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■関西ウーマンインタビュー(女性経営者編)


長谷川 素美さん(株式会社メディカ出版 代表取締役)

長谷川 素美さん 株式会社メディカ出版 代表取締役
株式会社メディカ出版  http://www.medica.co.jp
〒532-8588 大阪市淀川区宮原3-4-30 ニッセイ新大阪ビル16F
御社は1977年に創業されて38年。ご主人の跡を継がれてから14年になるそうですね。
もともと前社長は東京で広告の会社をしておりましたが、あるドクターと知り合いになりましてね。そのドクターから、当時日本に入ってきたばかりのラマーズ法を、全国的に啓蒙・普及したいので、手助けして欲しいとお声がけいただいたことがそもそもの発端です。ラマーズメソッドの啓蒙普及活動として、全国60会場で講演会を開催するお手伝いをしていました。たくさんの熱心な先生がたのご紹介、またご紹介で、いろんな輪が広がっていきましたし、どの会場も熱心な先生方や助産師さんたちがたくさんお越しになりました。

京都会場は特に人気で、北陸から山陰、九州からもたくさん来られていましたが、ある時お年を召した助産師さんがいらして、「私はもともと従軍看護婦でしたが、今は産科にまわされてしまって勉強しないとついていけません」と、ひたすら必死で学んでおられるんです。もうその姿その姿勢に大感動し、本当に素晴らしい職業集団だと思いました。私はこの人たちの支えになりたい。応援する役回りになりたいと心に誓い、今があるのです。
当時の助産師さんたちには学ぶ場所が無かったのですか?
学ぶことに飢えていた時代だったと思います。当時大学での看護教育は、まだ聖路加看護大学や千葉大学、高知女子大学の3校くらいしかありませんでした。ところが時38年を経ますと、今や大学のほぼ三分の一、約280校が看護学部を設置する時代になってまいりましたから、様変わりしましたね。後にセミナーだけでは安定しないということもあり、周産期専門誌「ペリネイタルケア」という雑誌を創刊いたしました。それからずっと専門雑誌に特化して、今やナース助産師向けで18誌、ドクター向けが3誌、管理栄養士向けが1誌に加え、今年創刊した介護領域雑誌「医療と介護Next」という専門領域の出版社となっています。
なぜ専門誌だったのですか?
医療系出版社は東京には山ほどありますから、総合雑誌は既にありました。その頃アメリカやヨーロッパの病院、それこそフランスのラマーズ博士の病院や水中出産の病院などを見学して回り、恐らく四半世紀くらい遅れて、日本もこういう時代になってくるだろうと考え、専門雑誌に特化することにしました。「ニッチだけ狙っている」と揶揄されることもありましたが、とんでもない、先見性があると言ってもらいたいと思っていました。
社長は任天堂DSで心電図を学ぶという、素晴らしいイノベーションを起こされました。
私は毎朝NHK7時のニュースを見ているのですが、ある日、任天堂のDSで英語を学ぶ中学生の学習効果が上がったというシーンを見たんです。心電図というのはなかなか判読しにくいようで、当社の編集者たちも本当に心尽くして、分かりやすく見やすくしようとあれこれ工夫を重ねていますが、それでも分かりにくいんでしょうね。

何度も同じようなセミナーにお越しになりますし、月刊の特集にしても増刊号の特集にしても、出せば出すほど売れるんです。でも完璧に分からせてあげられないものを、出し続けていいんだろうかという不実さも感じていて、どうしてもこの心電図をナースたちに読めるようにしてあげたい、というのが長年の悲願でした。

学習は繰り返しが必要ですから、ゲーム機であっても何でもいい、分かりさえすれば自信もつきますし、職業に対するプライドにもなっていくだろうと思い、「これだ!」と思ったんです。「らくらく心電図トレーニングDS」
開発にはいろんなご苦労があったそうですが。
当時は大人もソフトを使い始めた頃で、「脳トレ」が大流行していましたから、うちのような小さな会社が案件を持っていっても、なかなかすぐには難しかったんです。心電図をゲームで学ばせるなんてもってのほかだという意見もありましたが、私はもうこれしかない、皆を助けてあげたい一心でこのDSソフトに投資すると決めました。

いざ発売されると瞬く間にランキング1位になりましたが、1週間もたたないうちに中国で海賊版が出てきたんです。売れないものの海賊版は出ませんから、そこでようやく任天堂さんに少しは見直していただけたんじゃないかと思います。
若い世代に受けたんですね。
ナースだけでなく、医学生や臨床の若いドクターもお買い求めになったと思います。DSは通信料も要りませんし、活字では分からなかった動きが動画で分かる。バッグに入れて夜勤の休憩時間でも通勤時間でも使えますから、その便利さも受けたんでしょうね。全7シリーズ出して総計21万本売れましたから、うちとしては大ベストセラーです。このDSソフトの成功は、ITとデジタルに強い、新しい出版社を目指していこうという決断の時だったのかもしれません。
さらにイノベーションは続いていくのですね。
DSソフトの成功で得た収益を、こんどはデジタル看護教科書にドンとつぎ込みました。医療の進化は日進月歩どころでは無い速さですから、紙の教科書が一番遅い。しかも独占市場なのでなかなか進化していきません。やはり競争があるからこそクオリティもアップしますし、コストダウンも図れて、その受益は学生さんたちが受けるべきなんです。

私はこれまで臨床分野1本槍でしたので、基礎教育のところはあまり感知していませんでした。でも看護師の離職率が12%という数字を見て思ったのが、一人の看護師を教育するに当たり、国家試験ですから私たちの過酷な国税が投入されている。せっかく取得した資格を活かして人生を生きていただかないと、それは国家財政の無駄使いになる。これはやはり教育は基礎教育から関わらないとだめだと思ったんです。そこで既存の教科書の中で、私たちはどこに参入できるかと考えると、「カラー」と「電子化」だったんです。
デジタル看護教科書とはどんな商品ですか?
「デジタル ナーシング・グラフィカ」という、看護基礎教育界初 iPad 専用デジタル看護教科書です。全41巻(約30kg)、1万ページ以上が全てiPad に入っていて、約240点の動画と3,000 問以上の問題集、2万語の医学辞書を収載しています。

場所、時間を問わず学習できますし、卒業後、臨床に行かれても、バージョンアップすればナースの人生と共に持っていただけます。これには2つの特許を取得していますので「世界初」と謳える教科書です。3年前から特許申請と共に売り出して、認められたのが昨年8月。すでに400校が採用してくださっています。
(特許第5587357号、第5596068号)
医療の世界は一般の企業と違い、雇用や評価の制度にもアンタッチャブルな部分が多いと伺います。やはりナースの離職率の高さもそれを反映しているのでしょうか。
厳しい言い方かもしれませんが、医学部教授は臨床・教育・研究と、三本柱を担われています。ドクターたちから比べると、ナースたちはもう少し励まれる必要があると思います。ただ、「看護師」と同じ総称でも、あまりにも上と下のばらつきがあるので、そこが難しいところでしょうね。

今多くの大学で看護学部ができてきていますが、年間の授業料が120万円から150万円、それを4年間負担できるようなクラスのお嬢様やご子息が入ってこられます。片や、看護専修学校は年間15万円くらいからですが、同じ「看護師」です。なのでやはりいろんな心理がうごめくでしょうね。嫉妬心も芽生えるでしょうし、優秀すぎれば優秀すぎるほど居づらくなってきましょうし。
その中でもキャリアアップするために、学ぶのは自分自身だと。
そうです。自分への投資ですから、それこそ当社の専門誌を読んで進み方を考えていただきたいと思いますね。私は「学ぶ職業集団」しか社会の尊敬を得られないということを、各専門誌を通じて発信しているつもりです。

ドクターも努力していらっしゃるのだから、ナースが医療界のナンバー2になるために、頑張って学び続けていきましょうと伝えています。私としても、学ぶことに一生懸命な助産師さんたちとたくさん出会えたことが、このキャリアウーマンとしての幸運な道を歩めた一つの原点だと思っていますから、なおのこと彼女たちをラクにしてあげたい。過酷な業務から解き放ってあげたい。そしてラクラク楽しく学んでもらいたいと思っています。
今後のどのような展望を考えておられますか?
現在187名の社員がいますので、わくわくWorkwork、どうすれば生き生きと、がむしゃらに働いてもらえるかが大きなメインテーマです。これからの日本は超高齢少子化社会になり、市場は間違いなく収縮していきます。今いくら産めよ増やせよと言ったところで、少なくとも20年はかかりますから、この20年間を生き抜くためには、「最大でなくとも最良たれ」。みんなで幸せや豊かさを分かち合えるよう、小さくとも尊敬されるような会社を目指すことが私の大きな経営方針です。
長谷川社長と同じく事業継承という形で経営者になられる女性も多いかと思います。
私はずっと「何も専務」でしたが、二人で二人三脚でやってきましたので、事業承継となると引き受けざるを得ませんよね。良い形でバトンを渡されればいいですけど、当時は負債もありましたから、どこかの会社に売りたくても、借金が多ければ誰も買ってくれません。やはり「入るを量りて出ずるを制す」。家計も企業の経営もゼロの数が違うだけ。資金繰りに尽きると思います。

バトンを渡された奥様も、生命保険がそこそこ入れば、借財を払って手元にいくらか残ればそれで良いという選択をなさる方もおられましょうけれど、経営者となると、「All or Nothing」。成功すれば全てが手に入りますが、失敗すれば全てを失います。日本の社会は身ぐるみ剥がさないと許してくれないというような、狭量で薄情なところがありますから、そこを潜り抜けられるような胆力が無いと難しい。でもこの道を選ぶなら、ブレずにまっしぐら。「GIRLS, be ambitious!」覚悟しかないと思います。
ありがとうございました。
(取材:2014年12月 関西ウーマン編集部) 
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