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しあわせのパン( 三島有紀子)

誰もが支え合い生きている

しあわせのパン
三島有紀子(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では週に一度、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、三島有紀子さんの『しあわせのパン』です。
北海道の月浦で若い夫婦が営む「カフェ・マーニ」。妻のりえさんは、ていねいにいれた美味しいコーヒーと、北海道産食材を使ったおいしい料理を担当。夫の尚さんは、パンを焼く。

朝一番にやってくる郵便屋さんと、いつも大きな革のトランクを持っている阿部さんは、この店の常連さん。湖が見える窓の前の席は、朝だけは彼らの特等席だ。

時にホテルにもなるカフェ・マーニには、行きずりのお客もやってくる。

彼とのバカンスをドタキャンされた失意の女性。家庭の事情で、父親とどう関わっていいのかわからなくなった小学生の女の子。阪神淡路大震災を経験した老夫婦……。

それぞれ事情がある彼らの心を温めるのは、温かいパンと、滋味深い料理、そしてコーヒーだった。
(三島有紀子さんの『しあわせのパン』を私なりにまとめました)
私はこの小説を読んでしみじみと、人それぞれに悩みや苦しみを抱えて生きているのだなと思いました。

悩みの大小、深刻さは他人が決めることではありません。どんなことであれ、悩みのど真ん中にいる人にとっては、それ以外のことを考えられない「大きな」ものなのです。

人によって悩みが違うように、そこから抜け出すきっかけも人それぞれだと思います。

ただ、一つ共通するのは、人間は食べれば元気になるということ。どれほど悩んでいても、いつかはお腹がすいてきます。

「いったいなぜ、こんなに悲しい時にもお腹が鳴るのだろうか?」

私もそんな思いを抱いたことがあります。

そんなとき、一杯のスープが、熱い深煎りコーヒーが、お腹の中に温かさをもたらした瞬間、一緒に心までがほぐされることに、共感してくださる方は多いのではないでしょうか。

ましてや、それが誰かの手で、優しく丁寧に作られたものであればなおさら心が温かくなるはず。

食事ででみんなを力づけてくれるりえさんと尚さんにも、本当はいろいろあるのですが……

この小説の巻末には、カフェの名前の由来になっている絵本がついています。

私はこの絵本を読んでから小説本編を読みました。

意識しているかどうかは別として、誰もが支え合って生きているのだなと思える絵本。

絵本と小説、どちらから読んでもしみじみ味わえると思いますよ。

ところで、私はこの小説の中の景色に、不思議と見覚えがあると感じました。

それで「月浦」がどこなのかを調べてみたら、洞爺湖町ではありませんか!

私は2015年11月に北海道旅行をしたのですが、そのときに見た洞爺湖こそが「カフェ・マーニ」から見える湖だったんですね。

小学生の女の子が登場する章『ふたりぼっちのポタージュ』で、女の子のお父さんが勤務するホテルは、私たちが泊まったホテルだと思われます。

期せずして、小説の舞台のご当地めぐりをしていたんだワ。なんだかとても嬉しかったです。

ちなみにこの小説は2012年に原田知世さん、大泉洋さん主演で映画化されているようです。

そのことを知っていたら、旅行した際、もっとしっかりホテル周辺を散策したのに。

悔しい。
しあわせのパン
三島有紀子(著)
ポプラ文庫
北海道の静かな町・月浦に若い“夫婦”が営むパンカフェがあった。実らぬ恋に未練する女性、出ていった母への思慕から父を避ける少女、生きる希望を失った老夫婦が次々と店を訪れる。彼らを優しく迎えるのは、二人が心を込めて作る温かなパンと手料理、そして一杯の珈琲だった。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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