもしろいですね。壁にぶち当たって、それを超えようという時は、たしかにしんどいですけれど、先はもっと開けた明るいものを感じますから。いい作品を職人たちが喜んで制作する。それを分かっていただけて購入する方が喜んでくださる。そこに苦労の甲斐があります。
ありがとうございました。
取材:2016年10月
グラスアート「ロクレール」:「輝く光の岩」を意味し、グラスアーティスト 三浦啓子氏が開発した立体的なグラスアート技法。25~30mmの分厚いガラス(ダルグラス)をハンマーで彫刻のように大胆にカットし、エポキシ樹脂で結合させた独自の技法です。

ガラスの輝きとエポキシ樹脂の黒が、光と影をダイナミックに表現し、癒しを与える温かみと、凛としたシャープさがあいまった光となり、季節や一日の光の移り変わりを空間に映し出す、時々刻々と変化する光の芸術を生み出します。
※作品画像及び動画は株式会社JikuArtCreation様のご協力により掲載させていただいています。無断転用を禁じます


 

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