HOME ■関西の企業で働く「キャリア女性インタビュー」 三木 陽子さん(尼崎市立七松保育所長) 前のページへ戻る

■関西の企業で働く「キャリア女性インタビュー」


三木 陽子さん(尼崎市立七松保育所長)

三木 陽子さん 尼崎市立七松保育所長
聖和短期大学卒業後、昭和62年尼崎市役所に入庁。塚口北保育所に赴任する。その後、今福保育所、武庫西保育所の勤務を経た後、平成14年に武庫支所地域振興課、平成16年にこども課入所担当に係長として異動する。その後、平成21年より保育所に所長として異動し、園田、七松保育所に勤務する。
尼崎市立七松保育所:尼崎市七松町2丁目14-1
三木さんは尼崎市の市職員になるんですね。もともと保育士を希望されていたのですか?
幼稚園や保育園の先生になる短期大学で保育士を目指していましたが、公務員を希望していたというより、たまたま受けた尼崎市の職員募集で採用されて、尼崎市内の保育所に勤務になりました。その後数年ごとに異動があるのですが、6年前に所長になり、園田保育所で2年、現在の七松保育所に異動して4年目になります。
念願の保育士として入所された当時はどうでしたか?
最初は学校を出たばかりですから、子どもが言うこと聞いてくれなかったり、収拾がつかない状況になることもあって、学校で習った通りにはいかないなと思いました。決められたプランを進めようとしてしまい、子どもたちの気持ちと合わないこともありました。やはり若い頃は子どもたちの反応を見て、受け止めてから返すという余裕がなかったなと思いますね。
昇進試験を受けようと思ったきっかけは何ですか?
30歳の頃、尼崎市役所内の研修で、他部署(事務、保育士、建築、電気職など)の方と一緒にAIA研修というコミュニケーション能力や問題解決能力を開発するプログラムを受ける機会がありました。それをきっかけに知り合った人たちが、同年代の方でもどんどん昇進試験を受けて、係長や上のキャリアを考えているという話を聞くうちに、私もチャレンジしてみようかなと思ったことがきっかけです。

保育士で主任というと10年も20年も年齢が上というイメージがあって、周りには保育士の諸先輩たちがたくさんおられたましたから、それまで昇進することは全く考えていませんでした。公務員として勤めてちょうど10年経っていて、定年が60歳とするとあと30年。保育士として30年、自分は同じ仕事をずっとできるだろうかという迷いもあって、1歩ステップアップしてみようという感じで試験を受けることにしました。
その後係長として事務職、しかも管理職として入られました。
係長への昇進と同時に、これまでの保育士の仕事とは全く違う職場、「こども課入所担当」(保育所の入所調整をする部署)に異動になりました。

就任してすぐ、まだ仕事内容がよく分かっていないのに、係長として判断を聞かれたり、年度初めに出す資料を作成するにも、どのデータをみればいいかもわからず、最初は自分一人で抱え込んで悩んでいました。

前任の方は私より20歳も上で、ポンポンと自分で判断されていたので、自分も同じようにしなければならないと、勝手に思い込んでしまっていたと思います。

自分とはキャリアが違うのに背伸びをして、「そうあらねばならない」という自分に囚われてしまって。出勤する足取りが重く、このままでは仕事が続けられないと思うほど苦しい日々が続きました。

前任者の書類だけ見ても分からないデータを探していたとき、就任したばかりですし、自分で調べなくちゃと思い、誰にも聞けなかったんです。でも何時間やっても進まない。こんなことをしていてはだめだと思い、部下に聞くと5分くらいでデータを出してくれたんです。「困っているなら、もっと早く言ってくださいね」って。忙しいからと遠慮して聞けない私は、何も見えていなかったんだなと思いました。
そこからどのように変えられましたか?
やっぱり自分と前の人とは違う。キャリアの年数も性格も違うのだから、同じやり方はできないし、私は自分のスタイルでの管理職しかなれないと思ったんです。みんなとコミュニケーションをとりながら、分からないことは聞く。できないことは頼む。そこから最後の判断は管理職として自分が責任を果たそうという、自分流の管理職のやり方で行こう考えました。

部下の人たちに力を貸して欲しいと話すと、「係長がそこまでしんどいとは思っていなかった。もっと早く助けてあげられたのに」と言ってくれました。私たちができることはしますと、いろいろサポートしてくれるようになりました。
その後、保育所長としてまた現場に戻ってこられましたが、トップの立場となるとまた以前と違いますか?
保育所長は最終責任者なので、万が一の際は子どもたちと職員を守らなければいけませんから、人命をお預りしているという責任の重さはひしひしと感じますね。異動したときは、6年ほど保育の現場から離れていたので、若い所長だと思われるんじゃないか、所長らしくできるだろうかといろんな不安もありました。

でもいろんな所長がいらっしゃるかもしれないけれど、前の経験を踏まえ、自分なりの所長になろう、みんなと一緒に作っていこうと思い、先生たちに頼りながらやっていきたいと伝えました。
保育士になりたい女性にアドバイスされるとしたら?
保育士の仕事は子どもと接するだけではなく、様々な家庭環境を抱えたお子さんをお預かりするケースもありますが、充実感をたくさん味わえる職業だと思います。

昇進すると責任の重さもありますし、壁にぶつかることもありますが、それを乗り越えたことが、仕事を続けていく上での自分の力になって次に繋がると思います。

私が経験で学んだことは、自分で抱えこみ過ぎないこと。仕事って抱え込みすぎてしまうと、いろんな問題解決の仕方があっても、何も見えなくなります。素直に聞く勇気をもって、周りの考えを聞くことは一番大事だと思います。
やっぱり現場が好きですか?
子どもたちがいると、やったことがすぐに返ってくる楽しさがあるので、やっぱり現場が好きですね。子どもたちには、楽しんで保育所に通ってくれたらいいなと思って笑顔で温かい声をかけるようにしています。保護者の方々にとっても、ホッと安心していただける場所でありたいなと思っています。
ありがとうございました。
(取材:2015年2月 関西ウーマン編集部) 



 

■関西の企業で働く「キャリア女性インタビュー」 記事一覧




@kansaiwoman


■ご利用ガイド




HOME