棺桶出せるか(田沼武能&田沼敦子)
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![]() 老後のリフォームの参考書 棺桶出せるか
田沼 武能, 田沼 敦子(著) 私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。
今回ご紹介するのは、田沼武能さん、田沼敦子さんご夫婦の『棺桶出せるか』。 私は学生の頃、雑誌『美しい部屋』を読むのが大好きでした。 モデルルームのように整理整頓された部屋、好きなものに囲まれた部屋、掲載されている部屋はどれも美しく、いつまで見ていても飽きないものでした。 が、現実世界はどうかというと、私は整理整頓が苦手。 読みかけの本があちこちにある、全然美しくない部屋に住んでいるのでした。 それは結婚してからも同じ。 夫の実家に初めて伺った時にホッとしました。 適度に散らかっていたから。まるで実家のように落ち着いた気持ちになりました。 予想通り、夫は家の中が散らかっていても無頓着。 ということで我が家は謙遜ではなく、散らかっております。 ですが、最近二人で語り合ったんです。 「このままで老後を迎えるのはマズイ。片付けよう」と。 今年に入ってから実家の母を見ていると、老後体が動きにくくなった時に、家の中がきちんと整理されていないことが原因で、怪我をしかねないことが実感できました。 しかし、体に不具合ができてから対処するのでは遅いんですよね。 体が動いて、ある程度重いものも自分で移動させられる時にやっておかないと。 『棺桶出せるか』は、老後のための整理整頓、リフォームに関するドキュメンタリーでした。 写真家 田沼武能さんと歯学博士の敦子さんご夫婦は昭和一桁生まれですが、バリバリの現役です。 仕事はしっかりこなしておられますが、最近、4階の住まいへの片道44段ある階段がキツくなってきました。 武能さんが仕事場として使っていたマンションなら、階段問題が解決する、ということで、リフォームを決意。快適な住まいにリフォームすると同時に、溢れかえっていた物を整理することに。 この本には、リフォーム前、リフォーム途中、リフォーム後の写真が満載。 撮影は冷酷(?)で、物が溢れている部屋がありのままに写っています。それを見た武能さんが思わず「うちにはこんなに物が多かったのか」と呟いておられるのが、実感がこもっていて親しみが湧きます。 いやー全くひとごとではありません。 いずれ我が家も整理整頓やリフォームが必要になるのでしょうが、実際の顛末を写真付きで丁寧に教えてもらえる機会はまずないと思います。 リフォーム、整理整頓の手順は、目次の通り。 第一章 考える
第二章 整える 第三章 活かす 第四章 買い替える 第五章 収める 第六章 楽しむ 終章 シンプルな老(スロー)ライフ (田沼武能さん田沼敦子さん 『棺桶出せるか』の目次から転記) 大いに参考になりました。
住まいは人それぞれだから、リフォームの正解は一つだけではないとは思いますが、大変参考になる一冊だと思いました。 それにしてもユニークなタイトル『棺桶出せるか』。 「玄関から棺桶が出せる家にしてほしい」というのが、リフォームにあたっての武能さんの唯一絶対の条件だったのです。お引越しの時に、大きな家具を窓から出し入れすることがありますよね? 自分の棺桶を窓から出すなんてことはやめてほしい、怖いじゃないか、とおっしゃる武能さん。 それもきちんと実現します。 リフォーム後の新居でくつろぐご夫婦の様子を拝見して、ますます、私たち夫婦も体が動く間に取り組まねばと思った次第です。 棺桶出せるか
田沼 武能, 田沼 敦子(著) 小学館 50歳まで独身を貫いた92歳のトーチャンと68歳のカーチャンが「これからの人生」を考えて、整えて、活かして、買い替えて、収めた…快適に、楽しく過ごすための居場所づくりに奮闘した約半年の記録。 出典:楽天 ![]() 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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