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■関西ウーマンインタビュー(アカデミック編)


草島 葉子さん(学校法人興國学園 興國高等学校 理事長 校長)

愛し愛される活動があるから、先生は癒される。

草島 葉子さん
学校法人興國学園 興國高等学校 理事長 校長
祖父から父へと受け継がれてきた、伝統ある男子校の3代目校長を務める草島葉子さん。教員免許を取得するも、男子校という男性社会では役に立たないのではないかと、一般企業で研修講師などの業務を担当。

そこで、社会でどんな人材が求められているのか、高校3年間で学ぶべきことを改めて知り、子供の頃から一緒に育ってきた興國高等学校に戻られたのだそうです。

まさに少子化の荒波の中で、事務職からの再スタート。祖父や父が大切にしてきた”オンリーワン教育”を掲げ、2000名を超える人気校にまで改革してきた手腕や、男子校での女性校長として心がけていることなど、お話をお伺いしました。
3代目の女性校長
先生で3代目の校長になるそうですが、校長に就任したきっかけは?
本学園は、祖父の草島惣治郎が設立に関わり、父の草島一へ受け継がれました。私にとっては物心ついた時から慣れ親しんだ学園であり、生徒さんとともに過ごして参りました。体の一部と言ってもいい存在です。

大学では教員の免許を取得し、英語科と社会科の教師を経験しました。でも本学園は男子校ですので、私はミスマッチだなと思っていました。このままでは何の役にも立たないと思ったので、一度外の企業で仕事をしてみようと大手企業やPHP研究所で研修講師を務めました。研修を通して、安定していると言われる大手企業でも激動の風が吹くんだなと実感しました。

祖父と父が必死に仕事をした学園です。愛着もありますし、体の一部のような学校ですから、いよいよ少子化で大変だというときに、私も一度ここで仕事をしてみたいなと思いました。

父に「働かせてください」と頼んだ時は、嫌がっていましたね。すぐに辞めるのではないかと(笑)教員として呼んでくれるのかと思いきや、事務職からのスタートでした。

そして事務長になり、副校長に就任してからは、本当に好き勝手やっていましたね。それを父は我慢してやらせてくれました。何もせずにじっとしていても学校がなくなるのがわかっていたんでしょう。いい我慢だったと思います(笑)
父から託された、”オンリーワン”のメッセージ
今では2000人を超える人気の男子校ですが、人気の秘訣は何ですか?
いろんな子供たちが楽しめるように、そして一人ひとりがオンリーワンで自分の存在意義を確認できるシステムを作らなければいけないと、父から教わりました。

人はいろんな部分でよいところを必ず持って生まれていて、天命といわれる使命を持っています。自分を磨いてひとりの存在を表すこと。ひとりの存在を輝かせることが、全体を照らすことになるんです。

大学合格実績だけでもダメだし、一人ひとりの生徒が愛されていることを実感できる教育。父はそれを「愛の教育」と呼んでいましたが、そういった学校教育をしなければならないなど、たくさんのことを教わりました。

本学園にはいろんな生徒がいます。サッカー選手を目指してくる子、中学時代は不登校だった子、発達障害を抱えている子、施設から通ってきた子もいます。どんな子も必ずどこかにはまる場所があるんです。

一人ひとりに寄り添って学校の中に居場所ができれば、翼をおろしてくれます。そのきっかけ作りができて友達ができれば、すくすくと育っていきます。そういう成長を見るのは楽しいですね。今では専願者だけで募集定員を大きく上回り、男子校ながらも大規模な学校です。
コースが非常に細分化されていますね。
普通科とITビジネス科があり、多彩なコースを設定しています。勉強を頑張るアドバンス、公務員を目指すキャリアトライ、勉強もスポーツも頑張るアスリートアドバンス、まだ道が定まっていない生徒に向けた幅広い学びの場がある進学アカデミアコース。さらに簿記や各種検定を目指すITビジネス科があります。

それぞれに特化した教員がいます。サッカーやラグビー、テニスなどスポーツだけでも31名。また教科に特化した教員や、キャリアトライでは公務員試験対策のオリジナルテキストなど、生徒の夢を実現するためのサポートをするのが校長としての私の仕事。

京都大学合格者もいれば、警察官などの公務員試験合格者、プロサッカー選手など、なんでも目指せる学校なんです。
男子校ならではの教育
共学校が多い中で、男子校にこだわっているのはなぜですか?
実は一度、20年ほどの期間だけ共学になった時期があったそうなんです。確かに今は男女共学がベースになっていますが、男女では思考のパターンや体力が違います。男の子ばかりで同じ目的を持った仲間とたくさん磨きあえば、切磋琢磨できて成長が早いんです。

男の子は大きな群れを作って、人と広くつきあうことができます。段取りよく行動するのは苦手だけど、一つのことを極める力はピカ一。そして極めるには体力や気力が必要です。そういった特性を磨いてあげることで、いろんな持ち味を生かすことができるようになるんです。

男の子の教育の質を上げようと思ったら男子校に戻した方がいいと、祖父と父が決断したと聞きました。共学もいいけど、そこは他校にお任せして本学園ならではの男子校を目指していこうと。マーケットが半分になってしまうわけですから、今思えばとても勇気のある決断だったなと思いますね。
男子校を経営する上で難しかったことは?
もう少し体力があればよかったかなと(笑)男子校だからご飯も倍の量が出てくるし、修学旅行もタフなんです。一度研修旅行の下見でオーストラリアへ行った時にラフティングをやって、私でもできたんだから高校生でもできるかな、なんてこともありました。

無人島サバイバルキャンプをやれば陣中見舞いで無人島まで足を運びますし、寮生の子たちの食事にも付き合います。中には母性を求めている子もいて、私が母性になるかどうかはわかりませんが、生徒たちが困っているときなどよく声をかけたりします。
お忙しい中で、そこまでされるんですね。
大阪府中学校高等学校連合会や高野連の副会長をしていますし、学校は朝早く夜も遅いので忙しいのは忙しいですね。それを苦労とは感じたことはないです。学校も最近では実績で評価されますが、預かっているのは命です。いろんなことがあって、むしろ毎日が新鮮でどきどきです。

いろいろな子がいて、100%の家庭なんてありません。それを学校や地域、仲間の力で埋めていくんです。そういう意味では学校の存在は大切なんです。大変ですが、目の前で人が喜んでくれたり感謝されたり、素直な気持ちの交換ができるのが嬉しいですね。
女性校長としてのキャリアで苦労されたことはありますか?
私自身は体の一部のような学校ですから違和感はありませんでしたが、周りの方は違和感を持っておられたかもしれませんね。

男子校で、教員の多くが男性ですから完全に男性社会。男性社会の中での女性だから、比較対象になったりライバル意識を持たれることもありませんでしたね。むしろ、本当に大事にしてもらっています。頑張っただけのことはしてくれますので、ありがたいですね。

父が私にやらせてくれたのも、男子ならもっと期待していたのかもしれません。期待していなかったから、ちょっと頑張れば評価してもらえたんじゃないかなと(笑)そういう意味では女性は規格外なんです。捉え方は人によって違うかもしれませんが、私はラッキーだと思っています。

話し合いや交渉の席でも、女性と男性は視点が違うんです。男性同士だと触れない部分にも、女性は切り込んでいくことができます。子供のころから母親にいろいろ言われて育っている男性は、女性に言われることには寛容なんです。(笑)

かかあ天下なんて言葉がありますが、男性はこの人の言うことが間違っていないとわかればついてきてくれます。これは日本社会のいいところ。男子校だから私はやってこれたんだと思います。

もちろん私学を存続させることでの苦労はあります。でも目の前で人が喜んでくれている。常に目の前で生徒たちがニコニコしてくれているのを見たら、頑張らないとダメだなと思いますね。愛し愛されることの活動があって、先生は癒されるんです。だからやりがいがあるんです。
忙しい校長職の中で、ワークライフバランスはどうやって取られているのでしょうか。
いつも心の中で感性を豊かに刺激を求めて歩くことを大切にしています。美味しいものを食べたり海外旅行に行ったり、それも楽しい経験ですが毎日は続けられません。道を歩いていてお花が咲いていたら素敵だなと思ったり、こんなテラスで本を読んだら気持ちがいいだろうなとか。時には女性経営者同士で気軽な会話を楽しんでみたり。

毎日の生活の中にワークライフバランスがあると思っています。日常と違う時間を楽しみ、無駄と思われる時間の積み重ねを大事にしています。
学校教育を通して変わったこと
学校教育を通して、ご自身の中で変わったと思うことはありますか?
いろんな生徒の成長を見ることができます。こっちの道がダメでも別の道があって、あきらめなくていい。ひとつの道をこつこつ頑張ることもできます。そんな生徒たちの姿を見ていたら、私ももっと頑張らないといけないなと。

子供は本当に無限の可能性を持っているんです。サッカーが大好きだった子が病気で骨盤を半分なくしてサッカーができなくなったけど、サッカーの香りがする学校に進学したいと本学園に入学してきた生徒がいました。その子はここで松葉杖でするアンプティサッカーと出会い、日本代表にまでなったんです。

それだけでも驚きでしたが、「僕はこんな病気になってしまったから、医学の道に進みたい」といって薬学部に合格したんです。この子の天命は病を通してサッカーをやること、そして医学の道に進むことだったのかなと思いました。

そんなすごい壁にぶち当たっても、それを乗り越えていく力のというものを毎日子供たちから勉強させてもらっています。子供の力や可能性はすばらしいですね。教育の現場だから純粋なんです。心洗われることがあって、気持ちがいつも青春していられます。できる子ができたら嬉しいけど、できない子ができたらより一層嬉しいんです。

これは先代である父の言葉でもありますが、人間力をつけることが大切。勉強の知識やサッカーの技術をある程度持っていても、それだけではダメ。教育のシステムとして、バラエティに富んださまざまなものを体験して人間力がつけば、魅力的な人になれるんじゃないかなと思います。

大変なことも多々ありますが、男子校の女性校長として結構楽しく仕事をさせていただいています。
草島 葉子さん
大阪教育大学付属高校平野校舎を卒業後、神戸女学院大学文学部に進む。高校での教員を経験したのち、人材派遣会社、研修会社などで育成や研修企画、コンサルティングを行う、主な担当企業はJR東日本やNTTなど。その後PHP研究所で研修講師を務め、平成9年より興國学園に理事として勤務、事務局長、副校長を経て現在に至る。大阪教育大学夜間大学院スクールリーダーコースでは講師も務めた。少子化の中、変化の速い現代の教育において様々な改革を行い、男子校ながら専願者が定員を大幅に上回る人気校を作り上げた。最近ではテレビや雑誌などにも取り上げられる今話題の学園経営者でもある。
学校法人興國学園
大阪市天王寺区寺田町1-4-26
HP: https://www.kokoku.ed.jp/
(取材:佐藤裕子/2018年4月)

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