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さすらい猫ノアの伝説(重松清)

面白くて爽やか。読書感想文にオススメ

さすらい猫ノアの伝説
重松 清(著)
面白くて爽やか、お子さんの読書感想文にオススメの小説を読み終えました。重松清さんの『さすらい猫ノアの伝説』です。
黒猫ノアは伝説の猫。唐草模様のスカーフを首に巻いた姿で、色々な学校に現れる。

ノアは訪れる学校を自分で決めているという。それは「大切な何かを忘れてしまったクラス」。ノアは「大切な何か」を思い出す手助けをしてくれるのだ。

今回ノアが現れたのは、星ヶ丘市立東小学校5年2組。

5年2組は担任の先生が怪我で入院し、当分の間、代わりの先生が授業をすることになり、なんとなく落ち着かない雰囲気ではあるが、忘れている大切なものってなんだろう?

ノアを最初に見つけた健太と亮平、そして凜々の3人は協力して大切なものを見つけようとする……
(重松清さん『さすらい猫ノアの伝説』の出だしを私なりに紹介しました)
私はかつてコンピュータの専門学校で、講師をしていました。その時の教え子は18歳から20歳くらいの青年。

知らなかったことがわかった時の表情の変化は教える側のやり甲斐になりました。

今は、夏休みに作文教室の講師として小学生と接しています。

彼らが何かきっかけをつかんだ瞬間の輝きは素晴らしく、他の年代とは比べようもないみずみずしさがあります。

この物語に登場する小学生たちは、さすらい猫ノアに導かれながら、自分が抱えている問題に答えを見つけ、他者への思いやりを育てていくのですが、その成長ぶりを見守るのがとても気持ちがいいのです。

また、大人である教師が生徒と一緒に成長していくのですが、これは現実世界の学校でもあることでしょう。

全ての学校にノアが来てくれたら、イジメや嫌な問題が全部解決しそう、そんな楽しいお話でした。

生徒に成長させてもらう「先生」が紹介するビートルズナンバーもお楽しみの一つ。

お子さんが自分の身に引きつけて読むことができますし、自分自身の課題について考えるきっかけにもなる上、読後感が爽やか。読書感想文が書きやすい作品だと思います。

余談ですが、同じ重松清さんの作品『ひこばえ』を読んだ方は、さすらい猫ノアの名前の由来にニヤリとするかもしれません。

『ひこばえ』は、こちらで紹介しています。お時間がありましたら、読んでみてくださいね。
さすらい猫ノアの伝説
重松 清(著)
講談社文庫
算数の授業中、一瞬の早技で教室に飛び込んできた黒い猫。首に巻かれた風呂敷の中には、「あなたのクラスはノアに選ばれました!」という手紙が。自由気ままなさすらい猫が、ちょっと困っている子どもたち、悩んでいる大人たちに思いださせてくれる大切なこととは。不思議な猫が巻き起こす小さな奇跡の物語。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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