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■関西マスコミ・広報女史インタビュー


市川 いずみさん(フリーアナウンサー)

市川 いずみさん​  (フリーアナウンサー)
京都府出身。2010年山口朝日放送入社。野球・駅伝実況、報道番組MCなどを務める。2013年ANN アナウンサー賞 最優秀新人賞、スポーツ実況部門新人賞を受賞。2015年1月より関西にてフリーアナウンサーとして活動開始。現在朝日放送「おはようコールABC」ニュースキャスター、読売テレビ「かんさい情報ネットten.」リポーター、MBSラジオ「MBSベースボールパーク」リポーター・スタジオアシスタント、KBS京都「府議会café京都」MCなどに出演中。
市川いずみオフィシャル・ブログ:http://ameblo.jp/ichy-89/
株式会社オフィスキイワード:大阪市北区天神橋2-4-2 http://www.keyword.co.jp/
現在のお仕事内容を教えてください。
山口朝日放送で5年局アナを務めた後に、2015年1月よりフリーへ転身しました。現在は、スポーツキャスターとして日々球場に足を運び、取材しています。野球中継でリポートを入れる日もあれば、ニュースキャスターとして報道番組でニュースを読む日もあるし、リポーターとしてロケに行くこともあります。
この仕事に興味を持たれたきっかけは?
幼い時からスポーツが大好きでしたが、中学1年のときに、父親に連れられて高校野球を見に甲子園に行ったことが始まりでした。「お兄ちゃんたち、かっこいい!」という感じでした。その後、ひとりで何度も甲子園へ足を運び、それ以来、高校野球にはまりました。

高校進学時も、野球部の強い学校でサポート役となるか、自分自身が部活動のできる女子校かで迷いましたが、活発だった私は自分が部活のできる女子校に進学。高校3年間は、プロ野球にどっぷり。阪神タイガースにどっぷり(笑)。

ちょうど高校1年の時に、阪神タイガースの優勝を体験し、学校でも野球の話ばかりの毎日でした。大学に入学するとまた、「高校球児がんばれ!」という気持ちが強くなり、高校野球熱が復活!。いずれにせよずっと野球が大好きですね(笑)。
その大好きな高校野球中継をした女性アナウンサーとして賞を獲得されました。
山口朝日放送に入社したのも、高校野球地方大会を1回戦から中継している放送局だったからです。そこで野球に携わりたいという思いで入社しました。入社したときは、本当に不出来なアナウンサーで、アナウンス部長つきっきりで指導していただき、毎日必死でしたね。そのかいあって1年目にスタンドリポートを担当しました。

しかし、2年目になると後輩が入社。「今年は新人アナウンサーでいくことになった」とディレクターに言われたときはショックでしたね。スタンドレポート以外に残された道は実況中継のみ。実況に手を挙げるしかないと思いました。

実況担当になるには、大阪の朝日放送での実況研修があるのですが、それに参加したいと思い切って申し出たところ、アナウンス部長と報道部長に「行ってこい!」と言ってもらえたんです。研修が始まると「こんなに野球に熱い女性がいるのか!」と驚かれましたね。

そして、3年目に実況デビューしたのですが、普段から野球をよく見ているだけに、単語もすらすらと出てくると言ってもらえ、もっとうまくなりたいと、4年目の時に、ANNアナウンサー賞スポーツ実況部門にエントリーしたところ、新人賞を受賞。最優秀新人にも選んでいただけました。どう考えても他の男性アナウンサーの方が実況は上手でしたが、野球愛を評価いただいたのかなと思っています。
「愛情を感じる実況」というのはどういう実況ですか?
私が意識したのは、「高校野球」だということです。エラーした選手の名前は言わないというのは決めていました。「ショート○○君のエラーが記録されました」ではなく、「今のはショートのエラーが記録されました」と、最低限の事実だけを伝えるようにしました。

高校野球の予選でテレビ中継があることを、保護者の方々はとても喜んでいらっしゃるわけです。3年生は高校最後の試合でもあります。エラーしたときだけ名前を呼ばれて終わってしまうのは避けたいと思ったんです。 逆に、良いプレーのときは、「ショートの○○君、今のはすごくいいプレーでしたね」と名前を出すようにしました。

中継の中でも、選手の半数は一度しか名前が出ません。また、プロ野球と違うので、テレビの前で見ている視聴者の方は、選手のことをあまりご存じない。ですので、絶対に名前は間違わないよう、すぐに出てくるよう、実況前夜は表を作って、何度も何度も選手の名前を繰り返し、布団に入ってからも受験勉強のように準備しましたね(笑)。そういったことを評価していただきました。
仕事になると野球が嫌いになったりはしませんでしたか?
大好きだった野球も、仕事として担当したとたん、嫌になってしまったという先輩の話を聴いていましたが、私の場合、現在は阪神タイガース担当になり、取材をすればするほど、今まで見えていなかったことや知らなかったことがわかり、もっと魅力を開拓していきたいと思うようになりました。 大好きな野球をすぐそばで見ることができ、人が聞けない話を聞ける。それをお仕事として出来るということは、とても幸せなことだと感じますね。

高校生の頃は、甲子園球場で仕事をするのが夢でした。就職の時も、選手の方がどんな努力をされて大舞台に立てたのかなど、アスリートの取材をしたいと思い、スポーツ新聞社も受け、最終的にテレビ局でアナウンサーになりましたが、スポーツ・報道志望でしたので、今やりたい分野でアナウンサーとして活動できていることに幸せを感じています。
仕事の中で、どんなことに力を入れていますか?
アナウンサーはただ読むだけでは視聴者に伝わりません。自分がしっかり理解を深め、プラスαの知識をもって取り組むことで伝わるものだと思っています。そのためにはスポーツ、時事、歴史、グルメ、ファッションなど、様々な分野のことを知っておかないといけません。視聴者に共感、または反感でもよいのですが、何かを感じてもらえるよう「伝える」ということは意識しています。

薄っぺらな言葉にならないよう、言葉に重みのあるアナウンサーを目指して日々勉強中です。 またテレビをよく見て、ラジオもよく聴くようにしています。ニュースの読み方がうまいアナウンサー、相槌がうまいアナウンサーなど、吸収できることはすべて吸収するつもりで視聴しています。
この仕事の醍醐味はなんでしょう?
趣味が活かせることですね。私は時間があれば球場に行くほどスポーツ観戦が大好き。特に高校野球は、地方予選の1回戦から球場で観戦し、高校野球検定もとりました。野球に関することならなんでも頭に入ってくるのですが、その趣味が直接仕事に通じることは、本当に幸せです。
これまでのターニングポイントを教えて下さい。
地方局の局アナを5年経験し、30歳を前にプロ野球に関わる仕事に挑戦したいとフリーになったことです。地方局ではスポーツ実況・報道番組のMCなどを務めましたが、プロ野球の球団はなく、プロ野球の仕事をする環境にはありませんでした。フリーアナウンサーとしてやっていけるか不安でしたが、先輩が背中を押してくれて退社する決意ができました。
フリーになると、野球だけでなく他のスポーツのルールを知ることも必要ではないですか?
そうなんです。サッカーも11人でする以外知りませんでした(笑)。しかし、山口時代に地上波放送で、JFL開幕戦の担当チーム・ピッチレポートが決まり、すごく嬉しかったと同時に、初練習の日から、山奥の練習場まで雪の降る中、毎日通っての勉強が始まりました。 選手のマグネットを作って、選手の役割や動きなど、ディレクターにつきっきりで教えてもらいました。開幕までの3カ月で吸収していきましたね。

その後、ワンシーズン追いかけることで、サッカーも好きになり、サッカー4級審判の資格も取得したんです。選手の背景にあるものを、すべて知っておかないと伝わらないと思っているので。今では、野球、サッカー、マラソン、駅伝、ラグビーなど、スポーツ全般で、経験を積んで行っています。
これまでに「壁」を経験されましたか?
局アナ時代に高校野球の実況をしたとき、「女性の実況って大丈夫なの?聞きづらい」と言われたことです。

そもそも実況はやりたくなかったのですが、実況に手を挙げないと、高校野球に関わり続けられる環境ではなく、野球に関わっていたいがために実況に挑戦しました。

男性のようにかっこいい実況はできないけれど、「球児がやってきたこと、試合にかける想いを伝えたい」それだけを大切にしていました。

その結果、テレビ朝日系列のスポーツ実況最優秀新人賞を受賞し、そのときに「何より高校野球への愛情を感じる!」と評価いただきました。仕事へ愛情を持って取り組んでいれば、想いは伝わると実感。どんな仕事も真摯に取り組むことを常に心がけています。
「自分の時間」をどのように使っていますか?
急にお仕事が入ることもあるのですが、1時間でも時間があれば友人に会うようにしています。たわいもない会話や、時間があればゴルフに行きます。おしゃべりや体を動かすことがリフレッシュですね。また、体力に自信はありますが、睡眠時間も大切で、加湿器とアロマを加えて、深い睡眠をとるようにしています。
この仕事を目指したいと考える読者女性へメッセージをお願いします。
アナウンサーというと、どうしても「容姿」とイメージがありますが、それよりもたくさんのことを肌で感じ、いろいろなことを経験してください。良くも悪くも「人間性」が出る仕事なので、どういったことをどのように感じながら生きてきたのかが大切だと思います。あきらめずに自分がアナウンサーとしてどんな仕事をしたいのかを明確に持って、イメージし続ければきっと叶うと思います。
ありがとうございました。
 
もともと高橋尚子さんが大好きで、中学1年生の時に読んだ本は『君ならできる』(小出義雄/著)。感動して書いた感想文が学年代表となったのは、その熱い感動が読む人に伝わったからでしょう。「高橋さんのまっすぐな性格、まっすぐ夢に向かう姿勢が印象的でした。夢をあきらめず努力し続ければきっと叶うんだと思わせてくれました」と市川さん。

「高校時代、グランド整備の会社に入ってでも、甲子園球場で働きたい!と思っていた自分が、今は仕事で甲子園へ行けることに幸せを感じます。そして、スポーツ選手の努力や練習量を目の当たりにして、自分もやらないとあかん!と気持ちが引き締まります」と語って下さいました。スポーツへの熱い熱い想いの伝わるお話に、プロ意識と仕事への情熱を感じました。
(取材:2016年1月)
取材:なかむらのり子
S plus+h(スプラッシュ) 代表
フリーコーディネーター/コピーライター/プランナー
マスコミ・出版メディアへの取材も多く、インタビューする方の人生にスポットを当てる取材を心がけている。舞台芸術、教育、医療、地域活性に関する取材など、そのフィールドは広い。 

 


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