直感とちがう数学(葉一)
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![]() 数学と人生は通じる?! 直感とちがう数学
葉一, タカタ先生(著) 私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。
今回ご紹介するのは、葉一さん監修の『直感とちがう数学』。 私は何かにつけて好き嫌いが激しい子どもでした。 食べ物もそうだし、趣味もそう。 好きなものはとことん好き、そうでないものは全然興味なし。 それは勉強にも言えました。 小学2年生の頃でしたか、社会の授業で「お百姓さんの一年」という項目を勉強した時、私が机に肘をつきつつ何を考えていたか。 今でもはっきり覚えています。 「わたしに何の関係があるっていうの?」 その前後、算数の九九の時間にも全く同じことを考えた記憶があります。 「これ、私に何の関係があるの?こんなん覚えて何になるの?」 今の私は当時の自分に駆け寄って「何を考えている?!大いに関係あるからちゃんと勉強しなはれ!」と檄を飛ばしたいのですが、当時の私は「こんな授業受けるより好きな本読みたーい」という気持ちだったんです。 さすがに九九に関しては、クラスメートが次々に暗記し、「ににんがし」 から 「くくはちじゅういち」まで言えるようになるのを見て、あれ?もしかしたらこれは覚えないと大変なことになるのではないかと気がついて、本腰を入れて覚えようと努力しました。が、出遅れが響いたのか、今でも時々 七の段などでふと自信がなくなるのです。 怖いわー。頭の柔らかいうちにちゃんと勉強しないと。 そう思いながらも芯から反省しておらず、中学、高校になってからも数学、科学、物理は全くやる気なく過ごした私です。 なのに今になって『直感とちがう数学』なんて本を読まねばならないハメに陥るとは、何の因果なのでしょう。 番組で紹介するために、ともかく斜め読みするか、と読み始めたら面白いのなんのって。 この本はどんな人の生活にも当てはまる24の状況を数学の問題にして読者に答えを促します。どの問題も、一見難しくないように見えても、直感で答えると正解に辿り着けなかったり、「うそだ!そんな答えのわけがない!」と思うようなものばかり。 例えば 01 同じ誕生日のペアがいるのは?
ある学校には、生徒が1クラスに35人います。この1クラスの中に同じ誕生日の生徒が1組以上いる確率はどれくらいでしょう? (『直感とちがう数学』P9より引用) きちんと計算せずに、ざっとこんなものかなぁという確率を頭に描いてみてください。
私はかなり低い確率を想像しました。 その根拠は実体験。 これまで自分と同じ誕生日の人が同じクラスにいたことは一度もありませんでしたよ。 小学校から大学まで16年間の中で、誕生日が1日違いの人が一人いただけです。 学生の枠をとっぱらって、社会人になった後も誕生日が同じ人と出会ったことなんてありません。 だとしたら、答えは何%だろう。一ケタ台かな? そう思ってページをめくり正解を確かめてビックリ。 約81%ですって! うそやん!そんなわけないやん!! いささか怒りを覚えながらこの問題の解き方、式を読んで腕組みしちゃいました。 「そうなのか!!」 第一問で私はかなり熱くなってしまい、当初「ああ、数学関係の本を読まなきゃダメなのか。苦痛だわ」と思っていたのが嘘のように、次々に設問に目を通していくことになりました。 ああ、この知的興奮が中学生くらいのタイミングで訪れていたら、私の数学の成績はものすごく向上したでしょうに。残念! この本に収められている問題は24問。 私が正解できたのはたった1問でした。 その問題はこれ。 19 おみくじを3回連続で引くと?
大吉、中吉、小吉、吉、末吉、凶、大凶の7種類が入っているおみくじがあります。この7種類の結果が出る確率はどれも等しく1/7となっています。このおみくじを3回連続で引いたとき、すべて同じ結果が出てくる確率はどれくらいになるでしょう? (『直感とちがう数学』P99 より引用) 私がこの問題だけ正解できたのには理由があります。
偶然なんですが、ちょっと前に夫と「3つあるものが連続して3回起こる確率」について話したことがあったのです。 最初私は「1/27」が正解だと思いましたが、夫が「最初の1回を計算に入れる必要がないのでは?」と言い出して、答えは1/9だね、と話し合ったばかり。 分母の数は違うけど、この問題はそれと全く同じこと。 正解は 1/7✖️1/7✖️1/7 ではないんです。 もし設問が「大吉ばかり3回連続で引く確率は?」というものだったらその式が正解なのですが。 このように、数学の考え方で解いたことがある問題は正解できましたが、そのほかの23問は全滅。いかに私の直感が数学的でないか、身に沁みてわかりましたよ。 この本を監修した葉一さんは巻末でこう述べておられます。 直感というのは、自分の経験から感じるところが大きいので、正確な知識のない状態で経験のみに頼ると直感とずれるのだと思っています。
(『直感とちがう数学』 P126より引用) 私はこの言葉を読んで唸りました。
これは数学に限ったことではない、と。 経験は大事なのだけれど、きちんとした知識を持たずに自分の経験だけを基準に判断していると、間違えてしまうこともあるのだろうな、と。 また、原案者のタカタ先生はこうおっしゃっています。 直感は間違えやすいという事実を肝に銘じて、論理と数値に裏打ちされた答えをもとに、慎重に判断することが大事だと思っています。
(『直感とちがう数学』 P127より引用) いよいよ、数学の枠を超えて人生に通じる言葉ですよね。
うーむ、深い!! タイムトリップできたらやはり幼い私にこう言って聞かせよう。 「好きでない科目も一生懸命勉強しなはれ。勉強と人生は別々のものじゃないよ」 と。 「図書館だより」を担当していたおかげで、自分では絶対に手に取らない本と出会え、私はラッキーだなぁ。 ちなみに、この本の監修者 葉一さんは教育YouTuberとしてご活躍中。 「塾に通えない子どもたちが、自宅で塾の授業を受けられる環境を作りたい」という想いで発信されているそうですよ。 覗いてみたら、化学の授業が多いみたい。時間がある時に受講してみようかしらん。 【パーソナリティ千波留の読書ダイアリー】 この記事とはちょっと違うことをお話ししています。 (アプリのダウンロードが必要です) 直感とちがう数学
葉一, タカタ先生(著) Gakken あなたのその直感、本当に正しいですか?「クラスに同じ誕生日のペアがいる確率」など答えを知るとあっと驚く数学の不思議な問題を24問掲載! 出典:楽天 ![]() 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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