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■関西マスコミ・広報女史インタビュー


村上 敬子さん(サンケイリビング新聞社 シティ事業部 編集担当チーフデスク)

村上 敬子さん​  サンケイリビング新聞社 シティ事業部 編集担当チーフデスク
愛媛県出身。大学(経済学部)卒業後、ソフトウエア開発会社で勤務。1994年、サンケイリビング新聞社入社。ミセス向けの「リビング新聞」、働く女性向けの「シティリビング」、幼稚園児とママ向けの「あんふぁん」などの、フリーペーパー、フリーマガジンを担当。現在、社会人大学院在学中。
取材協力:サンケイリビング新聞社 大阪市浪速区湊町2-1-57  http://city.living.jp/
編集担当チーフデスクということですが、お仕事の内容を教えてください。
働く女性向けのフリーペーパー「シティリビング」の編集担当チーフデスクをしています。おもな仕事は、巻頭特集などの企画の案出し、ライターやデザイナーとの紙面展開の打ち合わせ、原稿チェック、ゲラ校正、大貼り(印刷前の紙面)のチェックなどです。

週刊でめまぐるしいスケジュールではありますが、取材先の選定や、コピーの内容、写真の撮り方、デザインレイアウトなどについて、スタッフと詳細に打ち合わせをしながら紙面をつくりあげていきます。

また、新しい連載コラムや、編集部イベントなどの企画も考えます。仕事としては、雑誌の編集者と似ていると思います。その中で、一番心がけていることは、読者のみなさんに、楽しんでもらえるオモシロイ紙面を作ること。これに尽きます。

毎号、「シティリビング」に届く、読者のみなさんの声や、紙面で活躍していただいている、読者モデルさんの意見を参考にさせていただきながら、構成や内容について、ライター、デザイナーと何度も何度も話し合います。紙面の読者レスポンスが良いときは小躍りするくらいうれしいのですが、悪いときは、1週間くらい真剣に落ち込みます。

最近、人気だった特集は、夏の体のにおいにフォーカスした「オフィスのスメハラを断つ!」と、「会社で食べられる おつまみ スイーツ」。この紙面で紹介したスイーツの中で、欠品がでたものもあったんです。読者のみなさんに支持していただいていると実感できて、本当にうれしかったですね(政治家みたいですが本当です!)。
なぜ今のお仕事を選ばれましたか?
小さい頃は文章を書くことが好きだった記憶がありますが、特に文章を書く仕事に就きたいという夢を描いていたわけではなかったですよ。大学では経済学を学び、卒業後はIT関係のソフトウェア開発会社に就職したものの、入社後3時間で向いていないと確信しました(笑)。それでも「石の上にも3年」と勤めましたが、体調を崩し、転職を考えていたときに、友人宅で、サンケイリビング新聞の編集の求人広告を発見!この世界に飛び込むことになりました。水があったのか、現在まで20年以上続いています(笑)。
これまでに「壁」を経験されましたか?
よく「天然だね」といわれ、常に何かしら失敗をしているので、人生壁だらけです(笑)。プライベートで、最近あったのは、ピアノ。発表会で、娘と連弾をすることになり、指と腕が動かなくなるくらい練習したのですが、「ハンガリー舞曲第5番の壁」は超えられず…。舞台上で玉砕しました。

仕事の壁でいうと、やはり「ガラスの天井」といわれるように、女性は結婚、出産などで働く環境が変わっていくので、キャリア面で男性より不利ですし、既婚女性は、未婚女性より不利な側面があると思います。ただ、そこでへこんだり諦めたりせず、今できることを一生懸命するほうが、自分にも仕事にも良い影響をもたらし、壁を超えられるのではないかと思っています。
時間に追われる中、プライベートでは社会人大学院に通っていらっしゃるのですね。
大学院でMBA(経営学修士)を取得したいと入学しました。そのきっかけとなったのが、バングラデシュにあるグラミン銀行のマイクロファイナンスです。貧困層の女性就労支援という社会性の高い事業を収益に結びつけたビジネスで、2006年にノーベル平和賞を受賞した画期的なしくみです。これに大きな感銘を受けました。

もともと、女性紙の編集という仕事を通して、少しでも、働く女性に役立つ媒体を作りたいという思いをもっていたのですが、自分が産休後仕事に復帰したとき、仕事と家事の両立ができず、どちらも中途半端になって、会社を辞めようと考えた時期がありました。働きながら子育てをする人は増えていますが、仕事と真面目に向き合おうとすればするほど、両立の壁は厚くなると思います。大学院で経営学を体系的に学ぶことで、働く女性の支援をしたいと思ったのも、入学の理由のひとつです。

学生になってからは、今まで以上に、仕事・家庭・学業の両立が困難になりました。しかし、娘も大きくなって手がかからなくなりましたし、家族や、職場の仲間、学友やママ友など、周囲の人の理解と支えのおかげで、なんとかやっていけています。
社会人大学院での学びは仕事に役立っていますか?
専攻はマーケティングで、消費者行動を勉強しています。読者の行動理解や、データ活用は、特集テーマを企画したり、広告記事を作成したりするときに、重要となる知見とスキルです。 また、組織論も、非常に勉強になりました。以前は〝モチベーションなんて個人の心構えだ〟くらいに思っていたのですが、仕事への志向や、適応性、環境によって、異なる接し方をすることが大切だとわかりました。

実務では、営業部、編集部、デザイン部という異なる部門が連携して、一つの紙面を作り上げるのですが、自分の主張は、しっかりと伝える一方で、思いやりや奉仕行動を念頭に置くサーバントリーダーシップをとれるよう努力しています。
時間の作り方を教えてください。
時間の工面には常に悩まされています。仕事でもプライベートでも、タスクが多い場合は、「今までと全く違う方法や時間配分」を考えます。夜にしていたことを朝早く起きて行ったり、業務の棚卸をして、作業の手順を入れ替えたり。そうやって作り出した時間を勉強にあてています。論文執筆時には、ストレスで髪がごっそり抜けましたが(笑)。
人生のきっかけになった本、あるいは心に残る本をご紹介ください。
アダム・スミス「道徳感情論」です。アダム・スミスといえば、神の見えざる手の「国富論」が有名ですが、人間の行動規範から、経済活動の真理を説くもので、ここ十年くらいの間で、最も感動した本です。

仕事に関する本では、佐藤尚之さんの「明日のプランニング」です。凄まじい情報過多である現代を、情報砂の一粒時代〝スナイチ〟時代と名付け、情報を伝えたい相手を笑顔にするコミュニケーションを考えようと提案されています。私たち編集者や、企業の広報担当者、広告プランナーなど、伝える仕事に携わっている人、必読の書です!
同じ業界を目指したいと考える読者女性へメッセージをお願いします。
ライターを目指すのであれば、文法や語彙力などの基本的な日本語力に加え、広く多彩な知識も必要だと思います。取材をするときの理解が深まりますし、文章に厚みがでてきます。また、紙媒体は、インターネットと違い、文字量の制限がありますので、文章を、簡潔に要約する能力も求められます。

ほかに必要なことは、“達成意欲”が高いことでしょうか。私も全く偉そうなことはいえませんが、編集の仕事は「ここまでできれば合格」というものではないので、常に高い目標をもって努力できるタイプかどうかも重要かもしれません。もちろん、どんなお仕事にもあてはまることですが…。

対人関係では、決まった仲間とだけ付き合うのではなく、さまざまな世界に触れることをおすすめします。私自身、企業人、母、学生などの顔があり、それぞれのグループで、色々な方とお付き合いをさせていただいています。グループごとに話す内容や得る情報は全く違いますし、多様な考え方に触れることもできます。デジタルで得る知識が多い中、実体験として得られる知識は、とても意義深いものです。意図していろいろな場所にでかけて行くようにしています。
村上敬子さん、ありがとうございました。
 
週刊紙のデスクという“タイムマネジメント”が必要なポジションにありながら、大学院にも通い、家族のこともされている村上さん。尊敬を通り越して、ひれ伏す思いでのインタビューでした。さらに、「紙面を通して女性の意識の変革もできれば」という思いから、イベント、セミナー、有識者との交流の場づくりなども計画されているということです。同じ24時間の人生をかなりの濃度で生きていらっしゃる姿に、大変なエネルギーを感じました。
取材:なかむらのり子
S plus+h(スプラッシュ) 代表
フリーコーディネーター/コピーライター/プランナー
マスコミ・出版メディアへの取材も多く、インタビューする方の人生にスポットを当てる取材を心がけている。舞台芸術、教育、医療、地域活性に関する取材など、そのフィールドは広い。 

 


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