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もしも…に慌てない 登山式DE防災習慣(鈴木みき)

明るく災害に備える

もしも…に慌てない 登山式DE防災習慣
鈴木 みき(著)
私は生まれも育ちも関西、阪神間でした。子どもの頃、我が家にはちゃんとした非常持ち出し袋はなかったのではないかと思います。

乾パンの缶が一つか二つあったような……その程度でした。

というのも、当時の関西人はこう思っていたのです。

「関西には(大きな)地震は起こらない」と。

中には用心されている方もおられたかもしれませんが、大多数の人はそう信じていたように思います。

それが、単なる思い込みだったことを思い知らされたのが1995年(平成7年)に起こった阪神淡路大震災。

今となっては日本全国、どこに住んでいようとも、地震に遭遇する可能性があるとわかりました。

いえ、災害は地震だけではないことも。

ですから各ご家庭それぞれに、防災の備えをされていると思います。

我が家にも非常持ち出し袋があります。

中には、アルファ米などの非常食、寒さをしのぐアルミシート、寒中電灯、ホイッスルなどを入れております。

そして年に数回、防災について考える

1月17日、3月11日、9月1日に見直すのですが、なんとなく生活に根付いていない感じがします。

そんな防災対策から一歩進んで、日常の楽しみごとの延長として防災を考えませんか、という呼びかけをされているのがイラストレーター鈴木みきさん。

24歳のころカナダ旅行で山の魅力に目覚め、登山が趣味になるとともに、お仕事でも山系イラストレーターとなられた鈴木さんがこのたび、登山者の観点から防災に取り組む方法をイラストエッセイにまとめられました。

近年、大きな自然災害が頻発している上、2019年の暮れからは新型コロナウイルス感染拡大にも見舞われている状況を鈴木さんはこうおっしゃっています。
「災いは忘れた頃にやってくる」というけれど最近は「忘れる間もなくやってくる」気がしますよねえ〜
(鈴木みきさん『もしも…に慌てない 登山式DE防災習慣』P8より引用)
鈴木さんご自身は、帰省先の東京で東日本大震災を、その後、引っ越し先の札幌で胆振東部地震を経験されます。

揺れている瞬間は、その場にしゃがみ込むのが精一杯でしたがその後は落ち着いて次の行動を考えることができたそうです。

それはきっと登山のおかげではないかと鈴木さんは考えました。

というのも登山では、さっきまで美しかった自然が突然牙を剥いてくる可能性がある場所だから。常に、今どちらに向かえば安全なのかを、天候や時間、自分の体力と相談しながら決めて進まなくてはいけません。

これは防災力に通じるのではないかと、鈴木さんは気づきました。

また、山では電気も、ガスも、水道もない。お風呂もトイレもない(ところが多い)。

これは大きな災害が起こった時に、ライフラインがストップしたのと同じ状況ではありませんか。

ということは、登山者の荷物は非常持ち出し袋と考えてもいいのでは?

そこで鈴木さんは登山の装備や実際に山で体験したことをコミックエッセイとしてわかりやすく説明、何をどれくらい備えればいいのかまでまとめてくださったわけです。

読んでいて面白く、とてもためになりました。

「いつどこで災害が起こるかわからない」という不安だけを原動力にした防災は気分的にしんどいと思うのです。

登山や旅行の準備の応用だと思えば、気持ちが少しでも明るくなるし、これを機に本当に登山やキャンプに目覚めれば、荷物につめた食料を消費し、また買い足すことで、常に賞味期限内の非常食がリュックに入っている状態になりそう。

タイトルに書いてある通りの「お役立ちコミックエッセイ」でした。
もしも…に慌てない 登山式DE防災習慣
鈴木 みき(著)
講談社エディトリアル
「命を自分で守ること」は登山と防災の共通項。登山の備えは防災そのもの。道具、テクニック、危険予測、心構え…レッツ防災レッツ登山! 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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