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■関西のウェディング業界で輝く女性たち


宮里 由理子さん(ドレスプロデューサー)


 
img宮里 由理子さん​:ドレスプロデューサー
PREMIER(株式会社 扇屋)
大学在学中、アルバイトで衣裳室の実務業務経験。株式会社扇屋に入社後、継続してホテル衣裳室の接客を経て、国内ドレスメーカー・インポートドレスの企画・仕入・デザインを手掛ける。

ウエデイングドレス自社ブランド「アットリーチェ」「エクセランクラシック」をはじめとする5ブランドを確立。実際の花嫁の意見を取り入れ、素材選びや体型を綺麗にみせるシルエットにこだわり、「女性が人生で一番美しく輝く日のためのドレス」を制作。

ドレスメーカーやデザイナーとコラボレーションしオリジナルドレスブランドを完成させた現在は、各ブランドのコレクション発表に向け、イメージを現実にする為更なる努力を続ける。またドレス以外にジュエリー、和装、タキシードの制作も担当。 
     
この業界に入ったきっかけは何ですか?
当社の社長である父親の影響もあって、幼い頃からドレスや和装を見る機会が多かったのですが、業界のことを詳しく知るようになったのは就職を考えた時期でした。

両親と相談する中で、父から「うちの現場でアルバイトしてみないか」と話がありました。当時は東京に住んでいまして、自宅から近いホテルの衣裳室に入ることになったんです。

実際に現場に入ってみると、感動させられる経験もたくさんあって、だんだん楽しくなり、ずっとこの仕事を続けたいと思うようになりました。5年のアルバイト期間を経て入社しまして、今はドレスの仕入れやプロデュ—スも行っています。
どんなアルバイト時代でしたか?
当時の現場は婚礼数の多いホテルでしたので、一人で抱える組数も多く、いろいろ大変なこともありました。正直ハードでしたね。女性が多い職場ですから、いろいろと大変なことも(笑) でも最初に厳しい環境に身を置けたことで、現場のリアルな厳しさもわかり、今の自分に大きく役立っています。
心に残っている当時のエピソードはありますか?
入社当初、右も左もわからない頃、ホテルのブライダルフェアに急遽ヘルプで行くことになったんです。自信が無いながらも、お客様にお似合いになるドレスを一生懸命選んでいると、「宮里さんに担当してほしいので、このホテルに決めます。」とご指名をいただいて。本当に嬉しかったですね。その時のお客様が選ばれたドレスは今でも覚えています。喜んでいただけることが多い職業なので、スタッフの皆にも、そういう経験をたくさん積んでほしいなと思います。
勤務されて10年。ご自身に変化はありましたか?
接客がメインだった頃は、対お客様、対婚礼施設でしたが、今はドレスプロデューサーの立場として、表舞台で頑張る接客スタッフだけでなく、裏方のプレス・お手入れ・搬入スタッフなど、各現場の仕事内容や努力も知ることができます。スタッフからは悩みや相談も受けることもありますので、より幅広い視野で全体を考えるようになったと思います。
時代によって衣裳も変化していますが、どのように感じられていますか?
フリフリの可愛いドレスが人気で、重~いドレスが人気だった時代もありましたね(笑) 最近は肌を大きく見せたり、逆にロイヤルウェディングのケイト妃のように、お肌を美しく包んだりするデザインのリクエストも増えてきています。もちろん可愛くてゴージャスなドレスもデザインがより洗練され、根強い人気があります。

「大人婚」の増加もあって、お好みも確立されていて、流行よりも自分に似合うものを選ばれる方が多くなってきた印象があります。オシャレ感はありながらも、ちゃんとスタイルを良く見せてくれるドレスも人気です。ドレスをよく研究して来館される方も少なくありませんので、こちらも以前より大きなアンテナをはるようになりました。

新郎様のスタイルも少し変わってきましたね。シルエットを気にされたり、上質な生地やタイトなデザインを選ぶ方もおられます。新婦様同様、オシャレでこだわりのある新郎様も増えています。 メンズの衣裳では、女性目線で考えた商品がヒットすることが結構あります。ただ新郎様が花嫁様に合わせるという優しい部分は昔から変わっていませんね。
御社のブランド「プルミエ」の魅力とは?
レンタルですが高級感や個性もあり、スタイルが良く見えるドレスが揃っています。サイズ展開も豊富で、3号~27号まで幅広く展開していますので、妊婦さんにも安心していただけます。補正を重ねていくのではなく、一番フィットするサイズを細かく調整できます。

日本の結婚式はおじぎをすることが多いので、動いても清楚に見えるデザインで、素材、縫製、パターンなど、ひとつひとつに心をこめて360度キレイに見えるドレスを作っています。

やはり時間もお金もかけて準備する大切な結婚式ですから、花嫁様が一番美しくみえるように全力を尽くしています。
ドレスプロデューサーのお仕事とは?
オリジナルブランドの場合、まずテーマやコンセプトを決めるところから始まります。その後デザイナーと実際の生地やデザインなどの打ち合わせをしていきます。

そこから3〜4ヶ月でサンプルドレスが到着し、実際にスタッフが試着しながら細かくチェックします。サイズ展開も含め全て完了するのに8ヶ月〜1年くらいかかります。思っている以上に時間かかるんですよ。

ブランドをセレクトする場合、幅広い方に好まれるドレスを選ぶこともあれば、ワクワクするような個性的でオシャレなドレスを選ぶこともあります。地域や店舗の客層、会場の雰囲気に合わせて細かく選定していきます。

たまに、たくさんドレスを見過ぎてどれが良いかわからなくなってくることも(笑) そんな時は撮影写真を一旦持ち帰って整理します。年に数回、衣裳室の現場スタッフからアンケートをとって、お客様の声を取り入れることも多いんですよ。
宮里さんが現場で心がけていることは何ですか?
ご希望にあったドレスを的確に提案することはもちろんですが、お悩みやコンプレックスを察することも重要です。ご希望を伝えることが苦手な方もおられますし、いろいろな方の気持ちに寄り添えるように努めています。ドレスの仕入れやプロデュースに関しては、全てのドレスにおいて「花嫁様のスタイルがよく見えること」に徹底してこだわっています。
お客様との感動エピソードをひとつ教えてください。
試着の時、ドレス姿を見て親御様が涙を流されるシーンは何度見ても感動しますね。お父様は照れながら、お母様は涙しながら、「まだ本番じゃないのにね…」と、当日を想像して感極まって。 これまでのご家族とのストーリーが伝わってくるようで、こちらも感動をいただきます。

あとは感謝のお手紙やメッセージが届くことも多く、皆で共有しています。元気の源として、皆に見えるところに貼っています。また、当社は老舗の衣裳屋ということもあり、親子代々、御姉妹でお衣裳選びに来られることも嬉しいですね。プライベートで「扇屋さんでお世話になったのよ」なんて言われる嬉しいサプライズをいただくことも。体力勝負で大変なことも多いですが、お客様からいただく幸せで、それも全部吹っ飛んでしまいます(笑)
これまでに苦戦されたことはありますか?
海外の花嫁様が来られたとき、言葉の壁でうまくコミュニケーションが取れず、その上準備期間も短いとあって苦戦したことがありました。上司と相談して、「新婦様も大きなストレスを感じていらっしゃるだろうから、とにかくたくさん試着して楽しんでいただこう」と、時間をたっぷりとって徐々に関係を深めていったんです。その結果、準備もスムーズに進み、無事当日を迎えられました。お客様の立場で考えることの大切さを改めて感じましたね。
女性が多い職場について。
うちはよくある女性の職場独特の大変さがなく、皆仲が良いので正直ホッとしています(笑) オフの日もスタッフ同士で遊んだり、皆で焼き肉の会とかしていますよ(笑) 仕事自体がハードな分、協力し合って良い関係を築けていると思います。良い空気感はお客様にもちゃんと伝わっているようです。
後輩スタッフの方をご覧になって感じることは?
女性が多いし体力的にもハードな職業ですから、人の入れ替わりは少なくないです。ですがその中でも、敬語も使えなかったあるスタッフが、厳しい教育の中でみるみる成長して、お客様に感謝されることが増えてきた時はとても嬉しかったです。後輩の頑張りを見ていると、自分自身の成長にもなります。
宮里さんの将来の展望や夢は何ですか?
「なぜ結婚式をするのか」を考えると、「今までありがとう」と「これからもよろしく」の、感謝と挨拶の「場」だと思うのです。私たちは、そんな「場」にふさわしい衣裳を作っているんだということを忘れずに、この先もプロデュースを続けて行きたいと思っています。ドレス姿は写真やゲストの印象にもしっかり残るので、「プルミエのドレスを着て良かった」と思っていただけるよう、さらにブランド力を築いていきたいと思っています。
最後に、ウェディング業界に憧れている女性へメッセージをお願いします。
やはり根が優しく親切な方が向いていると思います。華やかなイメージを持って入社されることが多いですが、現実は体力勝負な部分も多く体育会系です(笑) またバックヤードで働くスタッフたちとのチームワークも大切。ホテルや婚礼施設に入っている衣裳室の場合、他のテナントの方々と話す機会も多いので、コミュニケーション力も必要です。感謝されて喜びや幸せをたくさん感じられる人であれば、得られるものも多いのがこの職業です。
宮里さん、ありがとうございました。
 
老舗貸衣裳屋の未来を担う宮里さん。お会いする前はどんな方だろうと少し緊張していましたが、気さくで温かい女性でした。同世代ということもあり、和やかな雰囲気の中ありのままをお話してくださいました。

プロデュース業をはじめ経営にも携わられている方ですが、決して任されたからではなく、自ら仕事に喜びとやりがいを感じて活動されているということを強く感じました。

「お客様の気持ち」をなによりも一番に考え、期待に答えて行く宮里さん。
提供しているのは「商品」ではなく「心」 
キャリアを積んでも初心は忘れない、ひたむきな心に感動と刺激をいただきました。
取材レポーター:まえだ 真悠子
ブライダルスタイリスト
カラーリスト
ウェディングプロデューサー
Te'al Bleu(ティール・ブルー) 代表
Blog:http://ameblo.jp/tealbleu/
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