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■関西ウーマンインタビュー(会社経営)


菊川 朱美さん(株式会社アイエス 代表取締役/NeoWoman代表)

菊川 朱美さん
株式会社アイエス 代表取締役/明石コピーサービス株式会社 代表取締役/NeoWoman代表
大阪大学歯学部附属歯科技工士学校卒 小規模事業所の取締役を経て出産。ネットショップ・企画制作を手がける自宅ひとり起業で年商3千万を目前に激務でダウン。休養中、起業塾運営会社の雑誌編集長で関わる中、女性が仕事で伸びる鍵はマインド・メンタルと痛感。心理を学び、事業立ち上げサポート&メンタリングの専門会社を設立。女性が生涯働ける社会の創造をテーマに等身大の「てのひら起業」を提唱・支援
株式会社アイエス(事業立上げサポート・メンタリング)  http://ayes.co.jp/
〒651-0087 神戸市中央区御幸通8-1-6 神戸国際会館22F
明石コピーサービス株式会社(事務局運営代行・DM発送・各種製本・コピー)
〒673-0886 兵庫県明石市東仲ノ町3-41 TEL:078-914-1414 http://www.akcopy.co.jp/
一般社団法人ネオウーマン(女性の事業育成・情報発信)
 あなたにもきっとある人生を創るチカラ
1000人×1000種類 ビジネス創造プロジェクト
http://neowoman.net/
ご結婚されたのはいつですか
25歳の時に結婚して、今高校生の息子がいます。結婚する前は姫路で当時のタウン誌の編集会社で働いていましたが、結婚で退職して子どもが生まれるまで、この主人の会社を手伝っていました。その頃は小さな会社でしたから、営業も受付も経理も全部やりましたね。

思い出すのは、社員にボーナスを出した次の日、主人が会社に行くのが怖いなあと言うんです。皆(ボーナスの金額を)どう思っているか不安だったのでしょうね。私はずっとOLをしていたので、経営者ってこういうことを悩むんだ、と驚いたことを覚えています。子どもが生まれてからは、自宅でネットショップの会社を始めたんです。自宅で法人登録して、今から15年くらい前ですから、その頃話題になった「一人起業」SOHOですね。
どんなネットショップだったのですか
ドイツ製のベビーバスです。壷のような形のポリバケツで、赤ちゃんをぽこんと座らせて置いて洗えるんですよ。お母さんも手を離して洗えますし、便利だったんです。私もちょうど子育ての最中でしたし、これは良いと取り扱うことにしたんですが、たまたまテレビに取り上げられたことがきっかけで、1ヶ月に600万円くらいの注文が入ったんです。

それからはもう大変でしたね。小さい子どもを抱えながら、何もかも一人でやっていましたから。お布団で寝たのはいつだったかしらと思うくらい。それでとうとう身体を壊してしまったんです。母にも叱られて、「あなたは少し休むぐらいだと、また無理をするからもう辞めなさい」と。それでそのネットショップを閉じてしまいました。
その時に思いましたね。売上げもあって仕事は伸びていたけれど、一人でやるというのは限界があると。WEB系の仕事だからどんどん勉強しないと技術にもついていけない、24時間戦えますかという状態で男性がガンガンやっている中で、子育てしながら一人では絶対に難しい。

これ以上一人でやれないとなると、スタッフさんにお願いしないといけない、オフィスも借りなくてはいけない、もうどっちかに行くしかないんです。それでやっていくのか、やっていかないのか。退くのは今しかないと思って閉じました。

あの経験は私にとってやはり大きかったと今は思います。だからこそ思うんです。今ママ起業が流行っていますが、女性はやっぱり一人じゃなくて、皆に手伝ってもらわないと、しんどいし破滅してしまう。それに、今すぐやりたいことができるかというと、能力不足だったり情報不足だったり、環境が整っていないこともあります。

なので10年20年と長い目で見て、いずれは絶対ちゃんと会社にして、スタッフさんがいるような小規模の事業を目指そうねと。そのために今はこうすると計画を立てることができれば良いですね。これは私が失敗してきたことですが(笑)
「好きなことをしたい」という気持ちだけでは続かないですものね
1人はやはりリスクがあります。離婚される人もいますし、ご主人がリストラされることも、病気になって働けなくなる人もいる。日本で1年間の自殺者が3万人、1日100人と言われていますが、そのほとんどが働き盛りの方だそうです。奥さんに収入があれば、大丈夫よとご主人に言ってあげられますし、何にしても収入は必要です。やっぱり女性もちゃんと経済力を持ちましょうという想いはありますね。
その想いがあって『NeoWoman』を設立されたのですね
ネットショップを閉じた後、3年位休もうと思っていたんですが、ある女性起業塾のようなサービスをしている会社が、女性起業家応援マガジンという雑誌を出していて、編集会社時代の先輩から「行ってみない?」と誘われたんです。当時その会社は起業講座やセミナーを開催していたので、そこで「自分で何かしたい」という女性にたくさん出会いました。

しばらくしてその会社はなくなってしまったので、じゃあ、自分でやってみようかなと思ったのが最初ですね。女性は心理的な面が一番大きいですから、メンタリングと事業の立ち上げサポートの会社、株式会社アイエスを立ち上げ、そこからNeoWomanを立ち上げました。
『NeoWoman』の本、「想いびと」は、設立後すぐに出版されました
NeoWomanを立ち上げた時、まず本を作ろうと思ったんです。それには2つあって、ひとつは、事業を立ち上げて情報発信したくても、個人事業ではなかなか広告宣伝費用が出せないこと。もうひとつは、あまり偉そうなことを言ってはいけないですが、事業をしていくという感覚が非常に低い人が多いことです。

「こんなに私は頑張っているのに」と仰るけれど、いやいやそれは事業をやっていくレベルの「頑張る」とは言えないですよと。それで、ある程度の形になっている人たちをロールモデルとして、彼女たちの人生ストーリーを本にしてみよう、世の中で言われているようなキラキラじゃなくて、それなりに結構いろいろやってきているのよ、という先輩たちを見てもらって、私も本気でやってみようと思っていただければと考えたんです。

ロールモデルの方たちのスタイルもいろいろなので、「これしかない」じゃなくて、こんなやり方もやってみよう、これなら私もできるかなと、思っていただきたいですね。ちょうど経営者が本を出すのが流行っていたけれど、聞くと300万円とかかかっているのを聞いて、それならもっと気軽に使ってもらえる形にと、自分でアイエス出版を作ってしまいました(笑)
『NeoWoman』を立ち上げてから、大変なことがありましたね。
自分の会社やNeoWomanだけでやっていくつもりでしたが、思いがけず主人が亡くなったのが平成24年の4月。それまで普通にしていましたが、本人がガンの末期と告げられていたようで…。しばらくは私にも言わずに過ごしていて・・・、結果的には私が主人に聞いたのが3月ですから、亡くなるまで2ヶ月もありませんでした。

あれよあれよと悪くなっていくので、会社のことなど聞けないんですよね。うちはゼネコン関係や役所の仕事が多いので、3月4月は年度替りで一番忙しい時なんです。年間の仕事の三分の一が3月4月に入ってきますので、いきなり主人が休むようになった後は、スタッフが夜中まで仕事をしてくれていて、それこそ、トイレに行く時間も無かったようです。
その後、いつ会社に戻られたのですか
もう記憶が定かでないのですが、確か金曜日にお葬式をして、日曜日に初七日、あけた翌日の月曜日には会社に出ていたと思います。止まったらもうおしまいと思っていましたから。小さな会社なので全体のことは主人しかわかりませんでしたから、それこそ銀行口座はどこ?という状態で、誰も何もわからない。皆で整理しながら探しながら照らし合わせていました。もう本当に大変でした。。
よく乗り越えられましたね。会社を閉じようとは考えませんでしたか
もう辞めようが無いですね。スタッフも家族がありますし、ずっと遅くまで大変な思いで仕事をしてくれていましたから。一旦家に帰ってごはんを作って、また会社に来て仕事していたり。とにかく早く彼女たちを楽にしてあげたい一念でした。人間って自分のためには絶対がんばれませんよね。不思議だなと思います。
それから2年。その間はどのように会社を運営されてきましたか
ゼネコン業界は男性社会なので、社長が亡くなって奥さんが継いだというだけでは通用しないですから、売上げは3割は下がるだろうと最初から覚悟していました。1年目は社内を整えるのに必死で、2年目に低い状態での安定を目指しました。

もともとゼネコン関係の大きな設計図のコピーを請け負う仕事で、昔は大きなコピー機は何千万もしましたから、持っていない会社も多く、コピー屋と呼ばれる会社に出していたんですね。なのでゼネコン会社も決まっていますし、役所もですが、一度おつきあいが始まるとずっと仕事が続いてきたんです。

でもそうやって営業していないがゆえに、コピー機も安くなってきて、自社で持つ会社も増え、デジタルデータに変わって行き、また不況で営業しても難しいところもあって、今はもうほとんどが廃業されています。明石にも何件がありましたが、もううちだけになりました。コピーだけではもう先が見えているので、新たな仕事、新規事業の事務局代行や、運営代行の仕事も増やしていこうとしています。
今後の展開をどのよう考えておられますか
スタッフ一人一事業を持つ。社内起業を次々と作っていきたいと思っています。お子さんがいて、ちょっとパートで働いてみようと入っていただく方にも、子どもが熱を出したら休もうね、とにかく続けてやっていこうねと言っています。子どもが大きくなるに従って、ちょっとやってみようかなとなれば、一事業を担当してもらう。そこで売上げが上がってお給料を増やしてもらって、またその事業が大きくなれば、社内の事業部として5人くらいのチームを作っていく。

そうして子どもを育てながら働く環境を次々と増やしていくことが目標です。一人でやろうとすると大変だけど、こうした母体があれば、周りがフォローできますから。全員給料を30万取ろうねと言っているんです。30万あれば、ご主人がリストラに遭おうが、病気になろうが、自分が生活をみれるという自信がつきますから。
スタッフの方々は皆さん、菊川さんの参謀ですね。
そうなんです。何もわからない私をよく受け入れてくれたと思います。それも実は、主人が残してくれた宝物なんだと思いますね。ずっと女性をテーマに活動しようとしていたことを、この会社でやろうとしていますから。

どの方を見ていても思いますが、本人はいろんなことを考えているんだけど、そこを超えた、その人のやっていく「道」に、なぜか行くんだなということを感じますね。
『NeoWoman』は今年(2014年)一般社団法人にされるそうですね。
今年でNeoWomanも5年目になります。法人にするのは立ち上げ当初から考えていたんですが、利益を出す株式会社ではなく、やはり社会的事業なので、一般社団法人にすることにしました。 「想いびと」も今年5冊目になり、年1回開催するフォーラム、隔月に行うシードカレッジも展開しています。

今、自分のスタイルで事業を営んでいる女性たちの情報を発信する「1000人のロールモデルを作ろう」を始めています。1000のビジネスをつくることをコンセプトに、これから事業を始めたい人や、事業を発展させたい方に、ロールモデルになっていただこうと、1年間チャレンジしていただくことも考えています。
最後に、読者女性へメッセージをお願いします。
不思議と人って、その人が生きている役割というところに落ち着くんだと思います。自分が良くなることとは違うかもしれないけれど、それが一番幸せなのかなと思うんです。

命の使い方というのかな。自分に与えられた場所で、自分に与えられた仕事をしていれば、必ずそれは周りの役に立てたり、自分が活きてくる。そういう大きな目で考えることが大切だと思います。
菊川さん、ありがとうございました。
 
(取材:2014年6月 関西ウーマン編集部) 
 

 

 

 


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