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■関西マスコミ・広報女史インタビュー


寺尾 佳恵さん(朝日新聞社 社会部記者)

 
 
寺尾 佳恵さん(朝日新聞社 社会部記者)
東京都出身。慶応義塾大学法学部政治学科卒業。2011年、朝日新聞社入社。静岡総局、山口総局を経て、16年5月から大阪社会部勤務。
朝日新聞社:大阪市北区中之島2-3-18 http://www.asahi.com/shimbun/
朝日新聞デジタル:http://www.asahi.com/
社会部記者というお仕事について教えてください。
日々のニュースを取材し、記事を書くのが主な仕事です。2016年5月に大阪に異動し、現在は社会部に所属しています。大阪市の北側のエリアを担当し、事件・事故などの警察取材とまちの話題などの取材をしています。静岡、山口での5年間は、警察、司法、行政、選挙、高校野球などのスポーツ、吹奏楽・合唱などの音楽と様々な分野を担当させてもらいました。

内容のやわらかいものから堅いものまで、地方は記者人数もそんなに多くありませんので、オールマイティに取り組みました。大きな事件などでは、社会部全体で取り組むといったこともあります。
多岐にわたる取材では、多くの知識が必要になるかと思います。
学校で学んできたこと以上に、日々勉強が必要だと感じています。たとえば、警察取材の場合、被疑者が逮捕されてから48時間以内は警察の取り調べがあり、その後24時間以内は検察の取り調べがある…など。行政取材では、どうやって議会が行われていくのかなど、働き始めてから学んだことも多いです。
細かな知識は先輩や上司から教えてもらうのでしょうか。
教えてもらうこともありますが、多くは現場で覚えていきます。事前にインターネットや本で調べたり、現場に足を運んで見聞きしたり、その情報に詳しい方にお話を伺うこともありますね。専門知識の必要な取材の場合、時に頓珍漢なことを聞き、怒られてしまったこともありました。取材相手の方に教えていただきながら学んできたこともたくさんあると感じています。
新聞記者というと24時間仕事というイメージですが、実際はいかがですか。
その日によって違いますね。基本的は警察担当として、夕刊ができるまでは事件や事故が起きたときにすぐに取材ができる態勢でいます。その後はまちの話題の取材に出かけることが多いです。大きな事件が起こったときは、時間に関係なく取材に臨んでいます。
頭の切り換えが大変ではないですか。
同時並行で複数の原稿を書いていることもありますが、意識して頭を切り替えるということはしていません。その原稿に向かうと、自然と頭が切り替わっているようです。
お仕事の中で、どんなことに力を入れていますか。
自分がどう生きているかが出てしまう仕事なので、真摯に向き合うようにしています。準備不足はすぐに出てしまいますしね。特に意識しているのは次のようなことです。
・人や物事に真摯に、誠実に向き合うこと。
・人との出会いに感謝し、大切にすること。
・お話しして下さった方の想いをきちんと受け止め、きちんと伝えること。

自分自身が丸ごと問われる仕事だと思います。ときには話したくないことを話してもらわなければいけないこともあります。相手の貴重なお時間を使ってお話いただいていることを忘れずに、「寺尾にだったら話してもいい」そう思ってもらえるような人になりたいですね。
この仕事の醍醐味はなんでしょう。
様々な場所に出かけ、多くの人に会えること。そしてそれを伝えられることです。僻地医療の取材に行ったとき、患者として病院を訪れたひとりのおじいさんにお話を伺う機会がありました。病院を訪れた理由などを聞いているうちにだんだん話が広がり、県内最後のマグロはえ縄漁船の漁師で、後継者だった息子さんを事故で亡くされたことも話してくださいました。

その時に医療の話だけではなく、この方のお話も、きちんと聞かせていただいたので、後日息子さんと漁船への思いを伝える別の記事につながったのです。まさに、取材を通して、その人の人生に関わる仕事だと感じています。
手話での取材もこなされているそうですね。
ろう者の方と話したいという思いで大学時代に手話を覚え始めました。今では、日常会話程度はできるようになり、ろう者の方にお話を伺う時に役立っています。通訳の方がいないときも手話で質問したりできるので、私自身の強味になっています。
なぜ記者というお仕事を選ばれましたか。
きっかけは小学6年生の時から所属していた子どものメディア団体「チルドレンズ・エクスプレス」での活動でした。新聞に募集記事があったのを両親が見つけてきたのですが、団体に参加して、いろいろな場所へ行き、さまざまな人に会う楽しさを知りました。

その後、大学時代に、中小企業の社長さんのインタビュー記事をまとめるアルバイトを通して、世の中には自分の知らなかった多くの仕事があることに気づいたんです。いろいろな会社があり、様々な仕事をしている人がいることを知り、人に話を聞くおもしろみを覚えました。

しかし、あるとき、父に「記者になるには好奇心が足りない」と言われ悩むことになります。ところが、就職活動の時に母から、「小学校の卒業式に壇上で『ジャーナリストになる』といっていた」と指摘されたのです。私自身はすっかり忘れていたのですが(笑)。そこで、「マスコミを受けずに後悔するくらいならダメ元で記者職を受けてみよう」と原点に戻りました。
これまでにどんな「壁」を経験されましたか。
仕事を始めてからは壁だらけです(笑)。これまでの人生でほとんど出会うことのなかった事件や事故を追う日々の中、友達が誰もいない初めての土地での生活には苦労しました。今年の夏も関わった高校野球も、入社1年目はルールを知らず、スコアの付け方もわからずといった状態でしたから(笑)。

苦手なマラソンに挑戦した体当たりルポも、最初は嫌で嫌で…(笑)。それでもやるからには、読者の方にも興味を持ってもらえるような記事を書き、自分自身も完走したいと夜中に練習したこともあります。結果、反響もあり、取材先で「読んでいるよ」と声をかけて頂くこともあり、うれしかったですね。

取材の中で学んだことも多く、「今の経験がいつかどこかで必ず役立つ」「分からないことは分からないと素直に学ぶ姿勢が大切」「苦手なことでも挑戦してみると道が開ける」「置かれた環境で不満ではなく楽しいことを探す」など、人生のすべてに無駄はないと感じますね。出会いもそうです。取材で出会う人やものもそうです。その時辛くても、その経験が次の取材で役に立っていますから。
自分時間はどう過ごされていますか。
日々のどんな経験も仕事につながるという意味では、仕事とプライベートの区別がない、境目がない仕事だと思います。一日の大半を仕事に費やしているかもしれません。休日は家から一歩も出ずに過ごすこともあれば、外に出てその土地でしか行けない場所、会えない人に会うこともあります。

山口ではよくダイビングをしたり、秋芳洞近くのお気に入りの池に出かけたりしました。大阪に来てからはZUMBAに行ったり、手話サークルに出かけたりして気分転換しています。何をするかよりも、気持ちのオンオフを意識しているような気がします。

人にも、ものにも好奇心がないといけない仕事ですので、いろいろな人に会って、アンテナを常に立てて、何にでも興味関心を持っていた方がいいと思っています。
今後の目標や書きたいと思うものはありますか。
どんな人でも生きやすい社会を作っていくことにつながる記事を書いていきたいと思っているんです。病気や障がいの有無、LGBTなど、色々な人がいる社会です。人と違うことはあたりまえで、人と違うことが生きにくい社会ではなく、みんなが生きやすい社会になればいいな…と思っています。
記者を目指したいと考える読者女性へメッセージをお願いします。
記者の仕事は「究極の自由と究極の束縛」だと思います。きちんと記事を書いていればどう過ごしていてもあまりとがめられることはありませんが、逆に何かが起きれば24時間365日呼び出される仕事です。

また、あまり仕事とプライベートの境目がない仕事でもあります。仕事として始めたことがいつの間にか趣味になっていたり、自分の興味関心のあることが仕事につながったりします。(例えば私の場合、全く分からない野球の連載をしなければならず、興味のあった「音」をテーマに記事を書きました。趣味のダイビングに行って海底清掃の記事を書いたこともあります)。

楽しいことばかりではありませんが、どんなことにも興味を持ち、どんな状況もおもしろいと思える心があれば、とても楽しくやりがいのある仕事だと思います。
ありがとうございました。
取材:2016年8月
人々が暮らしていく中で日々起こる事件や事故の現場には、寺尾さんのような社会部の記者さんが自身の時間をフルに使って動いてくださり、その詳細な情報を私たちに伝えてくれているのだなと、あらためて感じました。

情報がなければ、次の一歩の判断に迷うようなこともあります。知らなかったひとやものにスポットが当たるのも、記者さんの取材の嗅覚に関わっているのだと感じた取材でした。ふだん取材する側の方にお話をお聞きするわけで、私自身の資質も問われ、大変ためになる取材でした。いや〜、勉強になりました。寺尾さん、ありがとうございました。
取材:なかむらのり子
S plus+h(スプラッシュ) 代表
フリーコーディネーター/コピーライター/プランナー
マスコミ・出版メディアへの取材も多く、インタビューする方の人生にスポットを当てる取材を心がけている。舞台芸術、教育、医療、地域活性に関する取材など、そのフィールドは広い。 

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