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■関西ウーマンインタビュー(医師)


永木 恵美子さん(歯科医/きょうばし矯正歯科クリニック)

 
永木 恵美子さん  きょうばし矯正歯科クリニック院長
大阪歯科大学卒 大阪歯科大学助教、指導医として教育、研究、臨床に従事後、平成25年きょうばし矯正歯科クリニック開院。歯科矯正学博士 日本矯正歯科学会指導医、日本舌側矯正学会認定医 一児の母
きょうばし矯正歯科クリニック
〒534-0024 大阪市都島区東野田2−3−19 MFKビル4F
Tel(06)4801-9055
火水金:12:00-19:00 土日(隔週):10:00-17:00 ※予約制

http://www.kyobashi-kyousei.com​
 
永木さんが歯科医を目指されたのはなぜですか?
家族や親戚に歯科医はいませんが、女性として経済的にも社会的にも自立するためには何か資格が必要だと思っていました。教師か歯科医かどちらかになりたいと思っていて、教育学部と歯学部に合格しましたが、細かい作業が好きだったので歯学部を選びました。

歯科大を卒業した後、そのまま歯科大の教員として残ったので、歯科医と大学の教員という2つのキャリアを持つことができたのはラッキーだったと思います。
矯正歯科を選ばれたのは?
歯科大の学生時代に自分自身が矯正治療を受けて面白かったというのもあります。私は、昔すごい出っ歯で歯がガタガタだったんです。人前でしゃべるのも恥ずかしかったし、食事をするのもつらかった。そこで、矯正治療を受けると、そのコンプレックスもなくなり、笑顔に自信が持てるようになったことが矯正が好きになったきっかけです。

もう一つは、女性歯科医師はキャリアを継続するのが難しい現実があります。統計でも論文でも公表されていますが、妊娠、出産でキャリアをあきらめる、もしくは、復帰できても、元のポジションに戻れる可能性が厳しい現実があります。

そこで、歯科医師として特別な技術をもっていないと淘汰されてしまう、何かスペシャリストにならなくてはいけないと考え、矯正を選びました。矯正治療は習得するには時間がかかりますが、その点、スペシャリストは少なくなります。
教員として6年勤務されたあと開業されましたが、どんなクリニックにしようと思われましたか?
大学病院というのは教育機関ですから、教育と研究、臨床の3つの柱があるので、もっと患者さんにいろいろやりたいと思っても、いろんな制約があってできないこともあります。

たとえば「舌側矯正」といって歯の裏に装置をつける矯正治療があります。大学病院は矯正歯科医師を育てる研修期間ですので、高度なテクニックを必要とする舌側矯正はすることはできません。教育のため、従来の表からつける矯正装置しか選択ができませんでした。

しかし、舌側矯正は表から全く見えないので、女性や結婚式が迫っている方にはとても好評なんです。最近はお嫁入りの道具として、結納の代わりに矯正費用を出していただく方もいますよ。箪笥や着物をいただくよりも一生の財産になりますから。

あと私は顎変形症という手術も対応しますが、顔の変形に悩んでいる患者さんってすごく多いんです。手術をすると顔がまっすぐになるので、コンプレックスも改善されます。発音もよくなったりするんですよ。美容整形のように思われますが、実は病名がついているので保険診療になります。

矯正歯科の患者さんの9割は女性なので、こうした女性の気持ちに沿った治療ができるよう、患者さんとのコミュニケーションの場を作りたいと思い、開院しました。
永木先生は女性歯科医のキャリア継続もテーマだそうですね。
女性の歯科医師で、出産を機に辞めてしまう方や、現場に戻ってこれなくなった方をたくさん見てきたので、女性がどうやってその壁を乗り越えることができるのかと悩んできました。その手伝いも私の役割の一つだと考えています。

歯学部に入学する学生は現在、比率では半分位女性が占めているのですが、女性の開業医って少ないですね。女性教授などの役職をもった人も少ないです。

歯科医院はすごく増えて競争も厳しいので、夜9時まで診療するスタイルも増えていますし、歯科医師が休むと病院が回らなくなる。するとやっぱり、子どもがいて週3回しか働けない人より、若くて毎日遅くまで働いてくれる人のほうが良いので、女性歯科医師は使いづらい存在ではあるんです。

でも歯科医は1回辞めてしまうと、カンが戻らなくなってしまいますから、一度現場を離れると戻ろうという心も萎えてしまうんです。それまでの勉強や努力が本当にもったいないと思います。
女性歯科医の支援やサポートを考えておられるということですが、具体的には?
私は教員時代に結婚し出産しましたが、出産後復帰するのが本当に大変でした。低体重児すぎて保育園に入れず、2か月で復職したため、ベビーシッターに毎月28万円払って、給料が右から左へ流れていったので、本当に何のために働いているのかわからなかった時もありました。寝不足で激やせもしました。やはり理解のない言葉に悩むことも多くありました。

でも、周りの人が少しずつ助けてくれたので、なんとかキャリアを中断させずに継続できたのです。助けがなかったら、私もキャリアをあきらめていたでしょう。それを、どの女性歯科医師にも、その助け合いの機会を与えたいのです。

例えば、後輩や仲間の先生たちが出産や家族の事情で休まなければいけないとき、私や他の仲間を紹介して、患者さんや病院に迷惑をかけないように代理で診療に行くと、安心して休めますし、戻れる体制ができます。

また辞めてしまった場合も、キャリアを断裂させないために、月に1回でも2回でも良いから、このクリニックで診療をすることで、診療の勘どころを戻したり、現場に戻れるチャンスもできます。少しずつでもそういうサポートがあると、お互いにキャリアを継続して助け合うことができるんじゃないかと考えています。
ドクターといえばいつでも仕事ができると思いがちですが、現状は大変な環境なんですね。
矯矯正歯科自体は一般化してきていますが、女性の矯正歯科医は一般化されていません。また、統計では女性歯科医師は男性歯科医師よりも活躍の場も少なく、年収も少ない結果が出ています。

でも患者さんは圧倒的に女性が多いですから、女医のほうが女性の気持ちが分かるし治療が丁寧な方が多いので、ニーズはすごくあると思います。

女性の矯正専門の開業医は、大阪では私を含めて6~10人。関西全部でも20人ほどです。つまり、女性矯正歯科医のロールモデルが身近にいないんです。

出産後、両立が難しくて辞めたくなってしまう方も多いですが、月1回だけでもいいから継続できれば、将来の自分の生き甲斐に繋がります。自分らしく生きるためにも、継続することが大切だと思います。
虫歯治療と違い矯正はやっぱり女性に相談したいですよね。これからの展望は?
患者様の利益が第一優先ですが、働く女性たちがイキイキと長く輝く世界を築いていきたいですね!自分の仕事に誇りを持っているスタッフは、きっと素晴らしい医療を提供できると信じています。
ありがとうございました。
(取材:2014年10月 関西ウーマン編集部) 
 

 

 

 


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