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美婆伝(土本真紀)



 
美婆伝
90歳を超えても美しく働き続ける11人の物語
土本真紀(著)
出版社:土本真紀(2012)【内容情報】(「BOOK」データベースより)本書で紹介する11人は、90歳を超えてなお現役のポーラレディ。働き続ける女性にとって最高の称号が「美婆」。彼女たちならではの、人間関係をうまくやるコツ、自分を作るコツ、自立を楽しむコツ、そして向上心を鍛えるコツをじっくりお聞きしました。(出典:楽天ブックス
美婆…なんて強烈な言葉なんでしょう。
「美婆伝」というタイトルを見た瞬間、目が離せなくなりました。

びばば、ではなく、びばと読みます。
ええ、ビバ!
誉め言葉なのですよ、美婆は。

『美婆伝 90歳を超えても美しく働き続ける11人の物語」は
タイトルの通り、90歳を超えてもなお現役でおられる
11人の美婆を紹介した本です。

90歳を超えた女性が現役で?!
いったいどんなご職業だと思います?

彼女たちは「ポーラレディ」。
化粧品を売る、美容部員さんです。

なんでもポーラレディには定年がないそうで、
この本で紹介されているのは
2012年現在で90歳から99歳。
現役で化粧品販売や、お客様の相談にのったり、
エステサービスを行っているとのこと。

もしやこれはPOLA化粧品の販売促進本か?と
用心しながら読み進めましたが
そうではなく、11人の美婆の人生を紹介する本でした。

2012年当時90歳ということは、大正、昭和、平成を
生き抜いてこられたということです。
女性が職を持つのがまだまだ一般的ではなかった時代です。

なぜ働き始めたのか、事情は11人さまざま。
でも驚くほど共通しているのは、働く姿勢です。

何をやりがいとするのか、
美容部員、営業職として大切なものはなんなのか、
表現は違っても、11人の根底に流れる信念・理念はほぼ同じで、
それは「誠実に、こつこつと、たゆみなく働く」ということ。
お客様にやみくもに高い商品を勧めて、売上を伸ばしていた人は
いっときは良いかもしれないけれど、やがて消えていったそうです。

もちろん、商売ですから誠実なだけでは売上は伸びません。
営業力もとても大事。
しかし、当時、マニュアルなんてものはありませんでした。
皆さん、自分なりに研究し、
ご自分のやりかたを見つけてお客様を増やしてこられたわけです。
そのあたりの話は、妙なビジネス本を読むより
よっぽどためになりました。

それから、業務以外で11人に共通しているのは「感謝の心」。
この仕事があったらから、元気で生きてこられたし
「美婆」として今日までやってこられた。
美容部員たるもの、自分の手入れを怠っていては
人に化粧品を勧めても説得力がない。
だから何歳になってもお肌の手入れをしっかりしているんですって。
もちろん自分の努力だけではなく、
周囲の人、特にお客様に助けられ育てていただいた、と。

「もう歳だから」なんて言わずに、
女性は何歳になっても綺麗でいたいと思わないとダメ、
「もうダメだ」と思ったときが「本当にダメ」なとき…
などなど、女子として肝に銘じるべき言葉が満載でした。

ああ、11人の侍ならぬ、11人の美婆。
美容の原野にすっくと立ち、
向かい風をものともせず、笑っておられます。
なんと素晴らしい先達がいることよ。

中でも、一番印象に残った美婆は岩田信江さん(当時92歳)。
ご自身の22歳のお誕生日に旦那様を亡くされました。
結婚生活はたった7ヶ月だったそうです。

でも365日ある中で、自分の誕生日が命日だなんて、
よほど縁があったのだと感じ、再婚しないことを決められたそうです。

そしていつの日か、若くして亡くなったご主人と天国で再会するとき、
くしゃくしゃのお婆さんになっていては見つけてもらえない、
旦那様とお別れした22歳の頃の面影が少しでも残るように
美容部員を続けてこられたとのこと。

実際に、お写真で拝見する岩田さんは
とても清楚な感じがする美婆さんで
その想いの一途さ美しさに涙が出ました。
ああ、なんて素敵な美婆さんなんでしょう。

世の中には(日本にはというべきか?)余計なお世話な人が結構いて
年配の方がおしゃれをすると「良い年をして」なんて言うでしょ?

でもね、そんな人は無視、無視!
何とでも好きなように言うが良い。
私も美婆を目指して頑張ろう!!と心に決めましたよ。

だいたい、美婆になるには努力が必要なんだからね。
心も体も、ただダラけていては美婆にはなれないんだから
第三者に馬鹿にされる いわれはないのであーる!

とても面白かった『美婆伝』に唯一感じた不満は
構成の問題。

第1章 人間関係をうまくやる。
第2章 自分を作る。
第3章 自立を楽しむ。
第4章 向上心を鍛える。
と、テーマごとに11人の美婆のお話を紹介しています。

第1章を読んだとき、一人ひとりのお話があまりに短くて
「え?これだけ?」とびっくりしました。
第2章に入ると、先ほど登場した人がまた出てきて…と
一人一人の話が細切れに感じられたのです。

私の好みとしては、テーマごとに切らずに
一人のお話を最初から最後まで続けてお聞きしたかったなぁ。
そこだけが気になりました。

読めば必ず元気をもらえる『美婆伝』
お勧め度は★★★★☆
いつまでも女子力を上げたい人にはぜひお勧めします。
(ちなみに私は図書館で借りて読みました)

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、
ナレーション、アナウンス、 そしてライターと、
さまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
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