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■関西ウーマンインタビュー(ドクター編)


澤井 貞子さん(沢井眼科/大阪府女医会副会長)

 
澤井 貞子さん (医療法人 沢井眼科 理事長)
医学博士。大阪大学医学部卒 大阪大学眼科入局 大阪大学医学部大学院眼科専攻。平成元年 浪速区日本橋東で眼科クリニックを開業。一般社団法人 浪速区医師会 副会長/一般社団法人 大阪府眼科医会 理事
一般社団法人 大阪府女医会 副会長

医療法人 沢井眼科
大阪市浪速区日本橋東3-7-7-2F
http://www.sawai-ganka.com
ご実家は製薬会社さん(沢井製薬)だそうですが、なぜ医師を目指されたのですか?
もともと医者になりたいと考えていたわけじゃないんです。女子高に在学していて、その上に女子大(英語専攻)もあったのですが、私は英語が好きじゃなかったんですね(笑)なので理系に進みたいと思い、最初は物理学もいいなと考えたこともありましたが、医師になれば手に職が得られると親に勧められ、医学部に進みました。
学生結婚なさって、お子さんが生まれてから医師国家試験に臨まれたそうですね。
大学1年のときに入ったゴルフ部で主人と知り合って、私が4年、主人が大学院2年目のときに結婚しました。私は医学部なので6年ありますが、5年の時に娘が生まれたんです。

最初は実家近くのマンションで暮らしていましたが、卒業の頃になると国家試験がありますから、さすがに勉強しないといけないし、そのまま研修が始まるともう休めない。それで主人と子どもと3人で実家に転がり込んで、そのまま家も二世帯に建て替え、それからずっと両親と一緒に暮らしています。

研修が終わる頃、娘は2歳半くらいでしたが、このまま勤務医になっても他の人に迷惑をかけると思い、とりあえず大学院に進みました。そろそろ二人目も欲しいなと思っていたので、大学院の間にバタバタと2人目、3人目が生まれました。主人は知り合った頃から私が医者になるものだと分かっていましたから、理解はしてくれていたと思います。
開業なさったきっかけとは?
大学院の身分は、研究を自分のペースで進めながら、臨床も並行してできる自由な立場でしたが、卒業が近くなり、さあその後どうしようと思っていた頃、たまたま縁戚が医療ビルを建てるので、一緒に開業しないかと誘われました。

あの頃は今のように制度が無かったので、産休を取るのが精一杯。私の友達もほとんど、1人目は耐えられても、2人目になるともう皆さん一旦退職して常勤から離れているんです。病院勤務医より開業するほうが、自分のペースで仕事ができ医師の仕事を続けやすいと、周りからも勧められ開業することを決めました。

だけど最初は大変で、いろんなことを自分で決めないといけないし、いろんな仕事も増えてくる。一旦開業してしまうと、「これって私、ずっと辞められないんじゃないの?」と思いましたが、それからここで26年になります。
子育て時代のご苦労は?
社会に出たときには、すでに子どもがいましたから、常に仕事と家庭を両天秤にかけていました。朝起きてから寝るまで、いま何をするのが家族にとって必要なことか、ひいては、何が自分にとって大事かを考え、選択し行動してきました。一瞬も無駄にできない、時間を有効にと、予定はぎゅうぎゅう詰め。30代40代の記憶は残ってないぐらいです。

子育て中は、子どもの病気や受験、学校問題などがありますから、我が子が大変なときは傍にいてあげたい。でも診察に行かなくちゃいけない。「他人(患者)の心配している場合では無いんじゃないか」と思ってしまうことも何度もありました。そんな後ろ髪引かれる思いで仕事を続けているうち、結果的には、時間が解決してくれることで乗り越えてきたように思います。

ですが、ある日、大人になった子どもから、「私たちのためではなく、実際は自分のためでしょう?」と言われたときは、グサッときましたね。しばらく考え込んでしまいました。

確かに、いかにも私が犠牲になって働いてきたかのように自己満足していましたが、実は全く違っていたんです。本当に仕事がつらくて辞めたいと思えば辞めることはできた。忙しくて大変だったのは事実ですが、実際は、同居の母が家を支えてくれていましたから、私ができないことは全ての母がフォローしてくれていたんです。

私が仕事を辞めなかったのは、仕事は仕事で面白いこともあり、多くの人と出会う機会があり、人生経験も勉強もでき、自分にとってのメリットがいっぱいあったからです。振り返ってみると、結局は自分のためだったんだろうなと思います。

今となっては、子供たちには不自由な思いや寂しい思いをさせたかもしれませんが、私が家庭に留まっていたより、より大きな視野と見地にたった母親になって、子供たちに返せたような気もします。というか、そう考えて正しい選択をした、と思うようにしています。
先生は大阪府女医会の副会長をされています。大阪府女医会の活動とは?
大阪府女医会は、1947年(昭和22年)に設立され、2017年には設立70年を迎えます。関西医科大学はもともと関西女子医専という女医専門の学校だったんですが、大阪の女性医師がまだ少なかった時代、そこを出られた先生たちが中心になって活動されていました。

今もほぼそうですが、医師会の活動は男性社会。その中で女性医師が固まらないと、発言する場も無かったので、まずは医師会の役職を一つでも女性枠を取ってこよう、という活動だったようです。当初は開業されている先生が中心の会でしたが、その時代の女医さんたちは皆「女傑」ばかりでしたね。

大阪府女医会の大きな活動としては、「女性の社会的活動の支援」と「病児保育の充実」を主な活動のテーマとしていますが、これからもっと若い先生たちと交流を図り、いろんな問題解決の支援をしていきたいと考えています。

とはいえ、今の若い先生たちは忙しくて、勉強会に出ることはなかなか難しいようですね。私もそうでしたが、仕事が終わって家で誰かが待っているとなると、やっぱり早く帰りたい。その気持ちも分かるのですが、そうした先生たちとどう交流していくかが今後の課題です。

目指すものとしては、楽しい女医会を作りたいですね。同じ仕事をしてきた仲間たちと、いろんな話ができる「場」を作っていきたい。そこで私たちがこれまで、仕事をしながらいろいろ思ってきたこと、考えてきたことを若い人たちに伝えていくことで、少しでも良い選択、良い人生を歩んでいただけるようなサポートをしていきたいと考えています。
女性医師が働き続けることはまだまだ難しいと聞きます。今の現状をどう見ておられますか?
今は女性医師の数も増え、女性医師に働いてもらわないと医療界は回らない時代です。病院内保育や時短勤務、ワークシェアリングや復職プログラムなどの制度も整ってきていますから、女性医師が仕事をやめないよう、雇用側も配慮してくれるようになりました。

でも一方で、子どものかわいい盛りに、子育てを優先したくなるという気持ちもすごく分かります。それも考え方の一つ。今この一瞬の子育てを大事に思い、仕事を中断するのも「あり」だと思います。

子育てと仕事の「両立」と言いますが、両立なんてありえません。時間は一つで、その一瞬はどちらかにしか使えないからです。どちらに使うか日々選択の連続。子どもを選ぶか仕事を選ぶか、どちらの選択が正しいかどうかは、両方できるわけじゃないので判りません。ただ、一生懸命考えて自分が決めた以上、この選択で間違いなかったと思えるような人生を歩んでもらいたいと思います。
若い女性医師に向けて、メッセージをお願いします。
「どうせ辞めるんでしょう」とカウントにも入れてもらえなかった時代はもう過去になりつつあります。「男性と同等に働く」という気概を持って医師になった女性まで、「女性」というくくりで不平等に扱われた先輩たちも多数おられたように思います。

ただ、その先輩女性医師たちが、医師として一生懸命働き、道を切り開いてこられたことを忘れず、仕事をするならば甘えず、一人のプロフェッショナルとしての義務をしっかり果たしてほしいと思います。
ありがとうございました。
(取材:2016年3月 関西ウーマン編集部) 

 

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