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このあとどうしちゃおう(ヨシタケシンスケ)

このあと どうしちゃおう
ヨシタケ シンスケ (著)
絵本のタイトル『このあとどうしちゃおう』。

これだけ見たら、とても気楽そうなお話だと想像しませんか?

このあと、どうする?どうしちゃう?って。

ところが、この絵本は 先入観を覆します。

テーマは「死」なんですから。

本の帯には、「しんだらどうなる?どうしたい?いきているあいだに考えてみよう。」とあります。

私が子どものころには、生きている人に「もしも死んだら」なんて話をするのはタブーでした。

「縁起でもない!」と。

しかし、今はちょっと違いますね。

自分が死んだらどうしてほしいか、例えば遺影はどれを使うか、どんなお葬式にしてほしいかなど、書き留めておく『エンディングノート』だってあります。 私も持っていますよ。

だから子どもと一緒に「死」を考えることだってあって良いと思います。

さて『これからどうしちゃおう』。

おじいちゃんが死んでしまったところから始まります。

遺品を整理していたら、一冊のノートが出てくるのです。

表紙に書かれていた言葉が「これからどうしちゃおう」。

おじいちゃんの絵と字で、将来死んだらどうしたいか、どうしてほしいかが描かれていたのでした。

例えば、
天国ってこんなところじゃないだろうか、とか
いじわるなアイツがいくであろう地獄のこととか。

死んだあと、家族を見守っていく方法も考えています。

おじいちゃん、いい人やなぁ。

それを読んだ孫の「ぼく」は、お父さんと話し合います。

ノートはとても楽しそうだけど、本当はおじいちゃんは死ぬのが怖くて、このノートを書いたのかな?と。

お父さんの答えを聞いて「ぼく」は自分用のノートを買いに走るのでした…。

「死」を考えることで、「生きる」を考えるようになる、その結末が素晴らしい。

最近の子どもはゲームのしすぎで、死んでもリセットすればもう一度やりなおせると思っている、なんて言われています。

まさか、全員がそんなふうに思っているとは考えにくいけど、命が軽くなっているかもしれません。

「命は大事なものです」
「命は地球より重いんです」

そんな言葉では伝わらないのかもしれない。

私は子どもがいないけれど、もしいたなら、何も言わずにこの本を差し出すなぁ。

そして子どもが寝てから、自分が読み返すと思う。

何度でも、何度でも。
このあと どうしちゃおう
ヨシタケ シンスケ (著)
ブロンズ新社 (2016)
しんだらどうなる?どうしたい?いきてるあいだに考えてみよう。ヨシタケシンスケの発想えほん、第3弾。 出典:(出典:amazon)
profile
池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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