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テツヤ85歳、孫の服を着てみたら思ったよりイケてた。(シルバーテツヤ )

テツヤさん永遠に

テツヤ85歳、孫の服を着てみたら思ったよりイケてた。
シルバー テツヤ(著)
図書館で本の表紙に一目惚れ、思わず借りて帰った本をご紹介します。

シルバーテツヤ/クドウナオヤの『テツヤ85歳、孫の服を着てみたら思ったよりイケてた。』。

ご高齢の男性が、なにやら不穏なファッションで佇んでいるこの表紙、気になって読まずにはいられなかったのです。

孫 クドウナオヤさんは、秋田県の海に面した小さな町出身。CMプランナーとして、東京で働いています。

ナオヤさんは洋服が大好き。

でも、もうすぐ30歳になるというときに、クローゼットの中の洋服の多さに自分でもびっくり。

着ない洋服は売ってしまおうと思い、段ボール箱に入れているときにふと、どうせ売るのなら、実家のおじいちゃんに着せてみようか、と思い立ちます。

段ボールを送りつけた後、帰省し、自分の洋服を着たおじいちゃんを二日がかりで撮影しました。

撮影場所は秋田の海、神社、学校、畑。

ちょっと尖った洋服に身を包んだおじいさんの写真は予想以上にイケていました。

ナオヤさんはその写真を、深く考えずにSNSにアップ。

すると、あっという間に世界的な反響を呼び、おじいちゃんであるシルバーテツヤは大いにバズったのでした。

その写真は、この本を手に取らなくても、「シルバーテツヤ」で検索していただけばご覧になれます。

一躍有名になったシルバーテツヤさんは、学校の先生でした。

しかもかなり頑固で信念を曲げない先生。

退職後も教育関係のお仕事を続け、愛のある厳しい指導をしておられました。

きっと、服装に関しても、色々と注意をしていたはず。

そんなテツヤ先生がシルバーテツヤになって、やんちゃな衣装に身を包んでいるのをご覧になったかつての教え子たちは再び先生に連絡をとり、昔話に大いに花を咲かせたそうですよ。

シルバーテツヤの姿に沸き立ったのはかつての教え子だけではありません。世界中からコメントが寄せられたそうです。

世界にはいろいろな国があります。

思想や信条はそれぞれ違うことでしょう。

でも「生老病死」はどの国にも共通していること。

「孫の服を着てみたら意外とイケていた」というシチュエーションは世界中で共感されることだったのでしょう。

インターネットは利用の仕方によっては負の一面もありますが、個人が世界に発信する手段を持っている、なんて素晴らしい時代なんだろうと思わずにはいられません。

この本は、SNSでの反響を受けてフォトブックとして作成されたもの。

掲載されている写真のほぼ全てSNSで見ることができます。

ところが、不思議なことなのですが、全く同じ写真なのに、スマートフォンやパソコンの画面上で見るのと、本の1ページとして見るのとでは印象が違います。

本で見る方がしみじみする、というのが私の感想。

やんちゃな服を着ていろいろな場所に佇むシルバーテツヤから、あなたはどんなメッセージを受け取るでしょうか。

ぜひご一読ください。

【追記】
「シルバーテツヤ」のInstagramを見返してみたら、一番最近の更新が、誰かの葬儀の写真でした。シルバーテツヤさんは2021年12月14日にお亡くなりになっていたのです。

Instagram:SLVR.TETSUYA シルバーテツヤ

この本が出版されたのは2020年の3月。一気に話題になったことで、音信が途絶えていたご友人、教え子さんたちからも反響があったり、全く知らないひとからのお声がけがあったりと、刺激的な晩年を過ごされたことになります。

そしてこのフォトブックやSNSで多くの人に共有された写真のおかげでシルバーテツヤさんは永遠に存在感を放つことになりました。

それが、お孫さんと一緒に起こしたムーブメントのおかげということを、シルバーテツヤさんは喜んでおられたのではないかしら。

シルバーテツヤさん、本当にイケてました!

今もイケています!!
テツヤ85歳、孫の服を着てみたら思ったよりイケてた。
シルバー テツヤ(著)
KADOKAWA
孫のハイファッション×田舎のおじいちゃんの化学反応。“エモ尊い”と話題の令和のヒップスター!一夜にして世界的ファッションアイコンになってしまった秋田の元教師の遅咲きすぎるシンデレラストーリー! 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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