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きぼう(コーリン・アーヴェリス)

希望とは光だ

きぼうーHOPE-
コーリン・アーヴェリス(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、絵本『きぼう HOPE』。

1970年(昭和45年)のヒット曲『希望』をご存知でしょうか。

元々はそれ以前にミュージカルのために作られたナンバーで、歌ったのは倍賞千恵子さん。でも6分ほどもある長い曲で、レコード化はされませんでした。

1969年(昭和44年)にリメイクされた『希望』をフォークグループのフォー・セインツ(のちのフォー・クローバース)が歌ってヒットします。

翌年、テレビ番組のコーナーでこの曲が使用された時、岸洋子さんが歌うことになったのがきっかけで大ヒットとなりました。

私はヒットの経緯は全く知りませんでしたが、今でも軽く歌えるくらいですから、きっと毎日のようにどこかから聞こえていたのだと思います。

ただ、この歌を好きではありませんでした。何しろ暗いのですもの。

最初から暗く、どこかで転調して明るくなるのかと思いきや、サビの部分の歌詞も暗い!

結局この歌の中の女性はずっと「希望というなのあなた」を探す旅を続けているのです。

「希望」という言葉の意味が分かる年齢になった時、改めてこの歌を聴き、これのどこに希望があるのか!!と思ったものです。

それは人生それなりに山あり谷ありを経た今も変わりません。

「この歌のどこに希望があるのか!」

ところがですね、「図書館だより」で紹介した絵本『きぼう』を読んで、やっと理解ができたのです。

「希望=明るい」と決めつけていた私が浅はかでした。

人生のどん詰まり、もうどうにもならない時にこそ必要なのが「希望」だったのです。
この絵本の主人公はまだ幼い男の子。名前はフィン。彼の家にはコメットという犬がいて、フィンとコメットは兄弟同様に過ごしていました。

ところがある日、コメットの具合が悪くなります。そして、動物病院に連れて行かれ、そのまま入院することになりました。

家に帰ってフィンはひとりぼっち。コメットは何の病気なんだろう、コメットの病気は治るのかしら?ぼくがコメットのためにできることは何?そんなフィンにお父さんがあることを教えてくれました。
(絵本『きぼう』の途中までを私なりにご紹介しました)
フィンくんはコメットのことを思うといてもたってもいられません。

彼にとってコメットは兄弟なのだから、もし兄弟にもしものことがあったらと思うと何も手につかないのです。

おそらくフィンくんが生きてきた数年間で一番重く苦しい状況なのでしょう。

そういう時にこそ「希望」を持たなくてはいけないと、この絵本は教えてくれます。

もちろん、おとなになるに従って悩みも苦しみも大きく重たくなっていくでしょう。

フィンくんが今苦しんでいる問題なんて取るに足らないことかもしれません。

だけど、どんな年代のどんな悩みも、当事者にとったら大きなもの。

自分がいくら努力しても解決しない問題がそれぞれに起こり得ます。

悩みの大小を比べることは意味がありません。

全ての年代の悩める人に、どうしていいかわからない、もう何もできない、お先真っ暗だ、そんな時こそ「希望」を持つことが大切だよ、とこの絵本は教えてくれます。

そしてフィンくんがしたように、夜空を見上げれば月や星の光が心を照らしてくれることでしょう。
きぼうーHOPE-
コーリン・アーヴェリス(著)
評論社
コメットはフィンの大切な友だち。でも、ある朝、病気になって獣医さんに連れていくことに。「コメットのために、ぼくは何ができるの?」とフィンがきくと、「きぼうを持つこと」とパパが教えてくれます。「きぼう」ってなんだろう? それは、心を照らす光のようなもの。この世界は、だれかがだれかを思うきぼうの光でいっぱい! やさしい気持ちになれる絵本です。 関連特集 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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