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逃げる力(百田尚樹)

死んだほうがましなことなど絶対にない

逃げる力
百田尚樹(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では週に一度、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、百田尚樹さんの『逃げる力』。

逃げることが恥ずかしいことだと思う、あるいは思い込まされている日本人は少なくないと思います。

もしかしたら、敵に背中を向けるとは卑怯なり、という武士道のようなものがまだ刷り込みとしてあるのかもしれません。

しかし、そもそも本当に強い戦国大名や剣士は、最初から負けるとわかっている戦いを回避したものです。

「逃げるが勝ち」という言葉もありますし。

とはいえ、百田さんは何でもかんでも逃げれば良いと言ってはおられません。

例えば、残業に次ぐ残業で、なぜ自分はこうまでして働いているのかとSNSでつぶやきながらも、そこから離脱する道ではなく、命を絶つ道を選んでしまった社員。

学校でいじめにあい、自ら命を絶ってしまった子ども。

「今のままより死んだほうがマシ」と思うような時に、「逃げろ」とおっしゃっているのです。

死んだほうがましなことなど絶対にない、命があればまた巻き返すことができるのだと。

しかし、第三者だとそんなふうに思うことができても、当事者は簡単に割り切れないようです。

会社員の場合、

「自分が辞めてしまったら同僚がその分しんどい思いをするのでは」

「せっかくここまで頑張ったのだから、もう少し頑張ってみよう」

など、責任感が強い人ほど、ギリギリまで引っ張ってしまうのですね。

百田さんはおっしゃいます。

この世で一番大切なのは、自分の命と家族の安全で、それを守るためならどれほどかっこ悪くても、これまでせっかく築いたものを放り投げてでも逃げろと。

これを「自分たちさえ良ければ良いんだ」と曲解しないでいただきたいのです。

危機に瀕した時最優先すべきことは、自分の命を大事にすることであり、家族の安全を優先させることであるということです。

そしてそんなとき相手と戦うという選択肢の他に、逃げるという手があることを忘れないようにしてほしい、とおっしゃっているわけです。

私は特にお子さんに対しては、学校とは死ぬ思いをしてまで行くべきところではないし、転校という手段もあるのだと、わからせてあげるべきだと思います。

ドラマのタイトルにもなった「逃げるは恥だが役に立つ」という言葉は、ハンガリーのことわざだそう。

恥をかいても、生き抜くことが大切なのです。
逃げる力
百田尚樹(著)
PHP研究所
会社から逃げる、人間関係から逃げる、目の前のピンチから逃げる…逃げることは、消極的で後ろ向きなことだと考えていないだろうか。実は逃げることは戦うことと同じくらい積極的な行動である。戦う時に分泌されるホルモン「アドレナリン」は、逃げる時にも分泌されるのだ。本当に大切なものを守るために、戦っても勝ち目がない、得るものがないと判断したら、さっさと逃げるべきである。だからまず、自分にとって大切なものは何か、しっかり見定めなければならないー著者が動物や戦国武将の例も挙げながら、人生についての根本的な考え方を語る一冊。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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