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■関西の企業で働く「キャリア女性インタビュー」


加治 由佳子さん(武庫川女子大学 丹嶺学苑研修センター主任指導員)

加治 由佳子さん
武庫川女子大学 丹嶺学苑研修センター主任指導員
武庫川女子大学 丹嶺学苑研修センター
兵庫県神戸市北区長尾町上津4553-1
http://www.mukogawa-u.ac.jp/~tanrei/
お仕事の内容を教えてください。
武庫川女子大学の宿泊研修センターで主任指導員をしています。武庫川学院では、中学、高校と大学で授業の一環として宿泊研修がありますが、センターでは特に大学1年生の研修に力を注いでいて、私たち指導員がプログラムの企画、運営、指導を担っています。研修の大きな目的は、学院の立学の精神でうたわれている「有為な女性の育成(=社会に貢献できる女性の育成)」という理念を、宿泊研修を通して学べるしくみを作っています。

プログラムと生活体験の2本柱がありますが、特に寝食を共にする体験からの気づきは、普段の学生生活では決して学べないことばかりです。「あー楽しかった!」で終わらせないよう、学生の気づきをいかに継続させるかに力を入れています。研修で学んだことを、その後の学校生活や就活、そして卒業後に生かしてもらうことを目指しています。
今のお仕事に携わるきっかけは?
もともとキャンプなど野外活動が好きで、神戸市の「自然の家」にアルバイトにも行っていました。高校時代、父親の「これからはレクリエーションの時代や」のひとことがきっかけで、「あーそうか!」と思い、大学はレクリエーションが勉強できる武庫川女子大の「人間関係コース」(現在は心理・社会福祉学科)を選びました。

学生時代、この研修センターにはアルバイトで何度も来ていて、就活時に担任の先生から、この研修センターに就職しないかとお声をいただいた時は、希望する仕事だったので喜んでお受けしました。
ご結婚後も働き続けることは考えておられたのですか?
29歳で結婚しましたが、結婚退職は全く考えていませんでした。両親ともに薬剤師で、母も子育ての期間を除きずっと働いていました。でも私は薬剤師という仕事に苦手意識があったんです。高校時代、親からは薬剤師になるよう薦められたこともありましたが、どちらかというと理系が苦手で。もともと教育関係を希望していたこともあり、まさに思い描いていた場所がここだったんです。
勤務されて25年ということですが、これまでどんな転機がありましたか?
就職後はこの研修センター一筋で、職場でのターニングポイントはそれほどありませんでしたが、家庭では、超重症児の長男の誕生が人生の転機となりました。妊娠中は特に異常なしと言われていましたが、出産時に泣かないし、あまり動かない。そのままNICU(新生児特定集中治療室)に直行して1年4ヶ月。その間、産休と育休をいただいて、主人と交代で病院に通いました。

長男に続いて生まれた次男も超重症児でした。同じく病院のNICUに半年間いました。長男は家に帰ることなく病院で亡くなったので、とにかく次男は家に連れて帰りたいと思い、半年で家に連れて帰りました。痰の吸引など目が離せない状態で連れて帰るので、それからはずっと主人が専業主夫として、こどもの介護や家事、学校や病院の送迎の一切を担当してくれています。
ご夫婦でどちらが専任するか話し合われたのですか?
主人は造園関係の仕事を営んでいましたので、比較的時間の余裕がありましたし、それまでも料理や家事は主人がしてくれていたので、自然にこの形に入ったという感じです。私が職場に復帰すると同時に、主人が仕事を辞めて家の事に専念してもらっています。
家庭内ではどんな工夫をされてこられましたか?
次男は12歳になりましたので、日常生活はだいぶ安定してきていますが、それでも介護のストレスは相当なものだと思います。私の休日はまず、主人のストレス解消を優先しています。年に何度かは子供をショートステイに預け、夫婦で山スキーに行ったり、海外旅行にも行ったり、家族旅行は大切なイベントです。やはり夫婦で協力しないと乗り越えていけませんから、まずは主人の言うことを全面的に受け入れる。それに尽きると思います。
「全面的に受け入れる」とは?
最初の頃は、私も主人の言うことに言い返すこともありました。でもそれではどんどん距離が広がっていくだけです。うちは子どもの担当は主人ですから、病院や学校のことをいくら私が考えたとしても、主人の考えには及ばないかもしれません。だから任せると決めたなら腹をくくって、いったんは全面的に受け入れようと考えました。時間が経ってから話をすることはありますが、私から「こうして欲しい」とは言わないようにしています。

例えばお風呂の掃除でも、「家にいる人がするものだ」と思っていたこともありましたが、そう思っても相手がやらないなら、自分がやるほうが気持ちは楽だと考えるようになりました。「人は誰でも自分の考えが一番正しいと思っている」「人は人から言われてもぜったい変わらない」。自分の中のイヤな部分が出てきそうになると、そんなふうに自分に言い聞かせています。
互いに自分の考えを主張しているだけでは、家庭内のチームワークが機能しないということですね。それは組織の中で長く働いてこられて学ばれたことですか?
どちらかというと逆かもしれません。家では言わないけど、職場ではそうはいかないですね。聞くばかりではなく、言うべきことは言わないといけない。そこが今の私の課題です。どうすればみんなが気持ちよく楽しく仕事ができるか。どの職場にもある永遠のテーマだと思いますが、チーム全員の価値観をそろえることは難しくても、目的や方向性は共有できると考えています。

組織に変化を起こすことの大変さはひしひしと感じますが、業務予定の共有化や解決すべきことがあればすぐミーティングするなど、まさに取り組んでいるところです。大学では今、男女共同参画推進室もできて、ワークライフバランスにも取り組んでいますが、将来的には私の経験を役立たせることができればいいなと考えています。
研修指導員として女子学生に伝えたい想いとは?
研修の中でいつも学生に話していますが、女性らしさというのは思いやりであり、母性という強さの特性があります。自分の環境は今の自分に与えられているものです。人それぞれ課題が違うので、まずはそれを受け入れること。「こうあるべき」という考え方は、時に自分の首をしめるだけです。どんな道であれ自分らしく自信を持って生きて欲しいと思っています。そしてやはり、武庫川女子大を卒業したということを誇りに思って欲しいですね。
ありがとうございました。
取材協力:
武庫川女子大学
〒663-8558 兵庫県西宮市池開町6-46
http://www.mukogawa-u.ac.jp/index.html

(取材:2015年2月 関西ウーマン編集部) 



 

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