HOME ■関西ウーマンインタビュー(レッスン教室) ヒメノルミさん(着付け講師/『アンティークキモノ ヒメノルミ』主宰) 前のページへ戻る
■関西ウーマンインタビュー(レッスン教室)
ヒメノルミさん(着付け講師/『アンティークキモノ ヒメノルミ』主宰)
キモノを着ることで、自分らしくあることを楽しんでほしい
ヒメノルミさん
着付け講師
着付け講師
羽織紐にはブレスレット、帯留めにはリボン型のブローチ、帯紐にはポップなミズタマ&ストライプの靴紐を。ヒメノルミさんの着物姿を見ていると「小物を組み合わせて、アイデア次第で、こんなふうに楽しく、おしゃれに着こなせるんだ!」と心がときめきました。
ヒメノさんは、個人のおしゃれとして楽しんでいた着物をお仕事に。今年で12年が経ちます。お仕事をする上で大切にしていることは、「着物を着ることで自分らしくあることを楽しんでほしい」。それは一体、どういうことなのでしょうか。
ヒメノさんは、個人のおしゃれとして楽しんでいた着物をお仕事に。今年で12年が経ちます。お仕事をする上で大切にしていることは、「着物を着ることで自分らしくあることを楽しんでほしい」。それは一体、どういうことなのでしょうか。
着物を着ると楽しいことがいっぱい!
着物を着るようになったきっかけは?
日本舞踊が趣味の祖母から「せっかく着物があるのだから、着られるようになったら?」とすすめられて着付け教室へ。
自分一人で着られるようになったものの、祖母の着物は「The 和服」・・・残念ながら着てみたいとは思えませんでした。
それがたまたま『KIMONO道』(現在は『KIMONO姫』)という雑誌で、アンティーク着物を知って、「なんてかわいくてお手頃価格なの!」とときめいたんです。
戦前の着物はアール・デコの影響を受けていて、色や柄が斬新でモダン。いわゆる「昭和のお母さん」が持っているような着物とは印象が違います。
古着だから、中には5000円程度で購入できるものがあって、洋服の値段と変わりません。
アンティーク着物を集め始め、飲食店や美術館などにおでかけする時に着るようになりました。すると、行く先々で楽しいことがいっぱい起きたんです。
自分一人で着られるようになったものの、祖母の着物は「The 和服」・・・残念ながら着てみたいとは思えませんでした。
それがたまたま『KIMONO道』(現在は『KIMONO姫』)という雑誌で、アンティーク着物を知って、「なんてかわいくてお手頃価格なの!」とときめいたんです。
戦前の着物はアール・デコの影響を受けていて、色や柄が斬新でモダン。いわゆる「昭和のお母さん」が持っているような着物とは印象が違います。
古着だから、中には5000円程度で購入できるものがあって、洋服の値段と変わりません。
アンティーク着物を集め始め、飲食店や美術館などにおでかけする時に着るようになりました。すると、行く先々で楽しいことがいっぱい起きたんです。
着物を着て出かけたからこその「楽しいこと」とは?
着物は特別感があるので、着ただけでとてもおしゃれした気持ちになります。出かければ、「素敵ですね」とほめられたり、お店で店員さんに親切にされたり、道端でおばあちゃんに「なつかしいね」と声をかけられたり。
大人になると、知り合いはできても友だちはできにくいと思っていたのですが、着物をきっかけに、はじめましての人とも「それ、かわいいですね」「どこで買ったんですか?」から話が弾んで、一緒におでかけしたり食事したりすることもありました。
また、着物は身につけるものだから、写真や編み物など趣味と組み合わさるから、さらに輪が広がっていく! 着物を着るのはとても楽しいから、みんなも着たらいいのにと思うようになりました。
大人になると、知り合いはできても友だちはできにくいと思っていたのですが、着物をきっかけに、はじめましての人とも「それ、かわいいですね」「どこで買ったんですか?」から話が弾んで、一緒におでかけしたり食事したりすることもありました。
また、着物は身につけるものだから、写真や編み物など趣味と組み合わさるから、さらに輪が広がっていく! 着物を着るのはとても楽しいから、みんなも着たらいいのにと思うようになりました。
「何のために」というところに立ち返る
個人のおしゃれとして楽しんでいた着物を、どうしてお仕事に?
着物を着るようになって2年くらい経った頃でしょうか。骨董市で買ったアンティーク着物や帯をネットオークションで販売したら、買ってくれる人がいて楽しいなあと。
そんな時、「ならまち」を歩いていて、いい感じの物件があったので、気づいたら借りていました(笑)。今思えば相当気軽な気持ちでお店を開いていたんです。
最初は着物販売だけだったのですが、自分で着付けできない人にも着物を着てほしいと「着物レンタル&着付け」を、次は、せっかく興味を持ってもらえても、自分で着付けできないと日常で楽しんでもらえないから「着付け教室」を始めました。その間に2度ほど移転して、2012年から現在の場所です。
ここでは、着付け教室をメインに、アンティーク着物等のネット販売やイベント開催・出店、着物スタイリングも行なっています。
そんな時、「ならまち」を歩いていて、いい感じの物件があったので、気づいたら借りていました(笑)。今思えば相当気軽な気持ちでお店を開いていたんです。
最初は着物販売だけだったのですが、自分で着付けできない人にも着物を着てほしいと「着物レンタル&着付け」を、次は、せっかく興味を持ってもらえても、自分で着付けできないと日常で楽しんでもらえないから「着付け教室」を始めました。その間に2度ほど移転して、2012年から現在の場所です。
ここでは、着付け教室をメインに、アンティーク着物等のネット販売やイベント開催・出店、着物スタイリングも行なっています。
最初は「相当気軽な気持ちで、お店を」とのことですが、どうして続けてこられたと思いますか?
今年で12年です。私が着物に興味を持った頃から状況もだいぶ変わりました。
当時はアンティーク着物くらいしかかわいい色柄ものはありませんでしたが、デザイナーによる着物ブランドが誕生しています。
新品の着物で、洗濯しやすいものもありますから、着物の選択肢が増え、誰もが手軽に着られるようになり、日常の中で着物を着こなす人も増えました。
そんな変化の中でも、私にはずっと「着物の楽しさをみんなに知ってほしい」「着物を着ることで自分らしくあることを楽しんでほしい」という大義があるから、一度もやめようと思ったことはありません。
「どうしたら着物を好きになってもらえるだろう」「どうしたら着付けレッスンをわかりやすくできるだろう」といった小さな悩みはありますが、大きな壁や悩みに直面したことはなく、もしからしたら壁を壁と思わず突き進んでいるのかもしれません。
何かに迷ったり悩んだりすることがあっても、大義があれば、目印にして進めます。教室内容やイベントなどを考える時はいつも「何のために」というところに立ち返ることを大切にしているんです。
当時はアンティーク着物くらいしかかわいい色柄ものはありませんでしたが、デザイナーによる着物ブランドが誕生しています。
新品の着物で、洗濯しやすいものもありますから、着物の選択肢が増え、誰もが手軽に着られるようになり、日常の中で着物を着こなす人も増えました。
そんな変化の中でも、私にはずっと「着物の楽しさをみんなに知ってほしい」「着物を着ることで自分らしくあることを楽しんでほしい」という大義があるから、一度もやめようと思ったことはありません。
「どうしたら着物を好きになってもらえるだろう」「どうしたら着付けレッスンをわかりやすくできるだろう」といった小さな悩みはありますが、大きな壁や悩みに直面したことはなく、もしからしたら壁を壁と思わず突き進んでいるのかもしれません。
何かに迷ったり悩んだりすることがあっても、大義があれば、目印にして進めます。教室内容やイベントなどを考える時はいつも「何のために」というところに立ち返ることを大切にしているんです。
着物を着ることで、自分らしく
ヒメノさんの大義の一つである「着物を着ることで自分らしくあることを楽しんでほしい」とは?
「流行っているから」「みんながこれを着るから」ではなく、「自分はどうか。どうしたいのか」を大切にすること。
自分で、見つけて、選んで、着る楽しさを、着物を通して体験することで、それに気づいてもらえたら嬉しいなあと思っています。
着物の着こなしには、自分らしさを出しやすいと思うんです。パンツやスカート、ワンピースなどさまざま形がある洋服とは違い、着物は同じ形ですが、組み合わせる小物によって、自分らしさを出せます。
たとえば、ブローチを帯につけたり、草履の代わりにスニーカーを履いたり、帽子をかぶっても、ポシェットをかけてもいい。
自分の好きなものを随所にちりばめながら、さまざまなものを組み合わせても、着物というだけで「ちゃんとしている感」が出ます。
全身ピンク色でも、服だったら「えっ!大丈夫?」となりますが、着物なら着こなせるので、おもしろいんです。
着付け教室の生徒さんが着物を着ることを通して、変化していく姿を目の当たりにしたこともあります。
自分で、見つけて、選んで、着る楽しさを、着物を通して体験することで、それに気づいてもらえたら嬉しいなあと思っています。
着物の着こなしには、自分らしさを出しやすいと思うんです。パンツやスカート、ワンピースなどさまざま形がある洋服とは違い、着物は同じ形ですが、組み合わせる小物によって、自分らしさを出せます。
たとえば、ブローチを帯につけたり、草履の代わりにスニーカーを履いたり、帽子をかぶっても、ポシェットをかけてもいい。
自分の好きなものを随所にちりばめながら、さまざまなものを組み合わせても、着物というだけで「ちゃんとしている感」が出ます。
全身ピンク色でも、服だったら「えっ!大丈夫?」となりますが、着物なら着こなせるので、おもしろいんです。
着付け教室の生徒さんが着物を着ることを通して、変化していく姿を目の当たりにしたこともあります。
着付け教室の生徒さんがどう変化されていったのですか?
習い始めの頃は「好きじゃない人ともつきあわないとだめなのかな」と、いつも人に合せてつまらない思いをしていることを打ち明けてくれました。
着物を選ぶ時も「本当はこういう着物を着たんだけど、私には似合わないから」といったん諦めてしまう。
でも、着てみたら似合う。私や着物仲間から「似合うね」と言われると自信につながる。
そうするうち、「好きなピンク色の着物を着てみたい」と自分らしさを出してくれるようになりました。
すると、着物だけではなくて、日常でも自分の好きな人と遊ぶ、自分が楽しそうと思うイベントに行くなど、だんだんと変わってきて毎日が楽しくなったと話してくれたんです。
着物を選ぶ時も「本当はこういう着物を着たんだけど、私には似合わないから」といったん諦めてしまう。
でも、着てみたら似合う。私や着物仲間から「似合うね」と言われると自信につながる。
そうするうち、「好きなピンク色の着物を着てみたい」と自分らしさを出してくれるようになりました。
すると、着物だけではなくて、日常でも自分の好きな人と遊ぶ、自分が楽しそうと思うイベントに行くなど、だんだんと変わってきて毎日が楽しくなったと話してくれたんです。
着物を着ることを通して、自分自身を取り戻していくようですね。
「何を着ようかな」「何を食べようかな」「何を見に行こうかな」。日常の中にあるさまざまな選択で、自分がいいなあと思うことを選んでいく。
自分がいいなあ、好きだなあと思うことに素直になれたら楽しいし、迷わないのではないでしょうか。私自身、そういうふうにのびのびしてきた結果が今なんです。
人は人、自分は自分。着物を着ることで、自分らしくあることを楽しんでもらえたらと思っています。
自分がいいなあ、好きだなあと思うことに素直になれたら楽しいし、迷わないのではないでしょうか。私自身、そういうふうにのびのびしてきた結果が今なんです。
人は人、自分は自分。着物を着ることで、自分らしくあることを楽しんでもらえたらと思っています。
ヒメノルミさん
奈良大学文学部文化財学科卒業。ネットオークションでアンティーク着物の販売を始めた後、2005年に奈良町で店舗を構える。2012年には現在の場所に移転。着付け教室をメインに、アンティーク着物等のネット販売やイベント開催・出店、着物スタイリングも行なう。
ヒメノルミ着付け教室
アンティークキモノ ヒメノルミ
奈良県生駒市小明町1826-5
HP: http://himenorumi.net/
FB: himenorumi
BLOG: http://ameblo.jp/himenorumi/
(取材:2017年1月)
「着物を着ることで自分らしくあることを楽しんでほしい」、そのメッセージが心に残りました。日々、さまざまな選択をしています。「本当はこうしたいんだけど」という思いを抱えながら、「仕方ない」「そうせざるを得ない」と不本意な選択をしてしまうことも多いものです。中には、誰に言われたわけでもなく、ただ自分で自分を縛りつけている場合もあるのではないでしょうか。そんな選択を積み重ねていっていると、自分自身を見失うことがあります。
着物をどう着こなすか・・・着物や帯、小物を、自分が「好き!」と思う基準で選ぶことで、少しずつ自分自身を取り戻していく。その体験を通して、「そういえば、私はこんなものも好きだった」といろんなことを思い出して、自分らしく生きていく力を取り戻していけるのだろうなあとお話をうかがいながら思いました。
HP:『えんを描く』
着物をどう着こなすか・・・着物や帯、小物を、自分が「好き!」と思う基準で選ぶことで、少しずつ自分自身を取り戻していく。その体験を通して、「そういえば、私はこんなものも好きだった」といろんなことを思い出して、自分らしく生きていく力を取り戻していけるのだろうなあとお話をうかがいながら思いました。
小森 利絵
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
■関西ウーマンインタビュー(レッスン教室) 記事一覧
-
「手を使ってものづくりする楽しさを伝えたい」羊毛フェルトに出会い、「手の復権」伝えるかまいさん
-
「キモノを着ると楽しいことがいっぱい!」アンティーク着物とスタイリングでキモノの楽しさを伝えるルミさん
-
「サロネーゼ」は人と人とが関わり合う仕事サロネーゼを目指す方をサポートをする東城さん
-
「「世界で一つのスタジオ」を創りたい」バレエを通し自分の居場所を見つけられた上杉さん
-
「おうちごはん」で家族という最小単位から幸せになる大山崎で生活雑貨と暮らしの教室を主宰する森さん
-
「お茶を通して自分を知る楽しみ」茶道裏千家の講師をされながら、紅茶やハーブティなどをブレンドするお茶会コンシェルジュを主宰する晴子さん
-
「家族にパンを作る。その課程を大切にして欲しい」子ども達にパンを焼きながら自宅教室を始めて10年。京都町屋でパン教室を開く由香里さん
-
英国のル・コルドンブルーで学び、帰国後は人気パティスリー店で実務経験箕面でお菓子教室を開く塩谷さん
-
「好きな仕事を諦めて選んだ道。普通の努力じゃ普通にしかなれない」アナウンサーからパティシエに転身