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■関西マスコミ・広報女史インタビュー


山田 眞規子さん(株式会社山本商店 輸入営業本部 広報PR)

山田 眞規子さん​ 株式会社山本商店 輸入営業本部 広報PR
株式会社山本商店
神戸市中央区京町71 山本ビル
http://www.h-yamamoto.co.jp
http://www.caffarel.co.jp(カファレルHP)
現在の具体的なお仕事内容をおしえてください。
明治44年から続く神戸の老舗輸入商社、株式会社山本商店にて広報PR全般を担当しています。各取り扱いブランドのリリース作成、メディアキャラバン、商品撮影、HPディレクションなどが主な仕事で、メディアリレーションに特に力を入れています。また、WEBやSNS、印刷物のディレションなど、セールスプロモーションも担っているので、どのタイミングで何を打つかなども考えていますね。
なぜ広報PRという仕事を選ばれたんでしょうか?
一言でいえば、世の中にある素敵で楽しい事をたくさんの人に広める仕事をしたかったからです。大学卒業後は地元の放送局で3年間アルバイトをしました。職場にはいろいろなところからいろいろな人が集まり、いい意味で刺激を受けたんです。番組では、県内の様々な場所から中継し、県内の知られざる場所や人、ものを紹介していました。その現場に、広報のアシスタントとして同行することも多く、番組を作り伝える現場の空気感がすごく楽しかったんです。
広報の第一歩はこの仕事でしたね。この経験が外資系ホテル広報への仕事につながったのですね。
大阪にある外資系ホテルの広報に就職した時、広報部門の女性マネージャーが上司となりました。面接の時、少しお話ししただけで、「この人みたいになりたい!」「この人についていきたい!」と感じさせる方で、この方から広報のノウハウを学べたことは今の私の財産になっています。
どういう広報ノウハウを学ばれたのですか?
PRとは“情報を売る営業”、外に出ていくらの仕事だと思っています。リリースを持って回る、情報を提供する、情報屋だと思っています。企業の顔だとも意識して動くという、そういう基本的な考えを、学びましたね。

最近では、広告はほとんど出さないのですが、それでも情報は出さないといけないですよね。パブリシティ記事を掲載してもらうためには、記者さん、編集者さんが気にいるか気にいらないかにかかっている部分も大きいです。いろいろなタイミング、バランスを計って、記事掲載につなげられるように気を遣っています。

メディアが集中する東京への出張も多く、雑誌社などへ出向いたりし、本当に足で稼ぐ仕事だと思いますね。一見華やかそうだけど、泥臭いことをやっていくらの世界です。回ったら回っただけ、結果が出やすいのも事実ですしね。

メディアリレーションとは、足で稼ぐこと。人脈がすべてのように感じています。最後はやはり人じゃないですか。用事がなくてもコンスタントに通うことは心がけています。そして、自分の情報を持って行くだけではなく、メディアの方とお話する中で得た最新のトレンドや旬の情報を持ち帰り、自社の商品開発にフィードバックすることも、目的のひとつです。どのエリアがおもしろいのか、何が流行ってきているのかなどの情報収集もしてきます。
広報PRのおもしろさってどういうところにありますか?
最大の目的はメディアに掲載してもらうこと。自分が取って来たパブリシティを「見たよ」と聞くと、うれしいですね。情報が確実に届いたと感じる瞬間です。こんなこともありました。バレンタインデーで、今をときめく某タレントさんが司会の全国ネットのTV情報番組で、ひとつの小さな缶入りチョコレートをご紹介いただいたのですが、放送直後からオンラインショップのサーバーがダウンし、紹介された商品が1カ月くらいソールドアウト状態だったことがありました。これが広報の醍醐味ですよね。広告では絶対に出せない効果です。口コミ効果に近い動きでしたね。ただ、これは運よく番組サイドから依頼いただいた案件だったので、今後はこのような大きな効果の出せるパブリシティを取ることを目標としています。
老舗を感じることはありますか?
当社は明治より創業の輸入食品を中心にした会社で、主にイタリア、スペイン、フランス、ドイツなどのヨーロッパの商品やアジアからの食品も扱っています。

入社した時は、輸入商って未知の業界でした。輸入ってすごく時間がかかって、日本の店頭に並ぶまでに、たくさんの人が関わっているんです。海外からいいものを見つけて、日本へ送り出したとしても、通関や検疫、いろいろな行程で人の手が関わります。何気なく店頭で手に取る商品のひとつにも、外国の製品を日常に中に入れることの難しさを勉強しました。

大手商社だったら、大量に仕入れて、大手の店舗に並べるという感じですが、当社の規模だと、大量仕入れでなくとも、日本で大切にブランドとして育ててくれるという信頼関係で、海外の老舗メーカーさんとやりとりしているんですね。そういった老舗ならでは特徴は、ライフスタイル提案型ショップと親和性もあるので、こだわりのある生活を好む人が手にとってくださる商品になっています。
これまでにぶつかった壁についておしえてください。
自分の中で勝手に作った思い込みで、自分自身の考え方や行動を狭めていたことがありました。そこから学んだことは、苦手意識を捨て、いつでもニュートラルな状態でいることが大切だということです。

例えば広報をしていると、いろいろな商品を扱います。これはいろいろなところにPRできると感じるものもあれば、これはどうやってPRすればいいのか迷うものも正直あります。

絶対無理じゃないかと自分が感じるものも、ちゃんと堀り下げていけば、そこからみえてくる魅力もあるんですね。それを表面的な自分の思い込みで、最初からダメかもと思うのはよくない。やった上でダメなものは仕方ないけど、やる前からダメだと思うのはやめようと、ホテル時代に痛感しました。自分の気持ちが乗っていない。こんなのメディアの人に持って行くのはどうかと、あきらめぐせがついていたのが、それを直していくことで可能性が広がったんです。

「モノ」でも「ヒト」でもちょっと角度を変えて見てみると驚く発見があったり、実はとても良いものだったり、ちゃんと向き合うとそのものの良さが必ず見えてきます。売れそうなものは誰が持って行っても掲載してもらえます。一見、そうでないものもちゃんと魅力や売りを見つけて、情報を掲載してもらうのが広報の力の見せ所だと思います。
休日の過ごし方やリフレッシュ法があればおしえてください。
土日は完全にオフと決め、街を歩くようにしています。どんなものが流行っているか、女の子たちがどんな格好をしているか、どんな紙袋を持っているかなどを見ることが楽しいですね。あ、広報のアンテナを立てちゃっていますね(笑)。情報収集目線は常にありますね。でも、それが楽しいんです。
広報PRを目指している女性へアドバイスをお願いします。
悩む時間があるならまず行動あるのみ!だと思います。自分に言い聞かせていることでもありますが。あと、広報という仕事に対する執着は持っていて欲しいなと思いますね。つらくなればやめればいいやと思うのではなく、これで生きていくんだ!ってくらい強い思いを持って目指して欲しいなと思いますね。
山田眞規子さん、ありがとうございました。
 
明治時代から輸入業を営む会社ならではに、丁寧にひとつひとつのブランドを世界各国のメーカーから預かり、日本で育てていくという考えは、輸入業という名の“信頼ビジネス”なんだと感じました。企業のそういった思いを発信し、人々に伝える広報PRという仕事。山田さんがこの仕事を選んだ理由「世の中にある素敵で楽しい事をたくさんの人に広める仕事をしたかった」に、すべての思いが込められているのではないでしょうか。これからも広報としてのプライドと良い意味での執着心をもって、まだまだ未発掘の素敵なものたちを日本に紹介していただきたいです。
取材:なかむらのり子
S plus+h(スプラッシュ) 代表
フリーコーディネーター/コピーライター/プランナー
マスコミ・出版メディアへの取材も多く、インタビューする方の人生にスポットを当てる取材を心がけている。舞台芸術、教育、医療、地域活性に関する取材など、そのフィールドは広い。 

 


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