トリノトリビア ( 川上和人)
「へぇ〜」を連呼してしまう トリノトリビア
鳥類学者がこっそり教える野鳥のひみつ 川上和人(著) 私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。
今回ご紹介するのは、今日は鳥類学者 川上和人さん監修、マツダユカさんのマンガ『トリノトリビア』。 トリ、お好きですか? 私はずっと苦手でした。 理由はただ一つ、怖いんですもの。 感情を表さない(ように見える)あの目。 尖ったクチバシと鋭い爪も怖い。 子どもの頃テレビの洋画劇場で見たヒチコック監督の映画『鳥』の影響もあるかもしれません。 そんな私が、鳥を少しだけ好きになれたのは、我が家にツバメが巣を作るようになってから。 壁に巣を作り、卵を産み、育てるツバメのいじらしいこと、可愛いこと。 そして卵から孵った雛を初めて見たときは衝撃でした。土偶のような目をしたエイリアンみたいで。 でも、日に日に毛が生え揃い、鳥らしくなっていくのが不思議でもあり可愛くもあり。無事に巣立った時には胸がいっぱいになりました。 それ以来毎年ツバメが戻ってきてくれることが、春から初夏にかけての私達夫婦の楽しみごとでした。 ところが!数年前から、カラスがやってきて来て、ツバメの雛を狙うようになったのです。 三年前は、まだヒヨヒヨの雛の時に襲われたので、一昨年はカラスよけのネットを張り、対抗しました。 ところが、カラスのやつめ、学習したのですね、ネットが邪魔で直接巣を襲えないとわかると、近寄ってこなくなりました。 やれやれ諦めてくれたかと思ったのは甘かった。子ツバメの飛行訓練が始まるとすぐに、まだ上手に飛べない子ツバメを攻撃しに来たではありませんか。 ちょうど朝の掃除をしていた私はカラスが子ツバメをくわえた瞬間を目撃してしまい、手にしていた箒を振りかざし、「ゴルァァァ!!!(コラーッの最上級)」と怒鳴りながらカラスを追いかけてしまいましたよ。 もちろん追いつけるはずもなく、いたずらにご近所の方にガラの悪い女だと印象付けただけに終わりました。その上、雛は全滅。悲しい。 そして今年、ツバメは一度は巣に来てくれたのに、カラスが周回しているのを見たせいか、いつの間にかいなくなりました。 ああ、カラスめ!せっかく鳥が好きになりかけていたのに、やっぱり嫌いだ! そんな私ですから『トリノトリビア』なんて別段知りたくはなかったのですよ。仕事だから読みますけどね、と。 ところが、面白いのなんの。あっという間に読み終えてしまいました。 見開きページの右側がマンガ、左側が説明文、2ページで1話という形式なので、スキマ時間に読みやすいというのもあったかもしれません。 スズメ、ツバメ、ハトといった比較的身近な鳥から、住宅地では見かけないキツツキ、ハヤブサ、オオタカまで様々な鳥のトリビア83話。 「へー」と感心する話もあれば、「ヒエーッ」と悲鳴をあげたくなる話もあり。 そんな中で、私が選んだトリノトリビア ベスト5をご紹介しましょう。 第5位
オシドリの夫婦は毎年相手が違う (『トリノトリビア』P102より) 仲のいい夫婦のたとえに用いられる「おしどり夫婦」とはじゃあ一体、なんなのだ?!
第4位
キツツキは脳に損傷を受けるほど木をつつく (『トリノトリビア』P34より) キツツキは1秒間に20回という猛スピードで木をつつくらしく、その衝撃で脳に損傷を受けていることが最近の研究でわかったそうです。
なぜそんなにまでして高速でつつくのか?!よくわかりませんが、ちょっと笑ってしまうトリビアです。 第3位
シジュウカラはカタツムリでカルシウム補給 (『トリノトリビア』P76より) 鳥は卵を産み子孫を残します。卵の殻はカルシウムでできています。カタツムリの殻がサプリメントというわけですね。
いつもいつも食べているのではなく、産卵時期が近づいたときだけカタツムリを食べるのだそうです。あんまりリアルに想像したくない場面です。 第2位
ササゴイは道具を使って魚を釣る (『トリノトリビア』P62より) ササゴイとはサギの一種だそうです。小魚や昆虫を水面に浮かべたり、小枝や自分の羽毛を疑似餌として使い、魚を「釣る」らしいです。驚嘆。
第1位
カラスやトビが原因の火事がある (『トリノトリビア』P174より) 京都で、1999年から2002年の間にカラスが原因と思われる火災が7件も起こったそうです。
どういうわけかというと、京都の社寺で奉納されているロウソクをカラスが持ち去るのだそう。 中には火がついたまま持ち去るカラスがいて、それをポイと捨ててしまい、火災になることがあるのだとか。 これは事故とも言えますが、オーストラリアでは「放火」する猛禽類(主にトビ)がいるんですって。 火事が起こると小動物が逃げ出すので、それを獲物として狙うわけです。つまりは狩の手段として火を使うということ。なんという悪知恵。 ちなみに火元は、雷などで自然に発生した火災現場。そこから火のついた枝を持ち去って別の場所に落とすんだとか。アボリジニは昔からそのことを知っていたそうですよ。 『トリノトリビア』は大人が読んでも面白いですし、動物好きなお子さんの自由研究にも良いのではないかと思います。 ところで、ツバメの雛を襲ったカラスを私が箒を振り上げて追いかけたと聞いた友人が真顔でこう言いました。 「よくそんな怖いことするね。カラスって賢くて、人間の個体認識ができるらしいよ。顔を覚えられていて、復讐されたらどうするの」 え?!本当に?! 『トリノトリビア』にはカラスに関する記述がたくさんありました。やはりカラスは賢いようです。そしてこんな習性もあるらしいのですよ。 カラスはときに吸血鬼になる
(『トリノトリビア』P54より) ハシブトガラスは基本的には雑食だけれど、時に吸血行動をとるものがいるんですって。
北海道では乳牛の乳房をつついて、盛岡では動物園のニホンジカの背中をつついて、吸血する現場が目撃されたのだとか。怖い!!! 先日ゴミの日に、カラスがはみ出したゴミ袋をつついて破ろうとしているのを目撃してしまいました。 以前なら「コラーッ」と叱ったでしょうが、カラスの恐ろしい一面を知った今となっては完全に腰が引けてしまった私。 「君、君。ダメだよ。向こうへ行ってね」 猫なで声でカラスに注意する自分が情けない。結局「トリ怖い」というスタートに戻ったのでした。 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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