京都人も知らない京都のいい話(浜村淳)
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![]() 京都人も知らない京都のいい話
浜村 淳(著) コミュニティ放送で情報を発信する身として、浜村淳さんには尊敬の念を抱いています。
毎朝の生放送『ありがとう浜村淳です』を長く続けておられることと、聞き取っていただかなければ情報が伝えられないラジオにおいて一言ひとこと、ていねいに伝えておられることに。 時々は、少々くどい気はするけれど、何か用事をしながら聞いている人にはこれくらい丁寧でもいいのかも。 浜村さんがすごいのは伝えかただけではありません。 その圧倒的な情報量! 映画、舞台、文化などさまざまなジャンルのことに精通しておられます。 これが尊敬せずにおられようか! そんな浜村淳さんが、いつもの語り口で京都案内をしてくれるのが『京都人も知らない京都のいい話』。 浜村淳さんは京都生まれの京都育ち。 いわゆるガイドブックに書かれているのとはちょっと違う京都を案内してくれます。 たとえば、冒頭に披露されるエピソードが圧巻。 まだ浜村さんが5歳くらいの頃、近所に住んでいたおばあちゃんがいつも話してくれたのが 「沖田はんはしょっちゅう、うちら子どもと一緒に石蹴りをやったり、かくれんぼやったりして」。
(第一章「京都・歴史を変えた人たちの秘話」より転記)
「沖田はん」とは、新撰組一番隊長沖田総司のこと。
壬生から西本願寺に屯所が移った後の話だそうで、西本願寺の境内にある大銀杏が夕日に染まる頃また明日遊びましょうなァとお別れしたものだと。 浜村さんが幼少の頃80歳を越えたおばあちゃんが語っているので、それは実際にあった話なんでしょう。 その風景が目に浮かぶではないですか。 もう一つ、印象に残るエピソードは、京都の花街を彩る芸舞妓さんたちの話。 彼女たちはいわゆる遊女ではありません。 芸事の粋を身につけ、伝統的なおもてなしをお座敷で披露するわけです。 そんな芸舞妓さんたちのとって、最大の恥は何か? それはお座敷で話題を途切れさせることなんですって。 政治経済、スポーツ、文化、芸事など、あらゆる話題を身につけ、お客様を鼻白ませることのないようさりげなく話題を盛り上げる… それこそが京都の花街の女性のたしなみなんですね。 ふーむ。すごいぞ。 この本では、神社仏閣、おいしいお店など、丁寧な地図つきで紹介しているのがとても親切です。 また、浜村淳さんと言えば映画。 京都の太秦を初めとして、映画の撮影で使われた場所、エピソードなどもおもしろく紹介されています。 学生時代から司会などの仕事をしてきた浜村さんなので売り出す前のジュリー(沢田研二)たちのこともご存じで、昭和世代には懐かしい名前やエピソードもいっぱい。 ひと味違う京都案内、これはお勧めです。 ![]() 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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