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小森 利絵
フリーライター えんを描く

おてがみじかん ライフスタイル 2021-10-20
誰宛てでもないお手紙「あるコロナ禍の日」

知っている誰かだから書けることがありますが、具体的な誰かではないから、その時々に感じたり思ったり考えたりしたことを気ままに書けるということもあります。

そんなふうに、誰宛てでもなく、気ままに書いたお手紙を、時々掲載しています。

第3回目は、「あるコロナ禍の日」のお手紙です。10月初めに書きました。
こんにちは!

ここで、いつもなら「お元気ですか?」と続けるところですが、この頃は「いかがお過ごしですか?」と聞くようになりました。というのも、「大丈夫ですか?」と聞かれて「大丈夫です」とつい答えてしまうように、「お元気ですか?」と聞かれたら「元気です」と答えてしまうのではないかなと、ふと思ったからです。

相手に心配や迷惑をかけないように、そう答えてしまうことが多々ある気がします。

私も「お元気ですか?」と聞かれて、「元気です」と答えてきましたが、この頃は「元気……なのだろうか?」とたちどまって考え込むようになりました。「元気」という言葉が心と一致せず、その状態で「元気です」と答えてしまうことは、相手に嘘をついていることになるのではないかなと思ったんです。
そんなことを考えた結果、相手がどのようにでも答えられるように、「いかがお過ごしですか?」と聞くようになりました。

最近やりとりした方の中には、「ご無事ですか?」と聞くようになったとお話しくださった方がいました。このコロナ禍では、そう聞きたくなる気持ちがわかる気がします。今年は特に、知っている方が新型コロナウイルスに感染し療養していたという話を聞くようになったので、余計にそう思うのかもしれません。

コロナ禍だけではありませんね。誰しも、いつ、何が起こるかなんてわからないものです。そんなことを考えていると、こうしてやりとりできていることは、実に奇跡的なことなんだなと改めて思います。

…と、前置きが長くなってしまいましたが! いかがお過ごしですか?
私はこの頃、歩くことにはまっています。面倒くさがりで、家でゴロゴロ寝転がっていたいタイプの私が「1日少しでも、歩く時間を」というふうに変わったのは、2020年4月に初めての緊急事態宣言が出た時のことです。

当時は外出すると言えば、食料品などの買い物時だけだったので、運動不足の解消も兼ねて歩くようになりました。最寄りのスーパーまで、自転車でぴゅーっと6~7分のところ、徒歩でてくてく15分ほどかけて行くように。そうして少しずつ、意識して歩くことが日常になると、仕事で駅まで行く時も時間に余裕があれば徒歩で、更に1日1回は散歩の時間を持つまでになっていったんです。

歩く時間を持つようになって1年半ほどを過ぎ、気づいたことがあります。日常の中ではついつい、いろいろなことを考えすぎてしまっているということです。
「あの人にこう言ってしまったけれど、よかったのかな。フォローの連絡を入れようかな。でも…」「もしかしたら、あの連絡が来るかもしれないな。そうしたら、早く帰らないといけないな」「あれもできていないな、これもできていない」「こうなったらどうしよう。ああなったら……」など落ち込んだり、反省したり、ドキドキしたり、セカセカしたり、ざわざわしたりと、頭の中が忙しい!!

意識的に考えているというよりも、気づいたら考えてしまっているんだと気づいたんです。

歩きながら「はっ!考えてしまっている」と気づき、まわりを見渡すと、木の葉が風に揺らぐ姿に見とれたり、「あの建物、素敵」「あれは何の花だろう?」と興味を持ったり、「この香りは?」とスマホで調べて「どうやら、どんぐりの花の香りらしい!」と知ったり。

そうやって目の前のことに意識を向けることで、ある種「無」になれたというのでしょうか。余計なことを考えなくなるように思いました。そんな時間がとても大切なんじゃないかなと思ったんです。
初めての緊急事態宣言時、腰まわりの痛みに数カ月ほど悩みました。内科や整形外科、婦人科の診察を受けるも原因不明。後から考えると、コロナ禍によってさまざまな不安や心配事による精神的なストレスが、身体に表れていたのではないかなと思います。新型コロナウイルス関連のニュースを見る頻度を少なくしたら、状態が回復していきました。

情報を意識して取り入れずとも、テレビやインターネット上で流れているさまざまな情報は、自分の中に溜まっていっているようです。知らず知らずのうちに、気になったことを頭のどこかで考えてしまっていて、しんどくなったり疲れたり…無意識下で考えてしまうことの多くは、不安や心配事のような気がします。

木の葉が揺れる、雲が流れる、建物や人の佇まいなど、目の前のことに意識を向けることにより、一呼吸つけるような。ただただ目の前のことに意識を向ける時間を持つことで、ストレスをコントロールできるようになったような。思い詰めてしまって、しんどくなるということが減ったように思います。
私にとって「歩く時間を持つこと」は、目の前のことに意識を向ける時間を持つこと、ある種「無」になって一呼吸つく時間を持つことにつながっています。

コロナ禍で落ち着かぬ日々がまだまだ続いていますし、そのことに限らず、日々いろいろなことがありますね。そんな日々の中にも、希望を持てるような、心が躍る出会いや発見などがありますように。祈っています。

それでは、また!!

小森利絵より

★「バースデーカード」を募集!★

思い思いに書いたお手紙には「その人らしさ」が表れるものだと思います。

何に書くか? どんな内容を書くか? どんな方法で表現するか? など、人それぞれです。いろいろな人の表現を見てみたいと、これまで 「旅先からのお手紙」、 「年賀状」「バースデーカード」 といったテーマでお手紙を募集してきました。

今回は「バースデーカード」を募集します。

①今を生きている誰かの誕生日を想ってバースデーカードを書いてください。 ※もし掲載OKでしたら、お送りいただいたバースデーカード(メッセージを含む)を、このコラムで紹介させていただきたいと思っております。

②「①」で届いたバースデーカードをプレゼント交換みたいにシャッフルして、それぞれの方に「誰かからのバースデーカード」を贈ります。届いてすぐに読んでもいいし、自分のお誕生日まで大切にとっておくのもいいですね。

ご参加してくださる方は「loopdraw☆yahoo.co.jp(小森)(☆を@に変更してください)」までご連絡ください。バースデーカードは2022年1月15日(土)到着でお願いいたします。
profile
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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