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■関西ウーマンインタビュー(アカデミック編)


橋本 信子さん(流通科学大学 商学部 特任准教授)

 
橋本 信子さん  流通科学大学 商学部 特任准教授
同志社大学大学院法学研究科政治学専攻の博士課程を出て、2003年に同学部で嘱託講師(非常勤)として授業を持つ。はじめて担当したのが「アカデミック・ライティング」という授業で、1年生に大学での学び方(読み書き発表)を手ほどきするもの。その後複数の大学で同様の科目や政治学などを教える。2011年から大阪商業大学、2015年4月から流通科学大学で初年次教育の専任教員として勤めている。研究分野はロシア東欧地域研究
もとも政治学を専攻されていたそうですね
高校生時代、英語が好きで、海外や国際関係の仕事に憧れていました。当時、旧ソ連のゴルバチョフ氏が活躍されている時代だったので、「世界が変わっていくんだ」と世界の政治情勢に興味を持ち、政治学を専攻しました。大学2年生の時、短期留学で行ったレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)で、国が変わろうとしている、その変わっていくところを見たい、ロシアの政治を研究したい、もうこれしかない!と魅了されました。
その後大学院に進学されました。
当時バブルがはじける少し前で、就職は有利だったのですが、それで逆に大きく出てしまったんでしょうね。このまま勉強していても、何となく生きていけるような気がして、就職は考えませんでした。

大学4年の卒業旅行で、チェコ・スロバキア・ハンガリー・ウィーンに友人と行ったのですが、チェコにすごく興味を持ったんです。街もきれいだし、小さい中に全てが詰まっている。それからです。「私、チェコやります」と、あっさりロシアからチェコに鞍替えして、一からチェコを研究しはじめました。
その後大学に約10年、長く在籍されていましたね。
2003年に大学で教え始めるまでずっと大学院に在籍していました。修士の頃はチェコの研究に必死で、なんとなくこのまま何かあるだろうと考えていましたが、博士課程に入ってから、少し燃え尽きたんでしょうね。このままマイナーな分野の研究を続けていて、果たして意味があるのかと思うようになったんです。

大学の外に出て、何かの職に就くことを考えた方がいいかもしれないと迷っていました。その後、大学院の先輩である夫と結婚し、夫から「研究を続けてみたら?」と励まされ、なんとか踏みとどまって研究を続けることができました。
始めて教壇に立たれたのが母校の同志社大学。
長男を出産し子育てに専念していた頃、母校の同志社大学で非常勤講師の話をいただき、「アカデミック・ライティング」の授業を担当することができました。「アカデミック・ライティング」とは、大学初年次の学生たちを対象に、複数の教員でチームを組んで、読み書きを教える科目ですが、それがすごくおもしろかったんです。

大学に入っても案外、学問の方法というものを教わることが無いので、文章の書き方にしても、高校までに教わった感想文や小論文を書くことしか経験がありません。レポートといっても、単に切り貼りして出せば、ゼミの先生が真っ赤にして返すという、書いて直してもらうことしか知らないんです。そうじゃなくて、発想のしかたや組み立て方には、「やり方」というものがあるんだと、私自身がようやく大学の勉強のやり方が分かったと思いました。

この手ほどきを受ければ、1年生からこんなに勉強できる。これってすごく意味があることだと思ったんです。ずっと自分の研究に意味があるのかという思いを抱えていましたが、学生に教えることで、自分が研究することの意義も見いだせるようにもなりました。

その後少しずつ他大学でも非常勤のお話をいただいて、年々担当科目が増え、2011年大阪商業大学に専任の教員として着任しました。ここでは初年次教育やアカデミックスキルを学ぶ科目、そして学習支援講座の立ち上げに携わりましたが、2015年任期満了のため退職しました。
今年(2015年)から流通科学大学で、初年次教育を担当されています。
現本務校では、将来の進路を考えるための科目(自己発見とキャリア開発)や、文章表現、時事問題を担当しています。流通科学大学は実学志向なので、はじめにいろんな職業の人の話を聞いたり見たりすることで、将来どんな風に生きていきたいかを考えるきっかけを体験するプログラムがあります。その後、自分の学科の特徴を知り、勉強のしかたを学ぶ導入科目が始まります。

今年(2015年)4月に着任したばかりですが、初年次教育チームが一丸となって学生を育てる仕組みや授業を先生方と一緒に作っていきたいと考えています。
今の学生さんに伝えたいことは何ですか?
学生時代はいろいろ見て聞いてたくさん経験して欲しいのですが、基礎的な勉強は絶対に必要だと考えています。まず基本があってこそ。それができていれば、どこに進もうが使えます。勉強も、与えられる問題を待って解くだけではなく、自分で考えて自分で探す。その手ほどきを私たちがするので、早い段階にしっかり身に着けることです。

ものを見るときも、ただボヤンと見ているんじゃなくて、或いは新聞や本を読んでも、そのまま鵜呑みにせず、自分の中で疑問を持って問いを立てる。いろんな発想を持ってみるということを、学生達には叩き込みたいです(笑)
今は情報が溢れているので、迷いすぎてしまう学生も多いです。
好きなことはあるけど迷ってしまうのは、まだボヤンと好きなんです。それをもう少し突き詰めて、それこそ学問的に見て欲しいと思うんです。アニメでもファッションでも、それが学問になることもあれば、職に結びつくこともあります。それはどんな発展性があるのか、そもそも何故かと分解して考えてみると、好きなことも、ただ「好き」だけじゃなくなってくると思います。

車が好きという男子も、それを突き詰めてみると、車だって学問としてみることができます。すると「大学っておもしろい」となるんですね。今までとは違う、クリティカルなものの見方を学ぶところが大学なんです。
ワークライフバランスはどのように考えておられますか?
夫も大学で教えていますが、研究・教育分野もほぼ同じなので、仕事の内容や実情は理解しあえています。「どちらかがどうすべき」ではなく、なんでも2人で協力しあう方針でこれまでやってきました。 私たちのような職種は、いつでもどこでも教育や研究のことを考えています。なにを見ても聞いても、そちらに繋がっていきます。「仕事を家庭に持ち込まない」どころか、教育・研究について、家庭内でたくさん話して相談して、助言しあっています。

その姿を見て育っているので、子どもたちは、母親が仕事で不在であろうが、家で仕事をしていようが、両親が仕事の話を延々続けていようが、それが普通の状態と思っています。家族の理解という点では悩みはありません。

ただここ数年、私が遠距離通勤のため、夫の家事育児の分担がかなり多くなっています。家や子どものことに手をかける時間をたっぷり取れているとは言いがたいですが、その中でも学校や地域の役員は容赦なく当たりますし、学校行事や習い事には夫婦のどちらか、あるいは二人でなんとか時間を作っています。今中学生と小学生ですが、どちらも生後10か月から保育園に通わせましたが、そのおかげで社会性や生活技術が身についたと感謝しています。そうした社会的な支援は非常に重要で、必要であると強く思います。
大学の先生になるためには?
ドクター(博士課程)まで残ってしまうと、ほぼ研究者か大学で教えるかになるかと思いますが、そのポストがほとんど無いのが現状です。一つのことを極めるのはもちろん大切ですが、研究分野によっては就職の口はなかなかありません。研究者のための公募サイトはありますが、1つに何百人と応募してくるので非常に厳しいです。

また、今の時代は「自分の学問だけ研究する人」ではなく、普通の社会でも通用できる人が求められている気がします。結構チームを組むことも少なくないですし、地域の方や企業など、いろんな接点を求められるので、人との縁やコミュニケーションはすごく重要です。

自分の研究だけというわけにはなかなかいきませんが、いくつか「得意」を作れば評価してくれる人は出てくると思います。諦めないで続けること。しかしそれでも就職という点では、がんばったからといっても報われるとは限らないのがこの世界です。その覚悟と備えは必要です。
ありがとうございました。
取材協力:
流通科学大学
〒651-2103 兵庫県神戸市西区学園西町3−1
http://www.umds.ac.jp/

(取材:2015年5月 関西ウーマン編集部) 
 

 

 

 


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