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■関西の企業で働く「キャリア女性インタビュー」


湯浅基子さん(公文教育研究会/人事部)

湯浅 基子さん
株式会社公文教育研究会 人事部 人財サポート東京チーム/大阪チーム リーダー
1983年公文教育研究会入社、人事部配属。1986年男女雇用機会均等法を契機に導入されたコース別人事制度により「一般職」として勤務。1990年4月社内留学制度(現在は廃止)を利用して筑波大学大学院[夜間:社会人対象]に留学し、東京人事部に勤務しながら夜間にカウンセリングを学ぶ。卒業後に「総合職」に転換。1997年土浦事務局勤務。2000年人事部に転属。産休・育休者のサポートをはじめ、多様化する価値観やライフスタイルに対応した制度づくりを担当。2015年4月よりリーダー、現在に至る。

株式会社公文教育研究会
URL:http://www.kumon.ne.jp/index.html
お仕事の内容を教えてください。
現在は、社員の健康管理をはじめとする福利厚生全般、多様化する価値観やライフスタイルに対応した制度づくりにチームとして取り組んでいます。また、2000年から継続して、産休・育休者の職場復帰研修や情報交換会を担当しています。
公文に入社された動機は?
大学で心理学を専攻していましたので、学生時代に子どもたちの発達検査に携わる機会があり、その施設が当時、公文の大阪本社ビルにテナントとして入っていました。そこで公文を知り、公文ならどんな子どもたちもできるようになる、と思ったことがきっかけです。
「総合職」になったことで、ご自身の変化はありましたか?
母が入院した矢先に土浦事務局への辞令が出た時は、覚悟はしていましたが「なぜ、今?」という思いがありました。家族も猛反対で随分悩みましたが、「あなたの人生だから」と病床の母が背中を押してくれました。初めての現場経験に不安がいっぱいでしたが、土浦に向かう駅のホームで「こんな思いで転勤するのだから絶対に頑張る!」と自分を奮い立たせたことを覚えています。

その現場での経験は、その後の私の「原点」になりました。公文式の教室で、多様な個性でぶつかってくる子どもたちを丸ごと受け止め、真剣勝負で子どもたちに対峙しておられる先生方を見て、仕事であれ、プライベートであれ、「一人の人としてどうあるのか」ということが、その後の私の軸になっていきました。
産休・育休者のサポートなど、ダイバーシティのお仕事に長く従事されてきました。
最初は、子どものいない私が産休・育休の担当なんて、人生って残酷と思ったこともありました(笑)。でも、ヒアリングを通して、働くママたちの痛みや苦しみを知り、「一緒に次世代を育てていこう。私の分までしっかり子育てをして戻ってきて!」という想いに変わっていきました。

やがて、先輩ママたちが後輩ママたちをサポートしていく風土ができてくると、子育て経験のない私の役割は終わった、と落ち込んだ時期もありました。しかし、ママ同士、同じ立場だから共感できる喜びもあるけれど、本当は一人の人として、「〇〇さん」として認め合いたいんじゃないかと分かったとき、「ママじゃない私だからこそ、できることがある」と気付いたんです。

私も母の看護をしていた頃は、母を一人にして仕事に行くのかという思いで自然に涙が溢れたものでした。そんな私を勇気づけてくれたのは働くママたちでした。また、育児や介護というと女性に焦点があたりがちですが、苦しんでいる男性も多いことを知りました。育児や介護に限らず、それぞれに抱えていることが見えてきて、今は色々な立場の人の力をお借りして、人から人へ気持ちをつなぐお手伝いができたらと思っています。
長く続けるなかで「壁」を感じたことは?また、どのように乗り越えましたか?
40代後半になると自分の先行きが見えてしまったようで、キャリアアップも思うように図れず、周りと比較しては人間力の無さを痛感して落ち込む毎日でした。更年期の不調も手伝って、ジタバタもがいていましたが、あるとき「ジタバタしたっていいじゃないか」と吹っ切れたんです。すると、「無いもの」ばかり追いかけていた私に気づき、次第に「あるもの」に目が向いていきました。

若い頃に描いた将来像とは違うけれど、確実に色々な経験を積んだ今の自分がいる、その私の経験を踏み台にして次世代が育ってくれたらいい、そんな自分の活かし方もあるよね、と思えたとき、私自身が救われました。そうして自分に向きあうなかで、私にももっとやれることがあるのではないかと、新たなチャレンジ意欲が芽生えてきたのです。
パラレルキャリアにつながったのですね。具体的には?
自分らしさを追求するなかで、絵本を描き始めました。「ひとつぼっちの才能の木」という絵本は、人の可能性をテーマにした作品ですが、仕事でもプライベートでも大事にしていることは一緒です。少しずつ自分という軸が太くなることで、仕事でもリーダーとして新たなチャレンジをしていくことになりました。
ワークライフバランスの実現ですね。最後に働く女性へのメッセージをお願いします。
「まずはやってみよう」これは公文式の創始者、公文公(くもん とおる)の言葉ですが、人の想いが形を作るという実感があります。

目標をたてることも大事ですが、そうは言っても何をしていいか分からない場合もあります。ワーキングマザーへのインタビューで、「目の前のことを着実にひたすらこなしていくことで振り返ると道ができていた」と仰る方も多くいました。

前例がないなら第1号になればいい。お鉢がまわってきたら受け取ってみる。「まずはやってみよう」だと思います。
ありがとうございました。

(取材:2015年7月/所属・役職名等は取材時のものです)
インタビュアー:諸田 智美
特定非営利活動法人 女性と仕事研究所 代表理事
佐賀大学卒業後、1987年大手SI会社に入社。SEとして金融情報系システムプロジェクトに従事。退職後、キャリアチェンジにより、マンションリフォーム企画営業を6年、パソコンスクール責任者を6年経験。2006年1月㈱ネットラーニング入社後、2009年11月グループ会社㈱wiwiwへ。2014年4月まで、カスタマーセンター長として大規模セミナー企画・運営、広報等を担当。2014年2月に「男女ともにキャリアと育児の両立を実現するためのシンポジウム」を企画・運営。大阪では、2013年11月に第4回女性活躍推進フォーラムの企画・運営を担当。2014年5月から現職。

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特定非営利活動法人 女性と仕事研究所
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