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■関西マスコミ・広報女史インタビュー


香川 真弓さん​(オリックス野球クラブ株式会社 広報部)

香川 真弓さん​  (オリックス野球クラブ株式会社 広報部)
兵庫県出身。大学時代は野球部のマネージャーとして活動。卒業後、アルバイトとして、プロ野球球団のスコアボード操作やアナウンスに関わる。そのことをきっかけに、球団での仕事に関わるようになる。現在、「オリックス・バファローズ」球団広報部での紅一点として、事務職を中心に女性目線を生かした広報活動を行っている。
オリックス・バファローズ オフィシャルサイト http://www.buffaloes.co.jp
〒550-0023 大阪市西区千代崎3-北2-30
球団広報部での香川さんの仕事内容を教えてください。
女性広報、しかもプロ野球球団と聞くと、仕事をバリバリこなされる方をイメージされるかもしれませんが、私の場合、そこからはだいぶ遠いです(笑)。具体的な仕事は、一般紙5紙・スポーツ紙5紙・雑誌のクリッピング、テレビニュースなどの録画編集、リリース原稿(イベント案内、トレード・選手獲得等)の作成・配信、試合開催時のプレス配布資料作成、マスコミや選手の出身地・出身校からの依頼の取りまとめ、ギャラの請求・入金管理、ファンレターの配布準備など、主にデスクワークです。

また、小学生の記者体験の案内、会見場所の設営、人手が足らない時には取材対応などの現場周りなどの業務も行います。さらに、キャンプ期間中は、紅白戦や練習試合のアナウンスもさせていただくこともあります。
この仕事に興味を持たれたきっかけは?
父親が当時の阪急ブレーブスファンだったので、子どもの頃はよく球場に連れて行ってもらっていました。阪急ブレーブスのマスコット「ブレービー」を見て子ども心に感動して、野球を身近に感じた経験が、プロ野球を好きになったきっかけになったんでしょうね。 シーズンになると毎日、家でプロ野球を見るようになっていました。

女子校だったので、高校野球に関わることは叶いませんでしたが、大学時代には、野球部のマネージャーになり、卒業後もプロ野球に携わった仕事がしたいと考えていました。 たまたま、大学時代の友人が試合運営スタッフとしてスコアボード操作のアルバイトをしていて、大学を卒業後の冬に半年間留学を予定していた私は、運よくそこに入り、オリックスや中継関係のスタッフと親しくさせていただくことで、野球に携わる仕事について(一部ではありますが)知ることができ、興味を膨らませていました。
スコアボード操作という仕事があるのですね。
審判を見て、B(ボール)S(ストライク)O(アウト)をスコアボードに点滅させる操作盤のスイッチを操作していくのですが、審判をよく見て判断しなければならず、当時のグリーンスタジアム神戸では、キャッチャーの後方にある操作室に入り、審判さんの癖やタイミングを見極める日々でした。とにかく現場の仕事をしたいと思っていたので、緊張感はありますが、楽しい仕事でしたね。
仕事の中でどんなことに力を入れていますか?
仕事を頼まれると覚えているうちにできるだけ早く、優先して対応するように心がけています。依頼された方も催促はしたくないでしょうし、何より依頼されたことを忘れてしまうことは、その人との信頼関係を失うことになりかねませんから。
球団広報の醍醐味はなんでしょう?
日本プロ野球は80年の歴史があり、その歴史を現場で見聞きできるということでしょうか。その歴史を作りあげていく選手たちの生の声を聞くこともそうかもしれません。2014年、バファローズはCS(クライマックスシリーズ)に出場しました。残念ながらファイナルステージには出られなかったのですが、負けてしまった一進一退の最終戦で、スタンドとグラウンドとの一体感には鳥肌が立ちました。
バックヤードにいるからならではですね。
それぞれの選手にそれぞれの思いがあるので、一緒になって勝敗に一喜一憂し、その時によってお母さん目線だったり、お姉さん目線だったり、家族同様に感じていますね。スコアボード操作をしていたブルーウエーブ時代の優勝時には、こっそり「ビールかけ」ものぞきに行きました(笑)。そんなふうに、すぐそばで現場を感じられるのが醍醐味でしょうね。

また、キャンプへも一緒に行き、現地での対応を担うのも広報の仕事です。選手の積み重ねてきた練習の量や努力があり、キャンプ、開幕となる中で、試合での活躍に一喜一憂するのは仕事を超えたものがありますね。
これまで「壁」を感じたことはありましたか?
試合直前のベンチ裏での張り詰めた緊張感や、グラウンド周辺には「聖域」に近いものを感じます。野球に限らず、スポーツ選手には調子が良いときもあれば悪いときもありますが、野球の経験も無く、女性でもある私には、選手の気持ちを察することはできません。

広報部には「元プレイヤー」だった男性スタッフも多いので、「一を聞いて十を知る」や、「あうんの呼吸」で、そうした選手の気持ちを察することのできる彼らを見ていると、尊敬と同時に、自分の職場が「男性の職場」として意識してしまうことがあります。そこも私が「聖域」と感じる理由のひとつかもしれません。

そうした環境の中に、女性として広報部に配属された時はプレッシャーもありましたが、「聖域」を尊重しつつ、それを「壁」として無理に乗り越えようとするのではなく、周りと調和しながら仕事をしていきたいと思っています。

また、「オリ姫」と呼ばれるバファローズの女性ファンもここ数年話題になっています。「オリ姫」のみなさんにもっとバファローズを好きになっていただくためにも、女性だからこその目線を大切にして仕事に取り組んでいきたいですね。
「自分の時間」をどのように使っていますか?
兵庫県からの通勤に片道1時間45分ほどかかるので、平日に自分の時間を取るのは難しいです。しかし会社には「長期休暇取得制度」があり、1年のうち1週間ほどの長期休暇を取るよう推奨していただいています。その制度を利用し、旅行することでリフレッシュしています。
この仕事を目指したいと考える読者女性へメッセージをお願いします。
一般的に球団に就職することは難しいことだと思いますが、野球界という枠なら、大勢の女性が活躍している業界です。自分には何ができるのか、何がしたいのかをしっかりじっくり考えていれば、道は開けるのではないでしょうか。どの業界でも共通することでしょうが、好きなことを仕事にするのですから、長く楽しく続けられるように、自分が働きたい業界・仕事の中身を研究することは大事だと思います
ありがとうございました。
 
事務職なのでお話できるようなものがないのでは…と謙遜しておられた香川さんですが、球団広報の役割をお聞きし、広範囲な仕事内容に、事務職というひと言では語れないお仕事だと知りました。

球団を最前線で伝える広報部にあって、紅一点。その難しさもあると思いますが、それだからこその視点で動く香川さんの仕事ぶりに強い野球愛を感じました。

最近では、女性記者さんも増えてきており、女性ならではの視点でのコミュニケーションなどが必要な場面もあるでしょう。香川さんにしかできない仕事がますます光っていくのではないでしょうか。
(取材:2016年5月)
取材:なかむらのり子
S plus+h(スプラッシュ) 代表
フリーコーディネーター/コピーライター/プランナー
マスコミ・出版メディアへの取材も多く、インタビューする方の人生にスポットを当てる取材を心がけている。舞台芸術、教育、医療、地域活性に関する取材など、そのフィールドは広い。 

 


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