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■関西ウーマンインタビュー(レッスン教室)


森 かおるさん(料理家/Relish主宰)

森 かおるさん (料理家/Relish(レリッシュ)主宰)
子ども服デザイナー・雑貨店店主を経て、民間の文化教室で料理講師を務めるように。結婚・出産を経て、育児に疲れている母親仲間や食生活のゆがみから健康を害している子どもを身近に見て、自宅で料理教室をスタート。その後拠点を移し2003年に生活雑貨と暮らしの教室『Relish(レリッシュ)』をオープン。
料理家として料理本の発刊や大手通販会社に商品企画・レシピ提案、大手出版社にレシピ提供、大手百貨店の販促ツール用献立・レシピ提案・監修の他、NPO・幼稚園・学校などで食育講座を開催。また地元・大山崎を活性化するために『山崎十日市』『天王山ファーム&フードマーケット』を企画・運営するなどしている。
生活雑貨と暮らしの教室 Relish(レリッシュ)
京都府乙訓郡大山崎町大山崎西谷4-6 HOTEL Dew大山崎2F
TEL:075-953-1292
HP: http://www.relish-style.com/
FB: https://www.facebook.com/relish.kyoto
料理教室と雑貨店を運営されていますが、最初からセットでの展開を考えていたのですか?
以前は子育てをしながら、自宅で料理教室を開いていました。子どもが小学1年生になった時、本格的に仕事としてやっていこうと考え、拠点を今の場所へ。その時、『Relish』としてオープンしました。料理教室だけというのは考えていなかったですね。食だけに注目するのではなく、「暮らしがあって食がある。食があって暮らしがある」。それが感じられる空間づくりをしたいと考えていたからです。
20代の頃から料理教室をされていたそうですが、30代になって、結婚・出産を経て、料理教室の内容が変わったそうですが、どのように変わりましたか?
以前から家庭料理をテーマにしていましたが、20代の頃は変わった食材や珍しい調味料を使うなど特別だったかもしれません。30代になって、今の“おうちごはん”になりました。身近で揃う食材や家にある調味料でつくることができる定番メニューづくりです。

そのきっかけは私自身が子育てを経験したことでした。子どもが食べることで日に日に大きくなっていくのを見て、「自分が作ったごはんで、子どもの心や身体が育っていく。これって、すごいことをしているんだ」と気づいたんです。

市販されている食品の添加物や残留農薬などが気になりましたし、作ったごはんには作り手の想いが表れますから、せめて家のごはんぐらいは自分で選択して、その材料でつくりたい・・・と。おうちごはんの大切さを実感したので、同世代やこれからお母さんになる人たちに伝えていきたいと考えたんです。
料理教室で大切にされていることは?
私は、毎日のごはんづくりは自分が家族にしてあげられる楽しみでもあると思っています。だから、毎日ウキウキしながら作るのは難しいかもしれませんが、いやいや作らなくてもいいようにできたらいいなと。

子どもや家族から「おいしい!」と言ってもらえたら嬉しいですし、子どもが嫌いな食材を食べてくれたら「やった!」という達成感もあります。作るのも楽しく、食べるのもおいしくというのを大切にしています。

今時、レシピはインターネットで検索すれば、たくさん出てきますが、食材の切り方や下ごしらえ、焼き方、盛り付け方など、ちょっとした一手間で、味がぐっと変わることがあるんです。

そういう部分って、意外とレシピには掲載されていないところ。そんな一手間ポイントをお伝えして、実際に作ってみることで体感してもらっています。

生徒さんからは「今までも同じものを作っていたけれど、全然違うわ」「手間がかかると思って、お店で買っていたけれど、簡単につくれるんや!」と喜んでいただいていますね。
男性の料理教室もされています。
男性の料理というと、そば打ちなど特別なイメージですが、普通のごはんをつくれる教室があるといいのではと、2010年からスタートしました。共働きのご家庭も多いですから、女性ばかりが仕事から帰ってきて、ごはんを作るという状態はしんどいですよね。だから、男性も週に1回でもいいですから、家族にごはんを作る人が増えていったらいいなと思ったんです。

また、高齢化社会で、奥さんに先立たれる男性もおられます。その時、何もできないという状態にならないためにも、男性の料理は必要だと考えたんです。
お仕事をされる中で、いつも心にある「想い」は何ですか?
自分自身の考えにブレはないか、スタッフは気持ちよく仕事ができているか、生徒さんや来店くださるお客さんに喜んでいただけているかなど、いろいろです。私は教室やお店って、生き物のようだと思っています。自分に迷いがあるとそれが表れます。

そういう時は理念に立ち返って、「この判断は間違っていないかな?」と確認します。特に、仕事や活動が多岐に渡ってくると、自分がやりたいことってどういうことなのか、想いや考えがぼやけてしまう恐れがあります。

儲かるからこういう方向性にしようとか・・・そうではなくて、理念を大切にしながら、教室とお店がまわっていったらいいなと思っています。オープン当初から支えてくれているスタッフがいるおかげで、一人で暴走せずに助けられていますね。
森さんが大切にされている『Relish』の理念とは?
家族という最小の単位から幸せになるということです。家族という最小の単位には、食があり、教育があり、介護がありと、さまざまな要素がつまっています。まずは家族が幸せにならないと、社会という大きな幸せになりにくいのではないかと考えているんです。とはいえ、自分たち家族だけが幸せであればいいというのではありません。その先に、社会とつながっていくことを前提にしています。
今後はどんな展開を考えていますか?
お店を始めた頃は、私も子育て真っ只中で、子育て支援などにも取り組んできましたが、10年以上も経つと、今度は介護問題が。料理教室の生徒さんにも、介護が始まって料理教室が続けられなくなったという人もいますし、これからますます身近な問題となっていきます。

“おうちごはん”としてやっていることが、介護でも活かすことができたらと考えています。高齢になると、自分でごはんを作るのがしんどくなってきます。

宅配の食事などもありますが、あまりおいしくないという話も聞きます。無農薬の野菜を使って添加物は使用せずに、お年寄りの方に食べていただけるようなお弁当の企画などしていけたらいいなと思っています。
ありがとうございました。
(取材:2015年8月)
取材:小森利絵
ライター/HP:『えんを描く』
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。


 

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