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■関西ウーマンインタビュー(ドクター編)


魚川 礼子さん(産科麻酔科医/パルモア病院 麻酔科担当医)

 
魚川 礼子さん 産科麻酔科医/パルモア病院 麻酔科担当医
関西医科大学卒。神戸大学麻酔科で研修、兵庫県立がんセンター医員、神戸大学麻酔科医員、兵庫県立こども病院麻酔科医長、埼玉医科大学総合医療センター周産期麻酔科助手、神戸大学麻酔科助教、平成24年8月よりパルモア病院麻酔科 専門医:日本麻酔科学会専門医 指導医/麻酔科一般 産科麻酔 小児麻酔
パルモア病院
産科/婦人科/小児科/内科/麻酔科
〒650-0012 兵庫県神戸市中央区北長狭通4-7-20
Tel:078-321-6000
http://www.palmore.or.jp
産科麻酔科医とはどんなお仕事ですか?
麻酔科というと、あまり日常で接することは少ないと思いますが、大きく分けて手術の麻酔と、集中治療、緩和ケア、ペインクリニックがあります。手術の麻酔にも、小児麻酔や心臓麻酔、産科麻酔といろんな分野に分かれています。帝王切開や無痛分娩の麻酔にたずさわるのが産科麻酔です。

もともと帝王切開は産婦人科の先生が麻酔をかけることが多い上に、産科麻酔科医はとても少ないので、あまり一般に知られていない分野でもあります。なので、無痛分娩のニーズがあっても、人手不足でなかなか応えられないという現状があります。
「無痛分娩」が日本で浸透しないのは、やはり抵抗があるのでしょうか。
日本には「お腹を痛めたわが子」という言葉があるくらいで、私も産科麻酔の世界に入る前は、きっと抵抗があるだろうなと思っていましたが、妊婦さん自身の抵抗は少なくなってきています。浸透しない大きな理由は、抵抗というより人手不足と費用です。フランスでは無痛分娩は保険適用されますが、日本はお産自体に保険がきかないので、無痛分娩も保険がきかないんです。
産科麻酔科医を専門にされた経緯とは
医学部を卒業後、麻酔科で研修を積んでいましたが、当初は心臓麻酔、呼吸器の麻酔などに興味がありました。大学病院で働いていて6年目に、医局からこども病院に出向するように言われたんです。その時は「まあ子供の麻酔も経験しておこう」というくらいの気持ちで、あまり小児麻酔に興味はありませんでした。

ところが、こども病院で周産期(産まれる前〜産まれてきた直後)の麻酔に携わるようになって「産科麻酔」に出会い、こんなに勉強しないといけないことが多いんだと知り、こどもだけでなく赤ちゃんがお腹の中にいるときからお母さんへのケアなど、もっと深く勉強したいと思うようになりました。

そこで当時、日本で唯一、産科麻酔の研修をうけることができた、埼玉医大総合医療センターに行くことを決めました。それが大きな転機となりましたね。埼玉で学んだ後、大学病院に戻ってから、子どもと妊婦の麻酔を主にやってきました。
埼玉に行く前にご結婚されたそうですね。
29歳で結婚しましたが、まだ子どもがいなかったので、その間に勉強しようと思い、単身赴任で埼玉に行きました。埼玉から帰ってきて3年目、35歳で一人目を出産しました。その後ポンポンと2人生まれて、今5歳と3歳と0歳の子どもがいます。

よく「小さい子が3人いて働くのは大変ですね」と言われますが、あまり大変だという自覚は無いですね(笑)主人も医師ですし、キャリアは継続したほうがいいという考え方なので助かっています。
最初のお子さんと2番目のお子さんを出産された時は、大学病院に勤められていたそうですが、育児休暇や産休は取れたのですか?
産休や育休を取る前例もありませんでしたし、制度について医局も知らなければ誰も知らないので、自分でいろいろ調べて事務とかけ合いました。ようやく産休や育休をとっても、当時助教というポストを持って休んだ人はいなかったので、復帰してからも難しかったです。

大学病院というのは夜働いてなんぼ、当直できない医者なんて医者じゃないというような世界です。18時まで一生懸命働いたとしても、起きている子どもに会えるのは1~2時間。それは私にはすごく辛いことでしたが、同僚にすると、「そんなに早く帰るの?」となるんですね。

当直明けでも普通に働いている人が多い中、18時に帰るのはかなり肩身が狭かったです。二人目を出産するとなると、「仕事する気あるの?」という感じで、当時の職場でかなり浮いてしまいました。

こどもは3人欲しかったので、その職場でこれ以上、育休のみならず産休を取得するのは不可能だと思いました。それに、私はもっと多くの人に無痛分娩を広めたい、産科麻酔の正しい知識を啓蒙していきたいという思いがありましたが、大学病院で働いているとそれはできないので、退職してこのバルモア病院に移りました。
パルモア病院に来られてから3人目を出産されました。
パルモア病院に来たのが38歳、もう3人目は無理かなと半ば諦めていましたが、この病院には40歳以上の初産婦さんもたくさんおられて、助産師さんたちの産後ケアも非常に素晴らしい。ここの助産師さんや看護師さんたちは、育休を取ると戻ってこられて、子育てしながら勤務する。こどもの運動会や音楽会には参加する。それがすごく自然な環境なんです。
その違いは何だと思われますか?
院長ご自身がやはり非常に理解ある方だと思います。「女性が働く」というより、「人が働く」ということに対して理解があるという感じですね。他の男性医師も同じように非常に理解があるんです。「子どもが産まれると辞められたら困る」という考え方も、それは間違いでは無いと思います。ですが、ここの先生たちは、辞められたら困るというよりも、ずっと一緒に働きたいというのが根底にあると思います。

私が産休を取れば、やはり無痛分娩がストップしますので、病院側も本当は困ることなんですが、第三子を妊娠した時、院長に「あの、お話があるんですけど」と言うと、「おめでたやろ?おめでとう!」って先に仰ったんです。産婦人科の先生にも、「すみません、ご迷惑かけます」というと、「おめでたいことやのに、なんで謝るの?」と言われました。大学病院では妊娠しましたと言い辛かったので、やっぱり人の壁が一番大きいと思います。人が多いとそれだけ考え方も多様になります。
働く女性医師にとって、子どもを産み育てるには何が一番必要だと思われますか?
やはり男性の医師もきっちり休みを取れるよう、制度を見直す必要があると思います。当直明けは働かないとか、有給は全部消化するとか、そういうところから始めないと、なかなか改善されないと思います。

これは私個人の考えですが、やっぱりプロとして働くには、仕事に穴を開けちゃいけないと思うんです。それにはまわりに頼るということが非常に重要になります。子どもが急に熱を出すのはしかたないことですが、その時にどう対応できるか、どんな受け皿を持っているかです。

保育園のお母さんや近所の方など、困った時に助けてくれる人をたくさん作ることで、いろんなパターンの選択肢を持ち、前もっていろんな情報を入れておくことですね。「子どもが熱を出したので休みます。でもプロとして働きたいです」というのは、どの職種においても難しいと思います。
魚川さんの今後の展望は?
無痛分娩は今、妊婦さんの5%も受けられていません。無痛分娩が誰でも受けられる時代になるには、まず技術を持っている医者が増えることと、一般の方に無痛分娩の正しい知識を知ってもらうこと。そのためにも、一般の人へ啓蒙をしていきたいですし、できれば後進の指導もしていけたらと思っています。
仕事と子育ての両立に迷う女性へメッセージをいただけますか
よく「特殊な環境だから両立できるのよ」といわれますが、その「特殊な環境」は初めからあたえられたものではなく、常に「どうすれば両立できるか?」と、自分で開拓していって作り上げたものです。

子育てしながら働く女性たちは、皆さんすごく努力されています。国や社会の制度に頼るといった、誰かが何かをしてくれるんじゃないかと待っているようじゃいけないと思います。

私もよく「どうやって両立しているんですか?」と聞かれますが、みんな自転車操業でなんとかしているのですから、ラクしてどっちも得ようという考えでは両立は難しいと思います。いろんな方のいろんな方法がありますが、それはあくまでも他人の方法です。自分の方法を切り開いていくしかないと思います。まずは1歩踏み出してください。
ありがとうございました。
(取材:2014年11月 関西ウーマン編集部) 

 

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